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ドゥカティ新型モンスター試乗「脱トレリスフレーム&937ccの新エンジン、すべては軽さと走りのために」

スポーティーでスタイリッシュ、スポーツネイキッドのリーディングモデルたるドゥカティのモンスターが新世代型に生まれ変わった。歴代ドゥカティ・モンスターに精通したプロライダーの鈴木大五郎がこれをテストする。

ドゥカティ モンスターは4世代目に突入

1992年のドイツ・ケルンショーで発表されたモンスター900(M900)は、レーシングマシン由来の車体にストリートユースに最適なエンジン(空冷904cc)を搭載したネイキッドマシンとして登場した。
ネイキッドと言えばシンプルでオーソドックスなモデルが多かった当時、モンスター900はドゥカティらしいスポーツ性を盛り込んだマシンとなっており、その乗り味はかなりスパルタンでもあった。

しかし、それは絶大なる支持を集め、2021年1月にはシリーズ累計35万台のセールスを達成するなど、ドゥカティきってのべストセラーモデルとなった。
人気を得たモンスターはさまざまなバリエーションモデルを展開していき、それこそスーパーバイク顔負けのレーシーなモデルからフレンドリーなものまで、また、排気量違いも豊富にラインアップ。
日本専用ともいえる400ccモデルも登場するなど、そのファミリーは大きな広がりを見せた。

そして2021年モデルで、世代的には4代目となった新型モンスター。
最新ラインアップではオプション装着車の「+」の他には排気量バリエーションもなく、マシン自体の選択肢は一択。名称もシンプルに「モンスター」と、原点回帰したかのようである。
アドベンチャーのムルティストラーダがテーマに掲げる「4バイクス・イン・ワン」ではないが、「ニューモンスター・ハズ・エヴリシング」とでも言うのだろうか。
電子制御のアップデートなどにより、モデル展開が一本化されたとも考えられる。

2021年6月から日本で発売された新型モンスター。試乗車はフロント・スクリーンとパッセンジャー・シートカバーがパッケージされた「モンスター+」。
新型モンスターの日本仕様はローシート&ローダウンサスペンションが標準装備となっている。

新型モンスターのフレーム「トレリス構造ではなくアルミ製フレームに」

ニューモンスターのトピックは、まず、ドゥカティ伝統のトレリスフレームを廃したことだろう。その決断は初代モンスターが「レーシングマシン由来の車体」だったことに基づいているという。

新型モンスターに採用された軽量コンパクトなアルミフレームは、スーパーバイクの最先端で走っているパニガーレV4のフロントフレームと同じ思想により作られたもの。
もともとのトレリスフレームは職人技とも言えるスチールパイプの組み合わせによって絶妙な剛性コントロールを行っていたが、それらの剛性バランスを解析・数値化できるようになったという技術の進化もこの転換を後押ししたのだろう。

新型モンスターに採用されたアルミ製「フロントフレーム」。エンジンに直結され、エンジンもフレーム構造の一部とする。

しかし一方で、トレリスフレームならではのスチールパイプの組み合わせがマシン全体の美しさをより 強調していた点は見逃せない。
ただし、フレーム単体の重量を従来型のモンスター821比で60%削減、わずか3kgにしたという数字を見せられたら、これはもう少し話を聞く必要性が生じてくる。

トレリスフレームのメリットはエンジンに沿ってギリギリのレイアウトが可能、つまりスリム化に貢献するということだったのだが、 パニガーレV4から採用されたフロントフレームはエンジンをストレスメンバーとして積極的に利用することにより、必要最低限のパーツでトレリスフレームと同等以上の性能を確保。
機械加工技術の進歩によって実現したハイレベルなアルミフレームの恩恵で、マシンはスチールパイプフレームを採用していたころにも増してスリム、そしてコンパクトなのである。

また「ネイキッドスタイルにしては……」と少し文句を言いたかったハンドル切れ角も改善されており、Uターンなどを含む取り回し性能が大幅に高められている。
車両総体としての軽さも特筆すべきものがあり、モンスター821に比べて18kgもの減量を実現している。

身構えさせるような印象がなくすんなりとフィットする感覚は、軽量・コンパクト化されただけでなく、 ライディングポジションが自然になったということにもよるだろう。
前傾姿勢ぎみになるワイドなハンドルバーこそがモンスターのアイデンティティといったイメージから脱却し、より汎用性の高いマシンとなっている。

市街地走行における俊敏な取り回しと直感的な使いやすさを考慮して、ハンドル切れ角はモンスター821と比べて+7度の36度に設定。

ドゥカティ新型モンスターの足着き&ライディングポジション

ライダーの身長は165cm。オーソドックスなネイキッドらしいポジションで、ミドルクラスのマシンにまたがっているようにコンパクト。
足着き性は良好でフレームのスリムさも効いている。半面、もう少し腰の位置が高いほうがスポーティに走らせられるはず。ヒザの曲がりもやや強め

日本仕様はローシートが標準装備となり、ローダウンサスペンションと相まって、シート高は775mmとなっている。

ドゥカティ歴代モンスター&フレーム構造の変遷

モンスター900(1993年登場)

フルカウルスポーツモデルが大半だった1990年代のドゥカティのラインアップに忽然と姿を現したモンスター900(M900)は、スーパーバイク世界選手権で活躍した851や888に用いられた鋼管トレリスフレームに、公道向けスポーツモデルである900SSのエンジンを搭載。
1993年に発売されると、刺激的なライディングフィールとひと目で印象に残るスタイリング、比較的手頃な価格が相まって大ヒットを記録した。

モンスター696(2008年登場)

その後、2008年モデルで登場したモンスター696で前半部のみをトレリス構造としたフレームに転換。これが第2世代となる。

モンスター1200(2014年登場)

そして、2014年モデルとして登場したモンスター1200から始まる第3世代ではさらにトレリスフレーム部がコンパクト化されたほか、フレームとエンジンが直結され、新型モンスターにも通ずるエンジンも剛性メンバーとする構成となった。

モンスター(2021年登場)

ドゥカティ・モンスターを象徴するデザイン要素と言えばトレリスフレームが真っ先に頭に浮かびがちだが、実は初代から重要視されているのは、横から眺めたときのフレームから上のフォルム。

円形のヘッドライトケースを先頭に、水牛の背中のように盛り上がったタンク、そして、後輪のアクスルシャフト上で完結するシャープなテール。この要素がしっかり継承されていることこそ、モンスターであることのデザイン面での証拠なのだ。

新型でも、わずかなスペースしか専有しないプロジェクター式LEDヘッドライトを採用しながらも、円形のライトケースを設けているのだ。また、車体各部のパーツデザインで「コンパクト、軽量、本質的」であるということを表現しているのもモンスターらしさを強調している。

エンジンは定評ある水冷Lツイン「テスタストレッタ」の改良版

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CONTACT

■ドゥカティ新型モンスター公式webサイト

https://www.ducati.com/jp/ja/bikes/monster/monster

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