目次
一部の旧車ファンを熱狂させる「鉄スクーター」の世界
古き良き時代のデザインと、時代を感じる乗り味を楽しむ旧車趣味の中でも、ひときわマニアックなカテゴリーとして知られる鉄スクーター。「鉄スクーターって一体何?」という方もいらっしゃるかもしれませんが、鉄スクーターとはスチール製フレームにスチール製ボディカバーを組み合わせた乗り物の総称です。
わかりやすい例を挙げると、戦後のイタリアで市民の足として活躍したベスパやランブレッタ、60年代まで日本の戦後復興を支えた富士重工のラビットスクーターや三菱のシルバーピジョンなどが、いま趣味人の間で「鉄スクーター」と呼ばれる乗り物となります。
近年では、70年代初頭に二輪スクーターモデルの生産を停止したランブレッタスクーターが、創業家であるイノチェンティ家の正式なライセンスの元で復活。新生ランブレッタとして再スタートを切ったことも話題となりました。
そんななか、イギリスを拠点にした新興ブランドRoyal Alloy(ロイヤル・アロイ)がヘリテイジスクーターと呼ぶにふさわしい新基軸のスクーターシリーズを発表。2022年春、日本に上陸しました。
ランブレッタの黄金時代を思わせるボディデザインが魅力
ロイヤル・アロイの輸入販売を手がけるのは、前述の新生ランブレッタ国内総代理店を務めるMOTORISTS(モータリスト)です。このロイヤル・アロイの魅力はなんといっても、ランブレッタの黄金時代を彷彿とさせる2つのボディタイプを持っていることです。
ロイヤル・アロイ TG「丸みを帯びたクラシックなデザイン」
大ぶりで丸みのある固定式のフロントフェンダーや、魅力的な曲線を持つボディ両サイドのパネルなど、クラシックな雰囲気を強く打ち出したのがロイヤル・アロイ TGシリーズ。このTGシリーズは、往年のランブレッタの中でも50年代後半から60年代中盤にかけて生産された「シリーズ2」というモデルレンジをオマージュしたものです。
クラシック・ランブレッタの世界で、現在でも実用的な性能を持つシリーズとして人気があるのは、50年代の「シリーズ1」、前述の「シリーズ2」、そしてランブレッタ最後の時代を飾った「シリーズ3」の3世代がメインです。
クラシック・ランブレッタに明るい方であれば、ヘッドライトやテールランプ、リヤウインカーの造形にシリーズ2の面影をよりハッキリと確認できると思います。もちろん、クラシックモデルを知らない方であっても、現代のスクーターとは一線を隠すその魅力的な造形は個性的に映ることでしょう。ここからはその特徴を紹介していきます。
フロントフェンダーは固定式
大ぶりなフロントフェンダーはボディマウントの固定式です。ハンドルを左右に目一杯切ってもタイヤがフェンダーに当たることはありません。そのため、フロントフェンダーは非常にワイド。スタイリングを決定づけるアイキャッチのひとつです。
曲線で構成されたサイドパネル
丸みのあるふっくらとしたサイドパネルは、かつてのランブレッタ・シリーズ2を思わせる美しい造形です。プレス加工によって生まれた独特の表情が特徴のひとつ。パネル後端に小さなシルバーのパーツはLEDウインカーです。
じつは往年のシリーズ2では、サイドパネルの取り外しに使用するツマミがサイドパネル後端に装着されていましたが、ロイヤル・アロイ TGシリーズでは、そのツマミをLEDウインカーとしてリメイク。クラシックモデルを知る方にとっては、「うまいことやったな!」と思わせるデザインなのです。
テール周りもキュート
テールランプ、ウインカーともにLEDを採用するロイヤル・アロイ TGシリーズ。前述のウインカーはもちろん、テールランプの造形も往年のシリーズ2を彷彿とさせる作りです。もちろん、TGシリーズでもメンテナンスの際にサイドパネルは取り外すことが可能です。
独特な構造のフロントサスペンション
フロントブレーキはウェーブディスクを用いた油圧ディスクブレーキを採用しています。フロントフォークに沿うようにレイアウトされるサスペンションもモダンな仕様。進行方向側にフロントフォークアーム、その後方にサスペンションを配置するレイアウトは往年のランブレッタTVシリーズ同様のレイアウトであり、ボディだけではなく足まわりについても高い再現度なのです。
シンプルなコックピット
前後ブレーキ用に小ぶりなマスターシリンダーこそ装着していますが、メーターパネルはクラシックモデルに倣ってシンプルに。メーター本体はバックライト付きの液晶デジタル式を採用しています。
「GP」は直線基調のスポーティなデザイン1
2