2019年5月24日、19年ぶりにカタナが復活した。
スズキファン、カタナファンのみならず全てのバイクファンの期待を集めているが、いったいどのような経緯で復活したのだろうか?
今回は復活までの経緯とその特徴的なスタイリング、車体の構成について紹介しよう。
report●山下 剛 photo●スズキ
価格●151万2000円(税込)
Concept&Styling
世界に誇るスズキの名車、カタナがいよいよ復活した。まずは誕生の経緯を簡単に振り返ってみよう。事の発端は17年11月、イタリア・ミラノ、世界最大のモーターサクルショー「EICMA」だ。かつてのカタナの登場がケルンの衝撃ならば、それは”ミラノの衝撃”といっていいだろう。
舞台はイタリアの老舗二輪誌「モトチクリスモ」のブースだ。そこに1台のカスタムマシン「KATANA3・0」が展示されていたのである。モト・グッツィ グリーゾ、トライアンフ スピードトリプル、モトモリーニ グランパッソなどを手掛けた工業デザイナー、ロドルフォ・フラスコーリが同誌の企画提案を受けてデザイン、エンジンズエンジニアリング社が製作したものだ。
カタナが復活した!? ニュースは瞬く間に世界へ拡散し、話題となった。世界中のバイクファンが感嘆したように、KATANA3・0の完成度の高さにはスズキも黙っていられなかった。
かくしてプロジェクトが動き出し、18年のドイツ・インターモトのスズキブースに新型カタナが展示されたのである。振り返ってみれば、二輪誌の企画を発端として、スズキ最高峰のスポーツバイクのエクステリアデザインを外部に発注する手法は、GSX1100Sカタナにしても同様である。奇しくも(と言っていいのかは一考の余地があるが)、新旧カタナは同じストーリーから生まれてきたのだ。
初代カタナがGSX1100Eをベースとしたように、新型はGSX-S1000をベースとする派生モデルである。
それはフラスコーリ氏がデザインしたKATANA3・0も同じで、市販にあたってスズキ開発陣は各パーツの法規対応、量産のためのコストや生産効率の検討を重ねた。1年という期間は長いようで短い。ベースモデルがあったとはいえスズキ開発陣の苦心は相当なものだったに違いない。
最新技術で復活した新カタナの構成とは
KATANA3・0と新型を比較してみると、新型ではフロントカウル先端がより鋭利で、初代カタナの印象をより正確にトレースしている。そのほか、スクリーン、フロントフェンダー、テールカウル形状に微妙な違いがあるくらいで、タンクカバーやサイドカバーあたりはほぼ同一である。
最も大きな違いはハンドルがバータイプに変更されたことで、スズキによればスタンダードなロードスポーツに仕上げることを目的として、乗車姿勢や操作性の安楽さを狙ったという。それと同時に燃料タンクとの干渉を避けるためとも考えられ、目下のところサードパーティが開発中であろうハンドルがどのように製品化されるかが楽しみである。
ベースモデル同様、エンジンは定評ある05年式GSX-R1000(K5)がルーツ。
内部パーツおよび燃調そのほかのセッティングはGSX-S1000から大幅な変更はなく、最高出力150馬力、最大トルク108Nmの数値も同一(共にヨーロッパ仕様で比較)だ。新型誕生までの経緯を振り返った上で、エンジンやシャシー、新世代のカタナらしさを作り出している肝である外装パーツの詳細を見ることができた。
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