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ホンダ ホーク11試乗「速すぎない、でも十分に速い」バイクとの対話が楽しめるロードスポーツ【ハンドリング編】

ホーク11 ホンダ

ホーク11はロードスポーツらしいディメンション

数あるアドベンチャーモデルの中でもオフロード走破性に重きを置いているCRF1100Lアフリカツイン。カフェレーサースタイルをまとったロードスポーツ・ホーク11の「中身」がそのアフリカツインだと聞いたら、驚く人も少なくないのではないだろうか?
そこで当記事では、【コンセプト&エンジン編】に続き、実際の乗り味だけでなく、車体ディメンション含め、ホーク11を分析をしていきたい。

2022年4月に発表となったホンダ ホーク11。発売は2022年9月29日で価格は139万7000円。

さて、気になるハンドリングだが、基本的には安定指向の弱アンダー傾向だ。と言っても、現実的な走行でそれが気になるようなレベルではない。スーパースポーツのようにクイクイ行くとか、不安定なほど軽快というレベルと比べれば……という話である。ある意味、従順なハンドリングであり、クイックではないが鈍ではないと言ったところだ。

この性質は、スタイリングにも影響を及ぼしている長めのホイールベースから来ているものだと思えるが、ホーク11ではキャスター/トレールの調整で、ロングホイールベースのデメリットをうまく解消していると言っても良いだろう。ホーク11のプラットフォーム共用モデルと、ホンダロードモデルとのキャスター/トレールの比較は以下の通り。

こうして比較してみると、CRF1100Lアフリカツインからオンロード向けに振った直接のベースモデルであるNT1100からそのディメンションはさらに変更されて、ロードスポーツのそれになっていることが良く分かるだろう。ちなみにこのジオメトリーの変更は、フレーム対地角を前傾させることで、その結果ステアリングヘッドパイプを前方に向けて立てていることになる。

そのメリットはステアリングの応答性の向上と、前方荷重分布の増加だ。ホーク11の前後の荷重分布は前51:後49だと言うからほぼイーブンで、これもまた標準的なロードモデルのそれだ。さらに、より低く前方に構えたライダーの乗車位置(による重心位置の設定)によって、コーナーリングにおける前輪への依存性を適度に向上させることで、良好なハンドリングを実現している。

エンジンやメインフレームはCRF1100Lをベースとするが、スイングアーム、エキゾーストシステム、サスペンション、ブレーキなどはツアラーモデル・NT1100のものが活用されている。
CRF1100Lアフリカツイン、及び同車から生まれた他のモデルとは異なり、ホーク11はマニュアルトランスミッション一択のラインアップ。またホーク11のみ日本専用モデルとなる。

ホーク11は軽量さも大きな特徴

ちなみに、主な2気筒スポーツモデルと、ホンダのリッタークラスモデルとのホイールベース比較は以下の通り。「長い」と言っても相対的にはそれほどではないことがわかる。加えて車重は軽い方に分類されるので、これは利点だ。

結局、重心位置の設定やマシン全体のジオメトリーの中で、ホイールベースがどう影響を及ぼすかという話になるのだが、ライダーの乗車位置がCRF1100LアフリカツインやNT1100よりも低く前傾する傾向にあるホーク11では、通常の速度域ではロングホイールベースの影響はあまり感じさせない。

何もせずにダラダラと道を流すような場合は、弱アンダーの安定感によって楽に走れる。これはちょっと両手を離してみると良くわかる。車体はフラフラせず、その時に向いている方向へと穏やかに進んでいくようなスタビリティが感じられるのだ。適度に重さがあると言っても良い。

速度域を上げると意思を持った操作が必要「だが、そこに面白さがある」

そこから、ペースを上げてコーナーに進入してみる。リーンウィズのフォームでナチュラルに曲がるものの、そこからさらにペースを上げると件のアンダー傾向が強くなってくる(NT1100ではその傾向がホーク11よりも早い時期でやってくる)。
そこで、上体を少しイン側に入れてやると、旋回性が向上する。さらにペースを上げて、今度はライダーがより前傾しながらその身体全体でステアリングの操作を意識すると、スムーズに深くバンクするようになり、最後にはバンクセンサーが接地する……といった具合になるだろう。

そういう場合の走り方は、フル加速〜フルブレーキ〜フルバンクというようなスーパースポーツのようなキビキビした走り方ではなく、例えるなら7〜8割のペースで、少しだけ頑張るくらいの感じがいい。要するにライダーがコーナーに対して十分な準備ができるような余裕を持った走り方によって、バイクとの対話をかなり楽しむことができるモデルであるということだ。

付け加えるなら、NT1100からダンパーセッティングを変更し、新たにストローク150mmを確保したフロントフォークの仕上がりも効いている。フロントの路面追従性やブレーキングでのしなやかさがその走りを支えているように感じる。

速度域が上昇するなどで、車体にかかる荷重が上がると、アンダー傾向は比例的に強くなっていくので、前述のようなバイクをコントロールしようとする意識も、比例して明確にしていく必要があるだろう。いずれにせよ、「バイクを走らせる楽しさ」を体感するという点では、なかなかのクオリティを持っている。
つまり、スーパースポーツほど積極的操作を強いてくるようなところはないのだが、ライダーの積極性に応じてその味わいが変化するという、理想的なロードスポーツらしさがあるのだ。

ホンダ ホーク11総評「多くのユーザーがバイクとの対話を楽しめるはず」

こういった「バイクとの対話」が楽しめるのは、何もホーク11に限ったことではない。そう、限ったことではないが、ホーク11の持つある意味でライダーに従順なそのロードスポーツという性格が、CRF1100Lアフリカツインのプラットフォームから始まっているアーキテクチャープロジェクトで誕生したということに意義があるのだ。

そもそも、開発コンセプトのひとつには、意図的なマシン操作を容易に行えるような経験豊かなベテランを対象とするというものがあって、それはまさにその通りなのだが、それとは逆にバイクの動きを楽しみたいと思っている若いユーザーにも、このホーク11の寛容な性格はお勧めできると思う。そういう幅広い許容力を持ったモデルがその合理的な設計から生まれてきたことには大きな価値がある。

しかも、1100ccの2気筒エンジンをカフェレーサーチックなスタイリングに包括した国産モデルという点で、明らかな独自性や個性を確立していることも評価できるはずだ。残るところは、その誕生背景を理由にしたホイールベースの長いスタイリングということになるだろう。

そのスタイリングに対する賛否があることはもちろん知っているが、問題は、外観を取るか、内容を取るか、ということである。各人の感性において見た目の好き嫌いがあることは当然であるし、これは仕方のないことだ(良いと思われる部分もあれば、これはいかがなものかと思う部分もあるというのは、筆者の個人的な感想である)。

では、評価軸をその内容に転じた場合はどうかというと、前述のようにかなり走りを楽しめるモデルであることは間違いないわけで、それが国内販売のみ税込み約140万円で実現できたという、物づくりの現実も考えてみたいと思うのだ。
ちなみに、メディア向けの技術説明では、そのコンセプトワードを『速くない、でも少し速い』としていたが、これは少々抽象的に思える。そこで、実際にホーク11に乗った感覚からこれをもう少し分かりやすく表現するなら、『スーパースポーツほど速くない、でも十分に速い。そして、なかなか面白い』と言ったところだろう。

ホンダ ホーク11主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:92.0mm×81.4mm 総排気量:1082cc 最高出力:75kW(102ps)/7500rpm 最大トルク:104Nm(10.6kgm)/6250rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2190 全幅:710 全高:1160 ホイールベース:1510 シート高:820(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:214kg 燃料タンク容量:14L
[車体色]
パールホークスアイブルー、グラファイトブラック
[価格]
139万7000円

ホーク11 ホンダ ブルー
ホーク11(パールホークスアイブルー)。
ホーク11 ホンダ ブラック
ホーク11(グラファイトブラック)。
フロントフォークは右側に減衰機構とスプリング、左側はスプリングのみとしたショーワ製の「SFF-BP」で、インナーチューブ径は43mm。
リヤサスペンションはのシングルチューブ分離加圧式のモノショック。油圧式のプリロードリモートアジャスターを備える。
フロントフォークは左トップキャップでプリロードの調整が可能。
フロントブレーキは310mmダブルディスク+NISSIN製4ポットラジアルマウントキャリパーの組み合わせ。
スイングアームはCRF1100Lアフリカツイン用とは異なり、ツアラーモデル・NT1100用に開発されたものを活用。試乗車に装着されていたタイヤはダンロップ・スポーツマックスGPR300。
ステップ周りはホーク11専用。位置もNT1100より後方・高めとなっている。

レポート●関谷守正 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐

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