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新世代ハーレーの水冷スポーツスター・ナイトスターは「空冷か水冷か、冷却方式の違いだけで語るべきなのか?」

ナイトスター スポーツスター ハーレーダビッドソン

ハーレーダビッドソン・ナイトスターの資質をいろいろな角度で考える

2021年秋にデビューしたスポーツスターSと、2022年春から発売が始まったナイトスターに関して、僕はすでにモーサイwebで試乗レポートを記している。
とはいえ、試乗レポートという形の中では説明しづらかった要素があるので、当記事では新世代スポーツスターに関する個人的な見解を様々な角度から記してみたい。

■「レボリューションマックス」と名付けられた水冷DOHC4バルブのVツインエンジンを搭載する新世代スポーツスター。左がナイトスター(975cc)、右がスポーツスターS(1250cc)。

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エンジンの冷却方式はそんなに重要ではない?

新旧スポーツスターを語るうえで、エンジンの冷却方式の違いは重要な要素で、最近の二輪業界内では「やっぱり空冷のほうがよくない?」、「いやいや、水冷も相当に侮れない」などいう意見が飛び交っている。

ただし僕自身は、エボリューション以前の空冷Vツインと、新世代スポーツスターが搭載する水冷Vレボリューションマックスの最大の相違点は、クランクシャフトのウェイトではないかと感じている。
具体的な話をするなら、エボリューション以前のクランクウェイトが昔ながらの巨大な真ん丸、超大径&超ヘビーウェイトだったのに対して、レボリューションマックスは小径&軽そうに見える、現代的な釣り鐘型を採用しているのだ。

そしてエボリューション以前の特徴だった、低回転域の重厚さやドロドロ感は、クランクウェイトの貢献度が大きかったように思う。
もちろん、動弁系がOHV2バルブからDOHC4バルブに変更されことや、ボア×ストロークがショートストロークになったこと(空冷時代はずっとロングストローク)、爆発間隔が伝統の0→315→720度から、90度Vツインや270度位相クランクのパラツインと同様の0→270→720度に変更されたことなども、レボリューションマックスの特徴だが、いずれにしても新旧スポーツスターのエンジンフィーリングを語るうえで、冷却方式は筆頭に来るべき要素ではないだろう。

と言っても、実際に周囲の同業者や友人知人と新旧スポーツスター談義をすると、冷却方式をキーワードに使わなと話がスムーズに進まないので、僕自身もしょっちゅう、空冷、水冷、という言葉を使っているのだが──。

XL883R スポーツスター(エボリューション)

■スポーツスターに限った話ではないけれど、ハーレー各車が搭載する空冷45度Vツインのクランクシャフトは昔ながらの組み立て式で、フライホイールとも呼ばれるウェイト部は現代の視点で考えると相当に大きくて重い。コンロッドは左右のズレがないナイフ&フォーク式。

ナイトスター(レボリューションマックス)

■レボリューションマックスのエンジンは現代的な構成。一体鍛造のクランクのウェイトは釣り鐘型で、上下分割式のコンロッドは、左右に並ぶ形で30度位相したクランクピンに装着される。コンロッド大端部はプレーンメタル支持(空冷45度Vツインはローラーベアリング支持)。

乗り手に厳しい水冷エンジン

エンジンの冷却方式として、空冷と水冷のどちらが優れているかと言ったら、一般論では後者である。とはいえ、水冷のレボリューションマックスを搭載するナイトスターを体感した現在、僕の中では以前から抱いていた水冷に対する疑問が増大している。
もちろん、パワーアップや性能の維持、排気ガス・騒音規制への対応などを考えれば、水冷が有利であることは間違いない。とはいえ、水冷エンジンを搭載する車両の中には、パワーユニット本体やラジエターからの熱気が尋常ではなく、空冷より熱い!と感じるモデルが数多く存在するのだ。

残念ながらナイトスターも、熱気はなかなかのものだった。少なくとも僕の場合は、既存の空冷スポーツスターで熱気に耐えられなくなった記憶は一度もないのだが、このモデルの場合は気温が25度の東京都内を走っている段階で、下半身にかなりの熱気が伝わって来る。そう考えるとやっぱり水冷には、エンジンや環境に優しい一方で、乗り手には厳しい……という傾向があるのだろう。

■性能はさておき、乗り手の下半身にはかなり厳しいレボリューションマックス。右側はリアバンクのエキパイが発する熱、左側はラジエターのファンからの熱風がライダーを攻撃する……。

スポーツ路線ではなく、ローダウン系の流れを継承している

新しいナイトスターについて語る場合、伝統的な、昔ながらの──などという形容詞を使用するのが通例になっている。かく言う僕も当記事ですでにその二つの言葉を使っているのだけれど、一昔前のスポーツスターの常識で考えると、ナイトスターのスタイルはローダウン系と言うべきで、改めて考えるとローダウン系がこのシリーズの主力になったのは、実はここ十数年のことなのである。

ではそれ以前のスポーツスターの王道がどうだったかと言うと、車高の低さや巡航性能よりも運動性を重視していたため、リヤの車高とシート高はもっと高かったのだ(ついでに言うと、リヤフェンダーはもっと長かった)。
言ってみればナイトスターは、1957年型XLに端を発するスポーツ系路線ではなく、2009年以降のアイアンやフォーティエイトなどが構築したローダウンスタイルを継承するモデルで、その事実を把握している人の場合は、前述した二つの形容詞に違和感を覚えるかもしれない。

XL スポーツスター(1957年〜)

XL スポーツスター 1957

■1957年にデビューしたXLスポーツスターは、運動性能を本気で追求したスーパースポーツだった。当初の排気量は883ccのみで、基本設計を共有する大排気量版の1000ccが加わったのは1971年から。

XL883N アイアン883(2009年〜)

■1980年代後半からスポーツスターには低車高仕様が存在したけれど、近年のローダウンスタイルの基盤を作ったのは、2008年型XL1200Nナイトスターと2009年型XL883アイアンだったように思う。各部のブラックアウトやショートタイプのリヤフェンダーは、登場時はかなり斬新だった(写真は2021年型)。

XL1200X フォーティエイト(2011年〜)

■ローダウンスタイルを突き詰めた結果……かどうかは何とも言えないところだが、2011年から発売が始まったフォーティエイトは、従来の定番だった19インチに替えて、シリーズ初となる16インチのフロントホイールを採用。バックミラーはハンドル下に装着(写真は2021年型)。

議論を呼んだ価格「日本はやはり貧乏になったのか……」

スペシャル感が強かったスポーツスターSの194万8100円〜はさておき、ナイトスターの188万8700円〜という価格に対しては「高すぎる!!」、「スポーツスターなのに?」などという感じで、驚く人が多い気がする。
何と言っても一昔前のスポーツスターの価格は、100〜150万円前後が定番だったし(ただし、フィーティエイトのファイナルエディションは179万9600円〜)、1990〜2000年代のハーレーダビッドソンジャパンは、ベーシックモデルXL883を88万3000円で販売したことがあるのだから。

まあでも、新世代スポーツスターに対してそう感じる主な原因は、最近のニュースでよく話題になっている、日本の経済力の低下だと思う。
もちろんハーレーダビッドソンとしても、空冷時代と同じスタンスでスポーツスターを売る気はないようだが、1990年代から実質的な賃金がほとんど上がっていない日本とは異なり、堅実な経済成長を遂げている欧米の先進国では、おそらく188万8700円〜という価格は、驚くほど高くはないのだろう。

ちなみに、ナイトスターのライバルになりそうなモデルの2022年型の価格は、インディアン スカウト:179万9000円〜、ドゥカティ ディアベル:243万5000円〜、ホンダ レブル1100:110万円〜。この数字を知ると思わず、ホンダの価格設定に感謝したくなるけれど、世界的な基準で考えるなら、やっぱり新世代スポーツスターの価格は突出しているわけではないようだ。

ハーレーダビッドソン ナイトスター主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクルV型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:97mm×66mm 総排気量:975cc 最高出力:66kW<89ps>/7500rpm 最大トルク:95Nm<9.6kgm>/5750rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2250 全幅:── 全高:── ホイールベース:1545 シート高705(各mm) タイヤサイズ:F100/90-19 R150/80-B16 車両重量:221kg 燃料タンク容量:11.7L
[車体色]
ビビッドブラック、ガンシップグレー、レッドラインレッド
[価格]
188万8700円(ビビッドブラック)
191万9500円(ガンシップグレー、レッドラインレッド)

レポート●中村友彦 写真●ハーレーダビッドソン/八重洲出版

CONTACT

https://www.harley-davidson.com/

 

ハーレーダビッドソンカスタマーサービス TEL:0800-080-8080

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