試乗インプレッション

生産終了となるセローの代わりになるか!? 【オフロードバイク・カワサキKLX230試乗】

KLX250から11年、KLX125から10年を経て、カワサキから完全新設計のオフロードモデルとして登場したKLX230。
初級~中級レベルを意識したプレイバイクとして、基本に忠実な設計と装備でバランスの良い走行性能を与えられている。

2020年にヤマハ・セローが国内生産終了となることがアナウンスされただけに、ポスト・セローとして注目したいオフロードバイクであることは間違いない。
その素性はいかなるものなのか? 試乗レポートをお送りしよう。

 

新設計空冷エンジンは扱いやすい中速重視

2019年に完全新設計のモデルとして国内投入されたカワサキ・KLX230/KLX230R。
そもそもは、インドネシア(オフロードブームが起きている)と北米市場を主眼に、初級~中級者向けのプレイバイクとして開発されたモデルだけあり、うまくコストを抑制しながら本格的な内容を実現している。
税別49万5000円の価格も含め、バランスの良いパッケージに仕上がっているのではないだろうか。
ヤマハ・セロー250ファイナルエディションと比べると、出力は1馬力及ばないが、車重は1kg軽く、価格は約10万円安い。またホンダCRF250L(コチラは水冷エンジン)と比べると、出力で5馬力及ばないが、重量で10kg軽く、価格で約1万円安い。

何しろエンジンからして完全新設計だ。空冷OHC2バルブでボア・ストロークは67mm×66mm、2軸バランサー付きで6速ミッション。シリンダーフィンなど、冷却周りは最新の空冷エンジンとして、基本に忠実にきちんと作り込まれている。
232ccの排気量で19馬力/7600回転と中速を充実させたエンジンで、水冷にはしなかったことで重量増加やコストを抑制した構成だ。久し振りのオフロード用新設計エンジンということもあって、開発には少々気合が入ったと設計陣は語る。

少々古式ゆかしい外観の空冷エンジン。排気量は232ccで7600回転時に19馬力を発生する。環境性能や耐久性などは最新のクオリティ。

そのエンジン性能はというと、極めて扱いやすいという印象。
ギンギンに回す高回転型エンジンではないからのんびりした気持ちで走れるし、回せばフラットに加速するので、トラクション性も悪くない。
また、セッティングでアイドリングが少しだけ高めに設定されているから、オフロードの極低速走行でも唐突なエンストがほとんどない。

約120km/hでリミッターが効くが、実用域のトップスピードは100km/h少々。6速ギヤはツーリングなどの高速巡航を考慮したオーバードライブ設定で、闇雲に速度を伸ばさない穏やかなフィーリング。
しかもバランサーのお陰で振動は少ないから快適である。その恩恵はオフロードでも感じられ、スロットルを大きく開けたときの振動が少ないから疲れにくいはずだ。
この辺りは、キンキンに回ると同時にかなり硬質な振動を感じさせた、かつてのKLX250のフィーリングとは正反対のものだ。

スタンディングして後輪荷重で乗るとオンロードの高速コーナーもかなり楽しい。

 

車体・足周りはオフ性能を重視した本格的な内容

身長170㎝、体重55kg程度のスタッフがまたがった状態。サスストローク量がオフロードコース走行向けにしっかり確保されているためシート高が高く、つま先立ちになるが、車体が軽いので地面が平らならば不安感は全くない。また、スリムで平坦なシート周りのお陰で走行中の姿勢変更もしやすい。

総じてマイルドだが力強いエンジン、それを搭載する車体は本格的だ。フレームはカワサキ独創のペリメターフレーム。スチール製だが、車体剛性の確保と低重心化に有利な構成で、このKLX230でも操縦安定性や、オフロードでの対衝撃性の高さでそれを実感できるだろう。
もちろん、これに装着される足周りも悪くない。フロントは220mm、リヤは223mmのホイールトラベルを持ち、しっかりとダンピングの効いたフィーリングだ。

φ37mmの正立フロントフォークはワンバイワンではなく、左右にダンパー機構を持つ。

コーナー立ち上がり直後にジャンプして、すぐにフルブレーキング、ターンするような場合でも(しかも路面は石混じりの硬質)、グシャッとスタビリティが乱れるようなことはないし、車体がガシャンガシャンいう、嫌な衝撃もない。オフロードをそこそこのペースで走破するには最適な設定だ。

このようにオンロード重視のソフトなサスペンション設定ではないのと同時にフレームの剛性もあるので、オンロードのコーナーリングでは、少し重めでフロントの立ちが強い性格となる。決してアンダーステアではないのだが、ソフトにヒラヒラ曲がるタイプではない。その分、直進安定性はあるので、のんびりと走るツーリングには良いかもしれない。

 

競技仕様のKLX230Rは19kg軽くて足まわりのストローク量も約30mmUP!

保安部品などがないシンプルなレーサーモデルのKLX230Rは、ベテランのプレイバイクとしては最高の一台。
元々開発はこちらが先で、公道バージョンはこのRからの派生なので、本来のポテンシャルが堪能できる。最高出力はKLX230と変わらないが、エンジン特性はより高回転型となっている。

保安部品が外されたことでレーシーな雰囲気全開となるKLX230R。

 

KLX230主要諸元 [ ]はKLX230R

カワサキ・KLX230

【エンジン・性能】種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア×ストローク:67.0×66.0mm 総排気量:232cc 最高出力:14kW<19ps>/7600rpm[14kW<19ps>/8000rpm] 最大トルク:19Nm<1.9kgm>/6100rpm[20Nm<2.0kgm>/6000rpm] 燃料タンク容量:7.4L[6.5L] 変速機:6段リターン
【寸法・重量】全長:2105[2045] 全幅:835[840] 全高:1165[1200] ホイールベース:1380[1360] シート高:885[925](各mm) 車両重量:134kg[115kg] タイヤサイズ:F2.75-21[80/100-21] R4.10-18[100/100-18]
【カラー】グリーン、ブラック[グリーン]

※当記事はモーターサイクリスト2019年11月号を編集・再構成したものです。
(試乗レポーター●関谷守正 編集●モーサイ編集部・日暮)

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