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スピードトリプル1200RRは2022年1月、228万5000円〜で日本導入予定
トライアンフは2021年9月にニューモデル「スピードトリプル1200RR」を発表、日本では2022年1月に228万5000円〜で発売が予定されています。
さて、このスピードトリプル1200RRはトライアンフのスポーツモデルの代名詞である3気筒エンジンを搭載したスピードトリプルをベースに、ロケットカウルを装着したスポーティなマシンです。
ロケットカウルはラウンド型ヘッドライトをひとつだけ装備して、どことなくクラシックなカフェレーサーを彷彿とさせる印象的なスタイルのピードトリプル1200RR。
しかし、単なる懐古主義のマシンではありません。
なぜなら、ベースとなっているのは180馬力を発揮する1160cc3気筒エンジンを搭載したスポーツネイキッドのスピードトリプル1200RSなのです。
5種類のライディングモードやコーナーリングABS、フロントブレーキにブレンボの最高峰キャリパー・スタイルマを備える点などはスピードトリプル1200RS同様ですが、オーリンズ・スマートEC 2.0という最新式アクティブサスペンション(電子制御サスペンション)を別途採用していて、サーキット走行を本気で楽しめてしまうテクノロジーが数多く盛り込まれているのです。
しかもその充実ぶりときたら、最新のスーパースポーツマシンにもまったく引けを取りません。
当記事ではスピードトリプル1200RRのスタイリングやエンジン、最新の電子制御機構など、その詳細について解説していきます。
スピードトリプル1200RRのデザイン・ライディングポジション
小ぶりなロケットカウルやシングルシートと、モダンなカフェレーサーとしての存在感を放つスピードトリプル1200RR。
真横から見ると、ロケットカウルやヘッドライトはかなり低い位置にマウントされているのがわかります。
同車の開発ではスポーツ性を何より重視したとのことで、低重心化が図られていることからも、その狙いがハッキリと見えます。
クリップオンハンドルはパイプハンドルを採用するスピードトリプル1200RSと比較すると、ハンドル高さは135mm低く、前方へ50mm移動しています。
ハンドルバー自体は適度に絞られてはいますが、ライディングポジションはネイキッドというよりは、一般的なスーパースポーツ同様、かなりスパルタンな印象。
ヘッドライトはデイタイムランニングライトを装備したLEDです。
リヤのシルエットも独創的で、スタイリッシュなLEDテールライトによってスポーティな印象を強調。
こうした灯火類についてもトライアンフは細部にまで凝ったデザインとしていますが、同社のその他のモデル同様ですね。
真上からの写真を見てみると、3気筒エンジンのスリムな車体がよくわかります。
エンジンの横幅はタンクの最大幅とほぼ同一。そのタンクは後端にかけて大胆に絞り込まれており、菱形状のシルエットでシート座面下のフレームもナローに仕上げられています。
180馬力の3気筒エンジンは電子制御もスーパースポーツ並み
スピードトリプル1200RRのエンジンは、2021年初頭に新登場したスピードトリプル1200RSと同じ1160ccの並列3気筒。
ボア・ストローク90.0mm×60.8mm、圧縮比13.2、最高出力180ps/1万750rpm、最大トルク12.7kgm/9000rpmといった数値も同一。
そして、新型スピードトリプル1200RSで高い評価を受けた各種電子制御もそのまま受け継いでいます。
ライディングモードは、レイン、ロード、スポーツ、トラックの4モードのほか、トラクションコントロールやコーナーリングABS、ローンチコントロールなど各種電子制御システムのパラメーターをライダーが任意で設定できるライダー・コンフィギュレーターモードも備え、全5モードが選択できるという非常に充実した内容です。
各モードの特性についてはその名称から想像できるかと思いますが、公道での一般的な走行に向く「ロード」、ウェット路面に対応する「レイン」、ワインディングなどを楽しむのに向く「スポーツ」、サーキットでのスポーツライディングに向く「トラック」──それぞれのモードで、エンジンの出力特性をはじめ、トラクションコントロールやABSの介入度合いが最適にマッピングされています。
なお「トラック」では電子制御の介入がミニマムに……ほぼ剥き出しのエンジンパフォーマンスが楽しめます。
出力だけでなく、電子制御もスーパースポーツ並みと言えますが、スピードトリプル1200RRのハイライトはこれだけではありません。
というのも、トライアンフならではというべき、Moto2クラスへのエンジン供給で蓄積した技術から生まれた「トライアンフ・シフト・アシスト」が装備されているのです。
クラッチ操作無しでシフトアップ&シフトダウンを可能とするいわゆる「クイックシフター」ではありますが、簡易的なクイックシフターのようにただ単に変速の瞬間にエンジンの点火をカットするものではなく、エンジンの点火、燃料供給、スロットル開度など、各種パラメーターの情報に合わせて完全な調整を行うもの。
根本的なシステムはMoto2クラスに参戦する各チームのマシンと同様とのことで、ライダーはよりライディングに集中することができるのです。
電子制御サスペンションは「スピードトリプル1200RR」ならではの装備
高性能なエンジンはスピードトリプル1200RSから受け継いだ特徴ですが、スピードトリプル1200RRならではとなるのが電子制御サスペンションシステム「オーリンズ・スマートEC 2.0」の採用です。
このオーリンズ・スマートEC 2.0は、オーリンズ社のラインアップでも最新世代となるセミアクティブサスペンションであり、高精度のセンサーを介して刻々と変化する路面状況を判断、瞬時に前後サスペンションの減衰特性を最適に保つというシステムです。
オーリンズ・スマートEC 2.0は前述した電子制御機構とも連動しているので、車速はもちろん、ブレーキングやコーナリング、加速などの走行中の車体がどんな状態にあるのかを常にセンシングしながら、必要に応じて減衰特性を最適にアジャスト。
かつてはサスペンションとエンジンマネジメントシステムは独立したユニットでしたが、近年は電子制御技術の進化によって、そのすべてが連携された統合的制御するシステムへと変化しています。
トライアンフをはじめ、各社がリリースする最新スポーツモデルを見れば、こうした統合的制御がこれからのスタンダードとなっていくことは明らかでしょう。
このようなシステムは「後付け」するのは極めて難しいものです。
いかに高性能なアフターマーケット製サスペンションやエキゾーストシステムを手に入れたとしても……。
それらがパッケージされつつ、228万5000円〜というプライスタグを掲げるスピードトリプル1200RR。
ベースとなるスピードトリプル1200RSは203万円ですが、スピードトリプル1200RRのために追加された装備を考えると、非常に魅力的な価格と言えるのではないでしょうか。
利便性や快適性を高める装備も充実!
さらに言えば、スピードトリプル1200RRではグリップヒーターやクルーズコントロールのほか、「My Triunph」アプリでスマートフォンと連動する5インチのフルカラーTFTモニター、さらにはGoProのコントロール機能など、現代的なモーターサイクルにふさわしいユーティリティも充実しています。
トライアンフから発表されたスピードトリプル1200RRのPR写真や動画ではサーキットのイメージが多いため、スパルタンで過激なスポーツモデルなのでは……という印象を抱いた人もいるかもしれませんが、実際は快適性や使い勝手にも優れたスポーツバイクという側面もあるのです!
トライアンフ スピードトリプル1200RR主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:90.0mm×60.8mm 総排気量:1160cc 最高出力:132.4kW<180ps>/1万750rpm 最大トルク:125Nm<12.7kgm>/9000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2085mm 全幅:758mm 全高:1120mm(ミラー含まず) ホイールベース:1439mm シート高:830mm タイヤサイズ:F120/70ZR17 R190/55ZR17 車両重量:199kg 燃料タンク容量:15.5L
[車体色]
レッドホッパー×ストームグレー、クリスタルホワイト×ストームグレー
[価格 ]
228万5000円(クリスタルホワイト×ストームグレー)、231万7500円(レッドホッパー×ストームグレー)
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