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ホンダ GB350とロイヤルエンフィールド クラシック350の違いを徹底検証「似て非なる2台のビッグシングル」

クラシック350 GB350 ホンダ ロイヤルエンフィールド

まったく異なる2台の生い立ち

2021年春の発売以来、爆発的な人気を獲得しているホンダGB350。
ただし、出先で同じ車両と頻繁に遭遇したくない、もっと旧車感が欲しい、すぐに乗りたい(コロナ禍で生産遅延が続くGB350とは異なり、クラシック350は一般的な納期で入手できる)などの理由で、同様の資質を感じるビッグシングル、2022年から国内市場に導入されたロイヤルエンフィールドの新型クラシック350に熱い視線を送るライダーは結構いるらしい。
価格もGB350が55万円に対し、新型クラシック350は63万4700円〜と近い範囲である。

そこで当記事では、どちらを購入するかで迷っているライダーの参考になることを念頭に置いて、2台の比較を行うことにした。
なお本題の前に各車の素性を説明しておくと、クラシック350はロイヤルエンフィールドが大昔から熟成を続けて来た単気筒車の最新型。そしてGB350は日本市場を多分に意識しつつも、インド市場で絶大な人気を誇るロイヤルエンフィールドの牙城を崩すことを狙って生まれた、ネオクラシックモデルである。

GB350とクラシック350、各部や機能を徹底比較

■デザイン

撮影車はスポークホイールを履き、前後フェンダーやタンクをメッキ仕上げとした「クラシック350 クローム」(66万6000円)

単体で見ているぶんにはGB350も十分旧車っぽいのだが、伝統のスタイルを継承するクラシック350と並ぶと、オーソドックス?という印象。ただし、その差異はカラーリングと各部の仕上げ、ホイールが要因と言えなくもない。クラシック350も、ボディカラーが単色でエンジン+マフラーがブラック、ホイールがアルミキャストの「ダーク」だと、意外に現代的な雰囲気になるのだから。

逆にGB350も、外装のカラーリングを派手目、シリンダーを除くエンジンの大物をアルミ地にしてカバー類をバフ仕上げ、ホイールをスポークにすれば(ついでに言うと、マフラーの跳ね上がりをゼロにして、前後フェンダーを深くすれば)、かなり旧車感が高まりそうである。

クラシック350 ダーク(66万2200円)

■車体寸法

装備重量は、GB350が180kgで、クラシック350は195kg。同じジャンルとは思えないほど、クラシック350は重いのだが……。操安性を左右するキャスター角/トレール/ホイールベースは、クラシック350【26度/112mm/1390mm】、GB350【27度30分/120mm/1440mm】と、むしろGB350のほうが安定志向なのである。

■ライディングポジション・足つき

クラシック350のライディングポジションは、先代とほとんど同じ。GB350と比較すると、ハンドルがやや低く、ステップがやや前方なので、微妙にコンパクトな印象。なおシート高は2車とも今どきの400ccクラスの平均より高めで、クラシック350【805mm】、GB350【800mm】だが、身長が160cm以上のライダーであれば、足着き性に大きな不満は感じないようだ(モデルの身長は170cm)。

殿様乗りと表現したくなるGB350の堂々としたライディングポジションは1969年に登場したCB750フォアとよく似ている。180kgの装備重量は、350~400cc前後の単気筒としてはまったく軽くないのだれど(前任に当たるCB400SSの最終型は159kgだった)、195kgのクラシック350を比較対象として考えると、押し引きは軽々。バックミラーの視認性はGB350のほうが良好。

■フレーム

新型クラシック350のフレーム
黄色の矢印の部分がボルトオン式のダウンチューブ

クラシック350のフレームは、エンジンを強度部材として使用するダイヤモンドタイプ。基本的に1949年型バレット350に端を発する伝統の構成を継承しているものの、ヘッドパイプから下方に伸びるパイプは1→2本に増やされ、トップチューブは径を拡大している模様。また、クランケース下部には先代以前には存在しなかった、ボルトオン式のダウンチューブが追加されている。


GB350 セミダブルクレードル フレーム
GB350のフレーム

GB350のセミダブルクレードルフレームで興味深いのは、先代に当たるCB400SSに対してねじれ剛性を29%も低く設定したこと、トップ&ダウンチューブに適度な変形を許容するフレックズゾーンを設けたこと、あえて上部エンジンマウントを設けなかったこと、スイングアームピボットプレートをインナー式としたことなど。重心の低さにも相当な配慮が行われている。

GB350 ホンダ フレーム
フレームの適度なしなりを許容するフレックスゾーン(=フレキシブルエリア)
GB350 CB400SS フレーム
左がGB350(車名はインド向けのCB350となっている)。右のCB400SSのフレームとはまったく異なる構造だ

■エンジン

内径×行程を筆頭とする各部の寸法がロングストローク型であることは、2台のエンジンに共通。ただし、GB350が先代に当たるCB400SSと比較すると、超ロングストロークになった(85×70→70×90.5mm)のとは異なり、クラシック350は先代に対してショートストローク化(70×90→72×85.8mm)。
最高出力・最大トルクの発生回転数は、クラシック350【20.2ps/6100rpm・2.7kg/4000rpm】、GB350【20ps/5500rpm・3.0kgm/3000rpm】と、いずれもGB350のほうが低い。


同軸バランサー、前後非対称コンロッド、オフセットシリンダー、密閉式クランクケースなど、独創的にして現代的な技術を導入したGB350に対して、クラシック350のエンジンはオーソドックスな構成。
とはいえ、1軸バランサーやOHC2バルブの動弁系、ギヤ式の1次減速、ドラム式のシフト機構などはロイヤルエンフィールドにとっては革新的な技術である(先代以前は、バランサー無し、OHV2バルブ、チェーン式1次減速、プレート式シフト機構)。

■メーター

クラシック350のスピードメーター+イグニッションスイッチは伝統のデザインを継承。ただし新たな装備として、下部に液晶モニター、ハンドルポスト下にUSBポートを設置。液晶右のRマークの位置にはターンバイターン式のナビを装着することが可能だが、半導体不足のため、現時点での採用は見送られている。


GB350のメーターはシンプル・イズ・ベストという印象で、旧車感は希薄。とはいえ、近年の新型車で指針式の速度計は貴重なのだ。液晶モニターの内容はクラシック350より充実していて、時計/燃料残量計/オド/トリップ×2に加えて、ギヤポジション/瞬間燃費/バッテリー電圧/走行可能距離/平均燃費が表示できる。

■ヘッドライト

クラシック350の灯火類はハロゲンバルブ/白熱球で、このシリーズの伝統に従い、ヘッドライト上にバイザー、その左右にポジションランプを設置。ヘッドライトを上下分割式、全灯火類をLEDとしたGB350は、どこからどう見ても現行車だが、ヘッドライトの高さは旧車的。

■タンク

プレスラインで独特の表情を構築したGB350とは異なり、クラシック350のガソリンタンクは昔ながらのティアドロップ型で、左右にニーグリップラバーを設置。容量はクラシック350が13L、GB350が15L。

■シート

構造はまったく異なるけれど、シートの座り心地はいずれも良好。ただし、前後にかなり自由に動けるGB350と比べると、クラシック350は着座位置が固定される感があった。絶妙な位置に備わるGB350の荷掛けフックは、日本車ならではの便利な装備。

■足まわり

フロントが41mm径正立フォーク、リヤはツインショックという構成は2台に共通だが、前後サスペンションの作動性はGB350のほうが良好。
クラシック350のブレーキは、フロント300mm径ディスク+片押し式2ピストンキャリパー、リヤ270mm径ディスク+片押し式1ピストンキャリパー。

GB350のブレーキは、フロント310mm径ディスク+片押し式2ピストンキャリパー、リヤ240mm径ディスク+片押し式1ピストンキャリパー。クラシック350より大きい前後ディスクの外径差は、現代的と言えなくもない。ABSはいずれのモデルも2チャンネル式。


クラシック350の純正タイヤは、インドメーカー・CEATのZOOM PLUS。100/90-19というフロントのサイズはGB350と共通だが、リヤはGB350より1サイズ細い120/80-18。

インド仕様GB350(=ハイネスCB350)の純正タイヤは、インドメーカー・MRFのZAPPERだが、日本仕様はダンロップ GT601。なおクラシック350にはABS以外の電子制御機構は無いが、GB350は後輪の滑りを抑制するトルクコントロールを装備。

レポート●中村友彦 写真●柴田直行/ホンダ/ロイヤルエンフィールド
編集●上野茂岐

ロイヤルエンフィールド クラシック350主要諸元

[エンジン・性能]
種類:空冷4ストローク単気筒OHC2バルブ ボア・ストローク:72×85.8mm 総排気量:349.34cc 最高出力:14.8kw(20.2ps)/6100rpm 最大トルク:27Nm(2.7kgm)/4000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:2145 全幅:785 全高:1090 ホイールベース:1390 シート高:805(各mm) タイヤサイズ:F110/90-19 R120/80-18 車両重量:195kg 燃料タンク容量:13L *全幅と全高はミラー除く
[車体色]
ハルシオン:グリーン、グレー、ブラック
シグナルズ:グレー、サンド
ダーク:ブラック、グレー
クローム:レッド、ブロンズ
[価格]
ハルシオン:63万4700円
シグナルズ:64万2400円
ダーク:66万2200円
クローム:66万6000円

ホンダ GB350主要諸元

[エンジン・性能]
種類:空冷4サイクル単気筒OHC2バルブ ボア・ストローク:70.0mm×90.5mm 総排気量:348cc 最高出力:15kW(20ps)/5500rpm 最大トルク:29Nm(3.0kgm)/3000rpm 変速機:5段リターン
[寸法・重量]
全長:2180 全幅:800 全高:1105 ホイールベース:1440 シート高800(各mm) タイヤサイズ:F100/90-19 R130/70-18 車両重量:180kg 燃料タンク容量:15L
[車体色]
マットジーンズブルーメタリック、マットパールモリオンブラック、キャンディークロモスフィアレッド
[価格]
55万円

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試乗レポート:ロイヤルエンフィールド新型クラシック350は「ホンダ GB350と同じ土俵で戦える!」

CONTACT

ホンダ GB350製品ページ

https://www.honda.co.jp/GB350/

 

ロイヤルエンフィールド クラシック350製品ページ

http://www.royalenfield-tokyoshowroom.jp/lineup/classic350/

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