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G310GSはBMW伝統「GS」の最小排気量モデル
オンロードもオフロードも楽めるアドベンチャーバイクは、4輪で言えばSUVのような存在です。
かつてはマニアックなカテゴリーだったものの(「ビッグオフ」「アルプスローダー」などと呼ばれた時代もありました)、近年では世界的な大ブームとなり、あらゆるバイクメーカーがそれに該当するモデルをラインアップするほどになりました。
アドベンチャーというカテゴリーにおけるパイオニアがBMW Motorradです。1980年に「R80G/S」を発売して以来、「GS」と名の付くモデルを40年以上に渡って作り続けてきました。

ホンダのアフリカツインやヤマハのテネレ、ドゥカティのムルティストラーダなど、今では多くのライバル車が存在していますが、そうした中にあってもGSの持つ求心力は健在。そんなBMW Motorradが2017年に発売したのが、GSシリーズの最小排気量モデルとなる「G310GS」です。
G310GSは前方吸気・後方排気という珍しいレイアウトの水冷単気筒エンジンを搭載し、最高出力25kW(34ps)/9500rpm、最大トルク28Nm(2.8kgm)/7500rpmを発揮。エンジンやフレームはネイキッドモデル・G310Rとコンポーネントを共有しますが、長いサスペンションを組み合わせ、走破性を高めるためフロントホイールを19インチとするなど、本格的なアドベンチャーバイクとなっています。
2021年型で初のモデルチェンジが行われ、日本では5月下旬よりデリバリーが始まりました。新型G310GSは従来モデルと比較してどこが変わったのでしょうか。記事の後半ではライバル車との違いについても解説します。


新型BMW G310GSのデザイン「LEDヘッドライトとニューカラーを採用」
新型BMW G310GSのLEDヘッドライト
2021年型G310GSでは、ヘッドライトにLEDヘッドライトが採用されました。
従来モデルではハロゲンバルブを用いていましたが、シャープなデザインのヘッドライトユニットとも相まって、一気に最先端のスタイルへと変貌した印象です。
ウインカーもLEDとなり、テールランプを含めて灯火類はすべてLED化されました。

ヘッドライト周囲の黒い樹脂製ハウジングは、従来型と同じ形状のように見えますし、ヘッドライトユニット本体もレンズ外周の形状は従来型同様のデザインですので、単純にユニットがLEDに差し替えられたと言っていいでしょう。

「GS40周年記念モデル」を含む3種類のグラフィック
モデルチェンジに伴って、外装や車体のカラーリング&グラフィックが刷新されました。外装や車体関連パーツのデザインは基本的に従来型と同じですが、まずは従来型と写真で比較してみましょう。


BYBRE製のブレーキキャリパーや倒立フォークのカラーリングも従来型・新型で同じですが、エンジンのクランクケース&同カバーがシルバーからブラックに変更されています。
同時に発売されたネイキッドモデル・G310Rでは、タンクカバーやサイドパネルの形状に変化がありましたが、G310GSではグラフィック以外に変更はないようです。
そもそもG310GSのデザインは、R-GS系のエルゴノミクスを踏襲しており、まだまだ古臭さを感じるものではありません。
では、ここからは3タイプのカラーリングについて紹介します。
GS生誕40周年記念カラー「コスミック・ブラック」
BMW Motorradが初めてGSの名のつくモデルR80G/Sを発売したのが1980年。
2020年にGS生誕40周年を記念する特別なカラーリングを施したGS各モデルがドイツで発表されました。
このブラックとイエローを基調としたカラーリングは、80年代の名車「R100GS」をオマージュしたもので、タンクカバーの上部には「40 Years GS」のロゴマークもあしらわれています。



スタイルラリー「カイヤナイト・ブルー・メタリック」
3種類のカラーのうち、唯一カラーフレームを採用しているのがこの「スタイルラリー」です。
鋼管チューブラーフレームとシートレールが鮮やかなレッドでペイントされています。カスタム好きの人には車体各部にオリジナルペイントを施す方もいますが、フレームをペイントしようと思うとそれなりの手間とお金がかかります。
色が気に入ったのであれば、このスタイルラリーがおすすめです!


スタンダード「ポーラ・ホワイト」
ポーラ・ホワイトとグレイの組み合わせが爽やかなスタンダードモデル。他の2色と比べると、どんなライディングウエアでも違和感なくフィットしそうなボディカラーです。


バージョンアップしたG310GSの水冷単気筒エンジン
LEDヘッドライトや新グラフィックの採用などデザインを刷新した2021年型G310GSですが、新型のもうひとつのハイライトがエンジンです。
G310GSは2017年に登場した初代モデルから312ccの単気筒エンジンを採用しています。この単気筒エンジンは少し変わっていて、シリンダー前側に吸気システムを、シリンダー後方に排気システムをレイアウトしているのです。「後方排気」ともよばれるこのエンジンは、2021年型G310GSでも継承されています。
最高出力34ps、最大トルク2.8kgmという数値こそ従来モデル同様で(新型では各発生回転数がわずかに下となっています)、このクラスの単気筒エンジンとしては平均的なスペックと言えるでしょうが、中身は大幅にアップデートされました。

スロットルシステムが電子制御式「フライ・バイ・ワイヤ」に!
エンジンは現在欧州で施行されている「ユーロ5」の規制に適合するためにアップデートされており、それに伴ってスロットルは電子制御式のフライ・バイ・ワイヤに。
スロットルグリップの開度を電気的にECUへ送るこのシステムは、機械式ワイヤーケーブルに比べて応答性に優れているので、右手の動きに対してリニアにエンジンが反応します。



エンストの不安を解消!オートマチック・アイドリング機能
2021年型G310Rと同じエンジンを搭載するG310GSでは、G310R同様にアイドリング領域での不意のエンストを防いでくれる「オートマチック・アイドリング機能」が装備されています。
極低回転域でのサポート機能は、免許を取ったばかりのビギナーにとっても優しいだけでなく、ノロノロとしか進まない渋滞路でも疲労軽減に有効でしょう。
そしてアドベンチャーバイクとして、足場の悪い林道などオフロードを楽しむユーザーにとっても活躍しそうな機能と言えます。
また、G310R同様に自己倍力機能付きのスリッパークラッチも装備しているのも見逃せないポイントです。

新型BMW G310GS主要諸元
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:80.0mm×62.1mm 総排気量:313cc 最高出力:25kW<34ps>/9250rpm 最大トルク:28Nm<2.8kgm>/7250rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2190 全幅:880(ミラー除く) 全高:1250(ミラー除く) ホイールベース:1420 シート高835(各mm) タイヤサイズ:F110/80R19 R150/60R17 車両重量:175kg 燃料タンク容量:11.5L
[車体色]
コスミックブラック、カイヤナイト・ブルー・メタリック、ポーラー・ホワイト
[価格]
70万9000円(「GS40周年記念モデル」と「スタイルラリー」は71万9000円)
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2BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL:0120-269-437
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