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新車

ハスクバーナモーターサイクルズ ノーデン901試乗「アドベンチャーの常識を変える革新的デザイン、上質な走り」

ノーデン901 ハスクバーナ

ノーデン901はベースのKTM 890アドベンチャーとは「全然違う!」

スウェーデン由来のモーターサイクルブランド、ハスクバーナモーターサイクルズは、オフロードシーンを主戦場に数々の栄光をもたらしてきた。しかし、ヨーロピアンブランドの多くの宿命か、紆余曲折を経て、現在はオーストリアのKTM傘下にある。
現在のハスクバーナモーターサイクルズは、オフロードモデルのみならず、ロードモデルもラインアップ。AMAスーパークロスやダカールラリーだけでなく、MotoGP(Moto3クラス)への参戦など、そのターゲットをワイドに展開しているのが分かるだろう。

そこから生み出されるマシンは必然的にKTMのモデルをベースとしたものが主流となる。ヴィットピレンやスヴァルトピレンはKTM デュークシリーズを、ノーデン901もKTM 890アドベンチャーを源流としたモデルになっている。
そういった情報流出をメーカーは嫌がる節があるのだけれど、そのうえで断言できるのは、基本骨格は同じであれど、ノーデン901にはまったく異なる個性が与えられているということ。
そして、ベースモデルが優れているからこそのすばらしい世界観がそこにはあるということだ。

デザインは890アドベンチャーがいわゆる正統派ラリーマシンの流れを汲んだアドベンチャーイメージに対し、ノーデンはデザートレーサー然としたスタイリング。そのうえで個性的かつスタイリッシュというハスク流オーラ全開の魅力的デザインと言える。

2022年3月から発売となった、ハスクバーナモーターサイクルズ ノーデン901。
車名の「ノーデン」とは、スウェーデン語で「北」を意味する。

ワインディングからシティライドまで上質な走りが味わえる

またがってみると、シート高は低くないものの、軽さと同時に、燃料タンクを左右に振り分けたうえで低重心化したメリットが感じられる。足着き性が良いとは言えないながら、不安感は少ない。

走り出したノーデン901は、基本的には実にパワフルであるが、優れた電子制御によって挙動を乱すようなことがない。1速でフル加速すれば、フロントアップすることなく、一直線にマシンを前に突き進める。反面、こんなにジェントルなものかな?と思いトラコンをカットすれば、フロントホイールは簡単に地面を離れるほどで、制御の恩恵を受けていたと実感する。

ワインディングでの走りでも、 長めの足が腰砕けになるようなことがなく、フィードバック性も良 好。神経質さがなく、自信を持って振り回していける手応えと優れたハンドリングを持っている。

相当な速度域までその加速に陰りはなく、潜在能力はかなりなものだと満足感を得る。しかし、それを強制するかのようなフィーリング、いわゆるKTM流の「レディトゥレース」といった過激さは影を潜め、平和にも感じられるのが好ましい。それは、足まわりの設定が秀逸であることもあるだろう。アグレッシブさよりも上質さを感じさせる程よさで、路面のギャップをきれいに吸収し、乗り心地も悪くないのである。

トルクバンドを使って優雅に流す走りはもちろんのこと、さらに低回転でドコドコ走らせることすら許容するフレキシブルさも、このノーデン901の魅力だ。
オフロード走行をにらんだ車体設定ながら、ワインディングでも俊足ぶりを見せつける。

右に左にマシンを振り回しても、軽快ながら軽すぎて手応えがないといった不安要素がない。21インチホイールの大らかさもいい方向に働いている。足まわのストローク量はKTM 890アドベンチャーとRの中間的設定で、乗り心地やゆったりさとともに、スポーティにも振っていける絶妙な味付けである。

パワートレーンは基本的にKTM 890アドベンチャーと同じ889cc並列2気筒。最高出力105馬力、最大トルク10.2kgmの数値も同一。標準装備のオートシフターはダウン時の制御もスムーズだ。
フロントホイールは21インチ。タイヤはピレリ スコーピオンラリーSTR。オフロード指向の銘柄だが、オンロードのグリップも良好。
リヤホイールは18インチ。タイヤはフロント同様ブロックがよじれるようなフィーリングもなく、オンロードでも扱いやすい。
サスペンションは前後ともWP製APEXで、ストローク量はフロント220mm、リヤ215mm。リヤサスペンションはリモートアジャスターでプリロード、ダンピングとも調整可能。

ノーデン901のオフロード性能は?

オフロードでの走りも予想外であった。
こういった車格のマシンでオフロードに入るのは躊躇しがちであるのだけれど、まずは軽さが不整地において想像以上のメリットを発揮してくれた。

オフロードの試乗場所は狭い周回コースであったが、あまり回転を上げないトコトコとした走りでもエンジンがぐずつくようなことがなく、実にコントローラブル。足まわりの秀逸さと相まって、トラクション性能が非常に高く、バランスの良さを感じさせる。
トラクションコントロールも適度に滑らせる設定(デフォルトのオフロードモード)が心地良く、必要以上にアクセル操作に神経を遣うこともなく、スイスイと周回できてしまったことには驚かされた。

オフロードに足を踏み入れると、スーパースポーツでワインディングをトロトロと走ったときの一体感の少なさに近い感覚を思い起こしてしまうアドベンチャーマシンもある中で、排気量を忘れるほどノンプレッシャーでマシンを走らせることができるのである。

オンロードだけでなく、オフロードでも非常に広い守備範囲を持っている。ウェブのプロモーション動画にあるようなハードな走りを見てプレッシャーを感じる必要などなく、のんびりと山道を散策するようなシーンでも快適に走れる性能を身に付けていることも、マシンの魅力につながっている。

今回は時間の都合上、長距離走行を試す機会がなかったが、乗り心地やハイスピード域での安定感からして、快適性に疑いの余地はない。また、オプションのラゲッジ類も充実し、トータルでデザインされているところもすてきだ。

優れたマシンをベースにするがゆえの完成度の高さであるが、オリジナリティを随所に感じさせる巧みさがあるノーデン901。ブランディングも含めて、さすがとうならせる仕上がりである。いよいよハスクバーナの名を世に知らしめるときが来た、と感じさせるにふさわしいマシンとなっている。

走行モードは標準で備わるストリート、レイン、オフロードのほか、オフロードをアグレッシブに走れる写真のエクスプローラーモードも追加オプションで用意されている(2万6906円)。

ノーデン901のここが気に入った、気になった

ここが気に入った!

オリジナリティあふれるスタイリングが〇。パワフルかつコントローラブルなエンジンも好印象。エンジン音や排気音など、大きすぎず下品さがない。
充実した電子制御と、液晶モニターのデザイン性や使い勝手もいい。ライディングモードの設定と乗り心地の良さが光る。
オフロードでの軽快さとのんびり走りも許容し、守備範囲が広い。

ここが気になる

充実した装備を考えるとグリップヒーターは標準装備してほしいところ(試乗車にはオプション装着)。フロント19インチモデルやオンロードに特化したグレードの登場も期待したい。走りはもちろん、同時にどんなスタイリングになるかも楽しみ。
さらに、普通二輪免許で乗れるKTM 390アドベンチャーをベースとしたノーデン401などが登場したら最高!?

ノーデン901の足着き、ライディングポジション

高めのシート高とともに、やや幅もあるので足着き性は良好とは言いがたいが(写真はシート高は854mm時)、快適性や操作性にはメリットも。燃料タンクを左右に振り分け、低重心化したことで安心感は高い。
オンロードでもオフロードでも、スタンディングでも違和感のない自由度の高いライディングポジション。165cmの筆者でも大柄すぎない。

シート高は854/874mmの2段階に切り替え可能。上部はスウェード調、サイド部分に黄色いアクセントラインが入り、デザイン性も高い。
自然なポジションのハンドル位置で、切れ角も大きくUターンは割とイージー。純正フォグランプのスイッチはメーター左脇にある。

ハスクバーナモーターサイクルズ ノーデン901主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク90.7mm×68.8mm 総排気量889cc 最高出力77kW<105ps>/9250rpm 最大トルク100Nm<10.2kgm>/6500rpm 変速機:6段リターン
【寸法・重量】
全長:── 全幅:── 全高:── ホイールベース:1513±15 シート高854/874(各mm) 車両重量:204kg(乾燥重量) タイヤサイズ:F90/90R21 R150/70R18 燃料タンク容量:約19L
【価格】
174万5000円

試乗レポート●鈴木大五郎 写真●岡 拓 編集●上野茂岐

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