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新型ドゥカティの水冷Lツインエンジンは「力強くフレキシブルな特性」

エンジンは最新型の「テスタストレッタ11°」。
現在、モンスターを含め4モデルに搭載されている、ドゥカティにとっての主力エンジンである。
スポーツツアラー「スーパースポーツ950」やアドベンチャーモデル「ムルティストラーダ950」など、さまざまなキャラクターのモデルに用いられていることから汎用性の高さが理解できるが、当然、それぞれに合わせたセットアップが施されてもいる。
モンスター用としても内部パーツを数多く刷新。トルクフルでありながら過剰なパワーは感じられず、アクセル操作をイージーにしている。そのうえで、回せば胸のすくような加速──これはドゥカティ独自の機構、バルブスプリングを持たないデスモドロミックシステムによるフリクションの少なさによる恩恵もあるだろう──を味わえる。
回せば回すほどスムーズになるかのようなエンジン特性のマシンは、半面、低回転域では回転が安定しないようなモデルも過去には少なくなかった。が、新型モンスターは非常にフレキシブルなキャラクターとなっている。

それによって半クラッチ操作を必要とする場面は大幅に減ったし、そもそも「ドゥカティはクラッチ操作が難しい、重い」などという通説は既に過去のものになっている。特に新型は油圧式のクラッチシステムに変更。 操作の重さが従来比20%軽減されており、より繊細なコントロールを可能としている。
それにしても、新型のエンジンは完成度の高さを感じさせる。
3種類用意されたライディングモードからスポーツモードを選択すれば闊達なるレスポンスとパワフルさを生み出し、ツーリングモードを選べばトルクに満ちた重厚感を堪能させてくれる。
そうやってシチュエーションごとにキャラクターを変えられるのは、もしかするとムルティストラーダシリーズで培った変幻自在のセッティング技術を用いているからかもしれない。たとえば、過去にはあまり快適とは言えなかった雨天時のライディングにおける安心感もとても高い。
晴れの日だけのスペシャルなマシンでなく、ツーリングバイクとしていろいろな状況下で乗るときにも、街乗りなどで日常的に接するときにも、特別な意識を持つことなく気軽にライディングできるのが大きな特徴である。
これは、ライディングモードによる出力特性の最適化とともに、トラクションコントロールなどの電子制御によるライディングアシストが安心感を高めていることも大きいだろう。




