試乗インプレッション

カワサキ「Z」&スズキ「カタナ」 昭和から令和へ受け継がれたブランドを改めて味わう

Z、そしてカタナ。昭和にルーツを持つ日本の代表的バイクブランドが、現行ラインアップとしても覇を競っている。今回は共に原点となる車両と乗り比べを行った。原点と現在それぞれの車両に乗り、そこで感じたことをお伝えしたい。

 

カワサキ・Z1の「乗りやすさ」という 永久不滅のコンセプト

 

Z900RS Z1

約50年の時を隔てた900スーパー4──いわゆるZ1と、Z900RSを眺める。その雰囲気は似ている。フロント周りから燃料タンク形状、カラーリングの為せる業だろうが、実はアップライトなポジションも近いものがある。

Z1は当時のライバル、CB750フォアより大柄だが、ポジション的には上体が直立するもので、ハンドル幅もあってゆったり楽に乗れる。Z900RSはコンパクト化が進んで、車格はZ1より小さく、やや前傾するものの、やはり楽なポジションである。この「楽に乗れる」という点が2台のZに共通した特徴かもしれない。

Z1 900スーパー4

●1972年に登場したZ1は903cc空冷DOHC2バルブエンジンで82馬力/7.5kgm、車重は230kg。

Z1のエンジンは基本設計が50年以上前のものだから、現在のバイクのようにシャープな吹け上がりというわけにはいかない。スロットルの操作に、ほんの少しだけ遅れるような感じでゴゴ〜ッと力強く直線的に上昇するパワーが頼もしい。

そして特筆すべきは車体だ。ハンドリングは素直で230kgの車重を感じさせない。ブレーキングやバンキングの際にはその重さが顔を出すが、総じて車体には剛性感があり操縦安定性は高い。

Z900RS

●最新のZ900RSは948cc水冷エンジンで111馬力/10.0kgm、車重は215kg。新生カタナ同様ABSとトラクションコントロールは標準装備。

このあたりで、当時爆発的に売れた理由が分かる。パワフルなエンジン、大柄な車格、そして乗りやすさと安定性。そして、これがそのまま現在のZ900RSにも当てはまるのではないだろうか。同じ900ccだが、最高出力はプラス28馬力の110馬力、車重はマイナス15kgの215kgだ。

言ってみればこれが50年の進化とも言えなくはないが、ともかくZ900RSは吹け上がりも、ハンドリングも軽快。このフリクションのない滑らかさこそが50年の進化を痛感させる。しかし、クセのない乗り味という点ではZ1のニュアンスを感じさせるのは間違いないだろう。

 

スズキ・カタナ 時代を超える個性が37年の時を超える

 

GSX1100Sカタナ 新型カタナ スズキ

GSX1100SカタナはZ1よりデビューが10年新しいだけあって、もう少し現在のバイクに近い。その独創的なスタイルと燃料タンクを抱え込むようなスーパースポーツ的ポジションによって、時代を超えた個性を感じさせる。

空冷1074ccの4バルブエンジンの吹け上がりは、多少ゆっくりしたところはあるものの、トルクフルで漸次的にパワー感を増すあたりは現代風。この点で、新型カタナはスーパースポーツGSX-R1000(K5)をベースとしたトルクフルなパワーユニットを使うだけあって、その野太いサウンドとフィーリングには旧型のニュアンスを感じるかもしれない。

ただし最高出力は111馬力→148馬力と、37馬力も違うので、その速さ、シャープさは比べるまでもない。

GSX1100S KATANA カタナ

●初期型のGSX1100Sカタナは1074cc空冷エンジンで111馬力/9.8kgmを発揮し、車重は232kg。試乗した個体は1994年の「SR」で、最高出力は95馬力。

車体はと言うと、前19、後17インチのタイヤサイズもあって、ハンドリングは安定志向で、車重も232kgあるので軽快という感じではない。このあたりは70年代〜80年代初頭の大型バイクに共通した乗り味とも言えるだろう。
一方、新型カタナは安定感がありながらも軽快だ。

スズキ 新型カタナ

●998cc水冷の新生カタナは148馬力/10.9kgm、車重215kg。介入度を3段階で選べ、カットもできるトラクションコントロールも装備している。

正直に言ってしまえば、Z900RSもそうだが、新旧では別物の工業製品なので、性能面を引き合いに出すこと自体おかしな話ではあるのだが、それでもメーカーの個性や考え方などで、そこはかとなく当時のニュアンスが感じられる場合もあると思う。

そして、カタナの場合は何と言ってもそのスタイルが唯一無二のものであることが、誰が見ても理解できる最大の共通点である。

最新車両と比べると、走行性能や安全装備などではかなうべくもない昭和のバイク。だが、今の絶版車人気を見ればわかるように数値や理屈を超えた魅力があるのは確かだ。体験できるものなら、その走りをぜひ味わっていただきたい。

 

絶版車を実際に乗って体感できる!! バイク王 絶版車試乗会

 

2019年9月14日(土)、富士山の裾野にある水ヶ塚駐車場にて開催されたライコランド・南海部品北関東グループ ツーリングスマイルin Mt.FUJI。そこでバイク王が開催した「絶版車試乗会」の車両をお借りして取材を行った。

当日は天候にも恵まれ、多くの人が貴重な絶版車の魅力を味わった。今後も継続して開催されるということなので、同社のウェブなどをチェックしてほしい。

バイク王 つくば絶版車館(☎0297-21-8190)では人気絶版車を数多く販売中だ。

富士山スカイラインを約5km・6分程度走ることができた絶版車試乗会。

(レポート●関谷守正 写真●山内潤也 編集●モーサイ編集部・日暮)

※本記事はモーターサイクリスト2019年11月号の記事を編集・再構成して掲載しています。

 

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