試乗インプレッション

【NEW MODEL IMPRESSION】常勝フラットトラックレーサーの魂を受け継ぐスポーツモデル FTR1200S Race Replica

INDIAN MOTORCYCLE FTR1200S Race Replica

近年、クルーザーメーカーというイメージしかなかったインディアンから魅力的なロードスポーツが登場。
米国カリフォルニア州サンタモニカで行われた試乗会で、ベテラン和歌山利宏が感じたこととは!?

report●和歌山利宏 photo●INDIAN MOTORCYCLE/和歌山利宏

●この試乗車はアクラポビッチマフラー装着の「レースレプリカ」だ

 

これは新世代の標準形か

1901年創立のインディアンは、53年に活動を停止。
その後、幾度もの再建劇を経ながら、ついに2011年、ポラリスグループの一部門として復活を果たしたアメリカ最古のバイクメーカーである。
かつてはモータースポーツでも鳴らした名門で、特に40年代から53年に幕を降ろすまで、伝統のフラットトラックレースで活躍。
そのことは今もアメリカ人の脳裏に深く刻まれている。

そんな歴史もあって、新生インディアンはワークスマシンFTR750を開発し、17年にレースシーンへカムバック。
そのシーズンに加え、2年目もチャンピオンに輝くという快進撃を見せてきた。
復活を確固たるものとし、人々にそのことを知らしめるためにも、レースへの復帰は大きな意味があったと言えよう。

※追記:インディアンは2019年もフラットトラックレースでチャンピオンを獲得し、復帰から3連覇を成し遂げている。

●米国レースシーンを席巻する"FTR750"。FTR1200がモチーフとするワークスマシンFTR750。専用開発された53度挟角Vツインを搭載する。2016年1月に開発が始まり、翌17年の初年度からアメリカのフラットトラックレースで圧倒的な強さを誇っている。今年も絶好調

そして、そのフィロソフィーが市販車へ展開されたのが、このFTR1200だ。
特にアメリカ人にとっては、米国のバイク史を彷彿させる注目すべきモデルでもあるのだ。

ただ、この市販版FTRはワークスFTRのレプリカではない。
挟角53度でコンパクトなワークスVツインエンジンではなく、スカウト用(挟角60度・1130㏄)をベースとしている。

●エンジンはスカウト用が基本で、3㎜のボアアップだけでなく、懸架点を変更。また後部を短縮しクランクケースピボットとするなど大きく手を入れることで、トラッカーに相応しいフォルムにパッケージングされている

スカウトから排気量をさらに拡大し、クランクケースの形状や鋼管トレリスフレームへのマウント方式もストリートスポーツ方向へ大変更。
車体にはフラットトラッカーのフィロソフィーが注入され、FTRはビッグVツインスポーツとしての資質の中に、トラッカーらしい軽快性や運動性の恩恵を預かることができる車両に仕上がった。

トラックレーサー直系の足周りは、前後サスのストロークが150㎜と大きく、前後ホイール径は19/18インチである。

●リヤサスはリンクレス式。前後ショックユニットはザックス製だ

そのため、車体は背が高くならざるを得なく、足着き性は決してよくはない。
しかし、燃料タンクがシート下に設置されたことで重心が低く、車体を足で支えていても妙に安定し、意外や不安がない。

また、全域でトルクフルなエンジンも、極低回転域からまろやかで粘りもあるから、ホッとさせられ、フレンドリーな印象さえ受ける。

120馬力を8250回転で発生するエンジンは、回してパワーで走るのではなく、トルクで走るという表現がぴったりくるもの。
やはり、これはストリート向きの特性だ。

車体は適度のしなり感がライダーに優しく、コーナリングでは、前後19/18インチという伝統的なバランスの良さを感じさせ、マシンが先走ることなく、狙い通りにラインをトレースし、攻めることができる。
「生まれはダートにして、狙いはストリート」。そんなFTR1200のキーワードにも、深く納得させられた試乗であった。

●ヘッドライトはLED式で、上側周囲はデイライト、上側の縦型×3がロービーム、ハイビームで全て点灯する

 

RIDING POSITION

●身長:162㎝ 体重:63㎏

●身長:162㎝ 体重:63㎏

ハンドルは比較的広めで、決して高くは感じない。
が上体はリラックスでき、オフロードでも御しやすいライポジである。
また、前後左右の体重移動もしやすい。
足着き性はアドベンチャー並みと言ったところだが、低重心化の効果もあって、安心感がある。

 

驚くほど高い汎用性を誇る

FAVORITE

何にでも使えて楽しめることに尽きる。
トルクフルさと“長脚”のサスペンションを生かして優雅にクルージングするのもよし、比較的大きめのハンドル切れ角とスリムな車体を生かして機動性を発揮させるのもよし、そして、コーナリングを熱く楽しむも最高だ。

REQUEST

小柄な日本人には足着き性が最大のネックになりそうだ。
ただ、停止時に安定感があり、またがったままのサイドスタンド操作もできるから、平均的な日本人男性なら大丈夫だろう。
燃料タンク容量も13ℓと大きくないが、約200㎞は航続可能だというから問題ない。

 

STDと"S"で基本性能は同一!

●FTR1200S
チタニウムメタリック×サンダーブラックパール

●FTR1200S
インディアンレッド×スチールグレー

●FTR1200
サンダーブラック

両車エンジンは同じ。
前後サスは上級型Sが前後フルアジャスタブルでリヤはリザーブタンク付きとなるが、ストローク150㎜のザックス製であることは変わらない。
ただ、SにはIMU(慣性計測ユニット)が搭載され、バンク角によってもトラコンやウイリーコントロールを制御、計器盤もタッチパネル式となる。
素のSTDに対し、Sは電子制御も最先端水準にある。

●上級型Sの計器盤は4.3インチのLCD式タッチスクリーン。ブルートゥース対応で表示モードは複数から選択可能

 

Specifications[]内はS

【エンジン・性能】●種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ ●総排気量:1203㎤ ●最高出力:89.5kW〈120hp〉/8250rpm ●最大トルク:124.5Nm〈12.7kgm〉/6000rpm ●燃料タンク容量:12.9ℓ ●変速機:6段リターン 

【寸法・重量】●全長:2286 全幅:850 全高:1297 ●ホイールベース:1524 ●シート高840(各㎜) ●車両重量:230[235]㎏ ●タイヤサイズ:Ⓕ120/70R19 Ⓡ150/70R18

【カラー】黒[チタン×黒、赤×灰、レースレプリカ]

※写真は全て本国仕様

 

CONTACT

問い合わせ先インディアンモーターサイクル正規販売店まで
URLhttps://www.indianmotorcycle.co.jp/dealer

 

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