バイクの魅力をどこに見出すかは人それぞれですが、近ごろ注目を集めているのが燃料消費率……つまり燃費がどの程度優れているか、という要素です。
当サイトでもしばしば取り上げるネタですし、最近の優れた燃費の車両に感心することも多いのですが、やっぱり燃費だけでなく走りも楽しみたいというのが本音です。
そこで今回は、2020年に燃費調査を行った車両のなかから、特に「これは楽しい!」と感じ、編集部員が欲しいと思ってしまった3車を紹介しましょう。
ホンダ・スーパーカブC125(最高燃費 72.9km/L)
「燃費」といえば外せないのが、ホンダ・スーパーカブシリーズでしょう。
なかでも燃費、走行性能ともに驚かされたのが、上質感を追求したスーパーカブC125(価格:40万7000円)です。
空冷OHC単気筒の排気量124ccエンジンは7500回転で9.7馬力を発揮しており、スーパーカブ110とくらべてひとまわり余裕のある走りが楽しめます。
WMTCモード燃費も66.1km/Lと優れていて、排気量が大きいながらもスーパーカブ110(WMTCモード値:67.0km/L)とほぼ同等の数値を誇っています。
実際に走行して計測した最高燃費は驚異の72.9km/L!
タンク容量が少々小さい3.7リットルですが、それを補って余りある燃費を誇っているのです。
なお、WMTCモード値での航続距離は244.6km、計測燃費でも269.7kmと、ショートどころか、ロングツーリングにも十分対応できる点はさすがスーパーカブ、といったところでしょう。
それでいて走りも秀逸。
最高出力9.7馬力、最大トルク0.87kgmというエンジンスペックは軽量な車体をキビキビと走らせるのに十分な性能で、剛性に優れたフレームと相まってワインディングも気持ちよく駆け抜けることができます。
スズキ・ジクサー250(最高燃費 47.3km/L)
燃費と走行性能が最適なバランスで両立していると感じたのが、スズキ・ジクサー250(価格:44万8800円)。
軽量コンパクトな油冷OHC249ccエンジンは最高出力26馬力・最大トルク2.2kgmを発揮。車両重量も154kgで、ビギナーでも不安なく扱える軽量なマシンに仕上がっています。
WMTCモード燃費は37.7km/Lで、250ccクラストップとなる数値を誇っていますが、最高計測燃費はカタログ値の25%増しとなる47.3km/Lを記録!
タンク容量は12リットルで、WMTCモード値での航続距離は452.4km、計測燃費での航続距離は567.6kmという、エコカーもビックリな数値を記録しています。
実際の調査では、千葉〜青森間の850kmを、わずか18.66Lの燃料で走り切ってしまいました。
走りもなかなかエキサイティング。車体が軽量なのでツイスティロードでもパタパタと車体を倒し込むことができ、ほどよい出力と軽量な車体のバランスの良さを楽しむことができます。
また、弟分のジクサー150はバイアスでしたが、ジクサー250では前後タイヤともにラジアルを採用。豊かな路面インフォメーションとしっかりとしたグリップ性能が、ワインディング走行の楽しさを一段階引き上げてくれている点も見逃せません。
KTM・250デューク(最高燃費 31.6km/L)
「燃費走行もいいけど、やっぱりバイクは楽しくなくちゃ!」という気分にさせてくれるのが、KTMのクォーターマシン、250デューク。
最高出力30馬力・最大トルク2.4kgmを発揮する水冷DOHC単気筒エンジンを搭載しており、今回紹介する3車の中では最も高い出力を誇っています。
なんと言っても印象的なのが「楽しく走ろうぜ!」と言っているかのようなエンジン特性。6000回転前後からのパワーバンドに入ると、乾燥重量152kgの車体をグイッと前に押し出すパワフルさがあり、思わずスロットルを開けたくなってしまいます。
走行シチュエーションを選ばず、常時エキサイティングな走行を楽しむことができる車両といえるでしょう。
それでいてWMTCモード値は30.9km/Lと優れていて、最高計測燃費も31.6km/Lを計測。走るのがあまりに楽しくて、ほかの2車と比べて高回転を多用していたにも関わらず、カタログ値を上まわる実燃費をきちんと出しています。
なおタンク容量は13.4リットルと大きめで、満タン航続距離はWMTCモード値で414km、計測燃費での航続距離も423.4km。ワンタンクで長距離走行可能なのも特長といえるでしょう。
今回は編集部の選ぶ、燃費もよくて走行も楽しい車両を紹介しましたが、もちろんバイクの楽しさはひとそれぞれ。
特に秋は最適な気温の中で走行を楽しめる、ツーリングに最適なシーズン。燃費走行はもちろん、ワインディングらロングライドでバイクの魅力を存分に楽しむのもいいでしょう。感染症対策に気を配りつつ、愛車での走行を存分に楽しみたいものです。
(photo&text:モーサイWEB編集部)