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ホンダ NT1100は2022年3月に168万3000円で発売
ホンダから新型スポーツツアラーモデル「NT1100」が、2022年3月17日に168万3000円で発売されます。
快適性と実用性を重視しつつもスポーティな走りも楽しめるバイクになっているというNT1100ですが、当記事ではヨーロッパで発表されている内容なども交え、その特徴を紹介していきます。
NT1100とは?「スポーツツアラージャンルに改めて本気で取り組んだモデル」
NT1100開発の狙いは、先にヨーロッパで発表された資料を読み解くと「純粋なスポーツツアラーを造ること」にあるようです。ツーリングに向くバイクとして世界的にアドベンチャー系モデルが隆盛を極めている一方、「ツーリングバイク=アドベンチャーである必要はない」というのがその理由として述べられています。
ヨーロッパにおいてターゲットとしているユーザーは「長距離ツーリングが好きで、オンロードでスポーティなハンドリングを楽しみたい人」「車両サイズが大きくなりがちなアドベンチャーに抵抗がある人」と想定していますが、これは日本でも当てはまるのではないでしょうか?
デザインを見ても、ゴツゴツとした迫力重視のアドベンチャー系モデルとは路線が違うというか、NT1100はシンプルかつ上品な印象。ただしヘッドライトは鋭角的なデザインのLEDとし、フロントまわりはスポーティなイメージとなっています。
NTシリーズって何だ!?
なお、車名の「NT」は日本ではあまりなじみがありませんが、主にヨーロッパ向けのツアラーモデルで長らく使用されていたシリーズ名で、NT650V/NT700V(*)というモデルが販売されていました。
*NT650V/NT700Vには「ドゥービル」という車名も与えられていた。
下の写真はヨーロッパで2012年モデルまで販売されていた「NT700V」。680ccの水冷V型2気筒エンジンにシャフトドライブを組み合わせ、ボディ一体型のパニアケースを備えていました。
ホンダ NT1100のエンジン「アフリカツイン系1082cc並列2気筒を専用セッティング、日本はDCTのみ」
エンジンは1082ccの水冷OHC4バルブ並列2気筒で、アドベンチャーモデル・CRF1100Lアフリカツインと同系のものですが、吸排気系はNT1100専用に。
ヨーロッパ向けの資料によれば主な変更点は吸気ダクト長とマフラー内部構造で、低回転では心地いい鼓動感が味わえる一方、高回転までスムーズに回る特性となっているとのこと。
また、ツアラーらしく、ゆったりとした高速クルージング性能も与えられているといいます。
日本仕様の最高出力は102ps/7500rpm、最大トルクは10.6kgm/6250rpmで、CRF1100Lアフリカツインとほぼ同値です(最大トルクはNT1100の方が0.1kgm少ない)。
走行状況に合わせてエンジンの出力特性や電子制御機構の作動レベルを切り替えられるライディングモードも搭載されていています。
タンデム時でも快適な加速感が得られる「ツアー」、オールラウンドな「アーバン」、雨天時や荒れた路面などで活躍する「レイン」の3モードが基本として用意されますが、各種設定を好みで調整できる「ユーザー」モードもあります。
ヨーロッパ向けはDCT仕様とMT仕様の2ラインアップとなりますが、日本仕様はDCT仕様のみの販売。
DCTの自動変速モードも走行状況や好みでシフトパターンを切り替えることができ、快適性と燃費を重視した「Dモード」のほか、スポーティなシフトパターンとなる「Sモード」があり、Sモードはレベル1〜3が選択可能となっています(レベルの数字を上げるに従い、より高回転までギヤを引っ張る特性に)。
ホンダ NT1100の車体「フレームもアフリカツインをベースとするが、足まわりはオンロード用にセッティング」
フレームもCRF1100Lアフリカツインをベースとしたスチール製セミダブルクレードルフレーム+アルミ製シートレールという構成ですが、オフロード性能を重視しているCRF1100Lアフリカツインに対し、NT1100ではオンロードでのスポーティなハンドリングを重視。
ホイール径は前後17インチで、そのうえでキャスター角などディメンションも変更されています。
サスペンションもオンロード走行時のハンドリングや快適性、パッセンジャーや荷物の積載を想定したものとなっており、フロントはショーワ製のカートリッジ式倒立フォーク「SFF-BP」(セパレート・ファンクション・フロントフォーク・ビッグピストン)、リヤはシングルチューブ加圧式のモノショックという構成です。
ヨーロッパ向けの資料によれば、倒立のフロントフォークはインナーチューブ径43mmで、前後ともサスペンショントラベルは150mm。リヤサスペンションのスプリングプリロードは油圧リモート式の調整機構を備えていて、タンデムや積載など走行状況に合わせて手軽に変更できるようになっています。
また、燃料タンクは20Lで約400kmの航続距離を想定しているとのことです。
そしてスポーツツアラーらしく大型のカウルには高い防風性能が与えられているほか、ハンドル前方やステップ前方にウインドディフレクターを設けることで、手や足に当たる風も軽減。快適なクルージングが楽しめるといいます。
また、スクリーンもライダーの体格や走行状況に合わせ、手動で5段階に調整可能です。
ホンダ NT1100の快適装備、実用装備、安全装備
シートは長時間走行を想定し、快適性を追求。各部の厚みを調整することで疲労軽減効果を高めていますが、シート幅はスリムな形状として、足着き性にも配慮されています(シート高は820mm)。
メーターは6.5インチのタッチパネル式フルカラー液晶+小型モノクロ液晶の組み合わせ。
スマートフォンとの連携機能も備えており、Apple CarPlay、Android Autoに対応していてフルカラー液晶部にナビ画面を表示させることができるほか、Bluetooth接続によるインカムなどとの連携も可能です。
ABSはもちろん標準装備され、電子制御機構としてはウイリーや後輪スリップを抑止する「ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール」を搭載(いわゆるトラクションコントロールとウイリーコントロールに該当するもの)。
また、グリップヒーターやクルーズコントロールも備えています。
日本仕様ではETC2.0が標準装備されるほか、ヨーロッパ仕様同様にパニアケース、トップケース、フォグライトなどが純正アクセサリーとして用意されます。
このように、アドベンチャーにお株を奪われていた感があった「スポーツツアラー」ジャンルを改めて見直し、DCTや電子制御機構など、ホンダが持つ最新の技術でまとめあげたモデルがこのNT1100と言えるでしょう。
ホンダ NT1100主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:92.0mm×81.4mm 総排気量:1082cc 最高出力:75kW(102ps)/7500rpm 最大トルク:104Nm<10.6kgm>/6250rpm 変速機:電子式6段
[寸法・重量]
全長:2240 全幅:865 全高:1360(スクリーン最上位置1525) ホイールベース:1535 シート高:820(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:248kg 燃料タンク容量:20L
[車体色]
マットイリジウムグレーメタリック、パールグレアホワイト
[価格]
168万3000円
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