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【試乗レポート】新型=3代目ホンダNC750X DCT「乗りやすいはつまらないじゃない、乗りやすいは楽しい!」

NC750X DCT ホンダ

メットイン収納がある点やクラッチレスで自動変速ができるDCT仕様が設定されている点、あるいは燃費に優れている点など、とかく「実用性が高い」部分ばかりクローズアップされがちなホンダNC750Xだが……一番の魅力は「乗りやすい」ことではないかとモーサイweb編集部は考える。

一方、乗りやすい=つまらないと取る向きもあるかと思うが、「ナナハンのバイク」にもかかわらず、NC750Xの扱いやすさは尋常ではない(最新型は特に)。
全く気負うところがなく、毎日でも乗りたくなってしまうほどと言ってもいいだろう。
毎日乗りたい気持ちにしれくれるバイク、それってとってもハッピーな乗り物なんじゃないだろうか?


NC750Xの大きな特徴「自然なハンドリング」

新型=3代目NC750Xは、おそらく誰もが初めてまたがった瞬間から、着慣れた服のような自然体で乗れるモデルだ。
アップライトなライディングポジション、良好な足着き性、落ち着き払ったクセのないハンドリング──どれをとっても普遍的なネイキッドモデルのような感覚で、そこに戸惑う要素は一切ない。

それもそのはずというか、前後のホイールサイズは現代のオンロードモデルではおなじみの17インチで、タイヤサイズもフロント120/70ZR17、リヤ160/60ZR17とオンロードスポーツ車の定番サイズを装着する。
実のところNC750Xは、そのスタイリングはアグレッシブさを感じさせるアドベンチャーモデルだが、基本構成は(現在はラインアップ落ちした)ネイキッドモデルのNC750Sに由来する。そのため「すんなり乗れてしまう性格」なのはある意味当然だろう。

加えて、745ccのOHC4バルブ水冷並列2気筒エンジンは最大トルクを4750rpmで発生する低中回転型だから、スロットル開け始めから力強いし、よく粘る。
DCTの自動変速モードを「スポーツ」にしない限り、市街地走行やツーリングペースでは早めにシフトアップが行われ3000rpm台をキープするのだが(NCシリーズのウリ=燃費向上のためでもあるだろう)、それでまったく問題ないほど。

むしろ、トロトロとした、角の取れた穏やかな2気筒の回転フィーリングが気持ち良いくらいであり、スロットル開け始めから中回転域までの力強い特性は、普通のライダーが普通の道を走る上で非常に扱いやすい。

DCT=デュアルクラッチトランスミッションのメリット/デメリット

クラッチ操作のないDCTなら、エンストすることもないので「低回転域におけるスロットル操作の不安」から解放され、なおさら気軽で軽快だ。
しかも、そのエンジン特性と相まって、ツーリング先での立ち寄り、あるいは渋滞でもストレスを感じることが少ない。これは今回使ってみて実感した美点である。

それでいて、エンジンは回せばしっかり上まで吹け上がるし、パワー感もあるので高速巡航生も悪くないし(スクリーンの防風性も十分にあり、高速道路での快適性も高い)、ワインディング走行も相応に堪能できる。

そのハンドリングは冒頭で記したように、オンロードモデルと何ら変わらない……と言うよりも、むしろよくできたネイキッドモデルのように、行きたい方向に視線を向けて、軽く体を傾ければ、マシンはスムーズに向きを変えていく。
やみくもにペースを上げるような扱いをしない限り、ゆったりとごく自然に扱っていれば、落ち着きのあるハンドリングと回頭性で、これもまた実に気持ちが良い。
「リッラクスして走る」という言葉が、ぴったりだ。

新型=3代目NC750Xの車体構造。燃料タンクに該当する部分は収納スペースとなっており、本物の燃料タンクはシート下にある。エンジンは前傾してマウントされており、低重心化が追求されていることがわかる。

しかも、前後17インチのメリットなのか、低重心の車体レイアウトの恩恵か、低中速ではフルバンクまで簡単に持っていける。
DCTの場合、ギヤ操作やクラッチ操作をする必要がないので、体重移動やライン取りに専念できるという美点もある。
そういった面でも、エンジンと合わせてツーリングや長距離走行には向いているモデルであると感じられるのだ。

では、ネガティブ面は何かというと、やはりその17インチの性格にある。比較的大きな路面の凹凸や深い轍では、瞬間的にハンドリングが少し神経質になることがある。
また、そういう場合に限って、決して軽くはない車重が顔を出すので、サスペンションがガタンッとむずかる(そういう車体の質量感は、下りの山道で強めにブレーキングした時などでよく分かるはず)。

また、DCTの場合は、そのアルゴリズムからかワインディングなどで頻繁なスロットルの開閉を行うと、シフト操作が介入してライダーが思うようなギヤポジションがキープできないこともある。もっとも、そこまでのペースで走ることはあまり褒められたことではないし、本来の使用状況からすれば、まずほとんど感じないことだろう。あくまでも「こういう事もある」というレベルの話だ。

まあ、DCTの自動変速が自分に合わないと感じた場面では変速モードを「マニュアル」にして楽しめばいいのだが、最初からワインディングメインで走るつもりのライダーなら、7万円安くなるMT仕様という選択もアリだろう。

メーターは中央にバーグラフ式回転計、速度計、ギヤポジションを表示。上部に燃料計や時計、下部にはオド、ツイントリップ、燃費、平均車速や走行時間などを表示できる。
NC750X DCTの左スイッチボックス。マニュアル変速をする+−スイッチや、メーターの表示の切り替えスイッチ、ライディングモードの切り替えスイッチがまとめられている。グリップヒーターは標準装備。
NC750X DCTの右スイッチボックス。最新のホンダ車に多く採用されているキルスイッチ一体型スタータースイッチとDCTの操作スイッチがまとめられている。

NC750Xならではの「メットイン収納」は確かに便利!

NC750Xの大きな特徴である大容量収納スペースは、やはり使い勝手がいい。ヘルメット、そこそこの大きさのバッグ、小物類など、なんでも放り込んでおけるので、ツーリングや出先での利便性はすこぶる高い。
駐車スペースなどは個々人の環境によるかと思うが、通勤など街乗りに使う場合でも重宝するに違いない。

半面、給油口がリアシート下に設けられているので、昨今流行りのシートバッグなどをリヤシートに取り付けるとガソリンスタンドで一旦外さなくてはいけない……と手間が増える。
大荷物でツーリングをする(あるいはしたい)というライダーは、始めからパニアケースを検討するのも良いだろう。外観も「アドベンチャーらしい」スタイリッシュになることだし。

「タンク部分」の収納スペースは容量23Lで、フルフェイスヘルメットを収納可能。標準装備となるETC2.0の機器も収納内に配置されている。
燃料タンクはシート下にあり、容量は14L。給油口はリヤシート下に設けられている。

新型=3代目NC750Xモデル解説

前後17インチホイールの足まわりや、前傾にマウントしたエンジンなど「低重心かつ足着きも良好」というメリットは最新型=3代目NC750Xにも継承されている。
フレームやエンジンの軽量化、外装類の刷新で車重は従来型から6kg軽量となった新型=3代目NC750X。

NC750Xの原点となるNC700Xは「快適で扱いやすく、燃費に優れたミドルクラスを求めやすい価格で」という非常に貪欲なコンセプトに基づき開発され、2012年に発売された。
「一般のライダーが公道で使うのはほとんど低中回転域」という調査から669ccのOHC並列2気筒エンジンは徹底的に低〜中回転域での力強さを重視。燃料タンクをシート下とすることで、通常燃料タンクがある位置を収納スペースするなど利便性を追求した車体構成も大きな特徴である。10cc1万円を下回る64万9950円という価格も話題を呼んだ。

そうした特徴は継承しつつ、2014年、エンジンの排気量を745ccにアップした「初代NC750X」が登場。
2016年にはデザインを一新、サスペンションの改良などを行ったほか、DCT車では変速制御の熟成・シフトタイミングを調整できる新モードの搭載などを行い2代目に(エンジンやフレームは初代から継承)。

2014年に登場した初代NC750X。最高出力54馬力/6250rpm、最大トルク6.9kgm/4750rpm、車重はDCT仕様で229kg。
2016年に登場した2代目NC750X。最高出力54馬力/6250rpm、最大トルク6.9kgm/4750rpm、車重はDCT仕様で230kg。

そして、2021年モデルとして登場した最新型「3代目NC750X」ではエンジンとフレームにも大幅に手が入れられ、軽量化・ハイパワー化が行われた。
全体のシルエットは従来型(2代目)の正常進化といった印象だが、アドベンチャーモデルならではのヘッドライト下にある「クチバシ」がカウル一体となったほか、レイヤード構造のカウルを採用。

新設計となったスチールパイプ製ダイヤモンドフレーム、部位に応じて様々な肉厚のパイプを組み合わせることで、フレーム単体で1.8kgの軽量化を達成。フレーム形状の変更とバッテリーなど部品搭載位置の変更で、収納スペースの拡大も行われている。

新設計となったスチールパイプ製ダイヤモンドフレーム。部位に応じて様々な肉厚のパイプを組み合わせることで、フレーム単体で従来型比1.8kg軽量に。フレーム形状の変更とバッテリーなど部品搭載位置の変更で、収納スペースは従来型より1Lの容量拡大が行われた。

エンジンは排気量こそ変更はないが、エアクリーナーの新設計、吸気ダクト断面積の拡大、スロットルボア径の拡大などにより最高出力が従来型54馬力→新型58馬力へとアップ。また、裏面を肉抜きし軽量化した新設計ピストンの採用、カウンターウェイト重量の見直しなどでエンジンの軽量化も行われている。

エンジン面でもうひとつ注目すべき変更点は、スロットルバイワイヤが採用されたこと。これにより、エンジンの出力特性切り替えやエンジンブレーキコントロール、ホンダセレクタブルコントロールなど電子制御を総合的にコントロールするライディングモードも搭載されている。

そう、最新型=3代目NC750Xは今まで以上に多彩な状況に対応できるようになり「アドベンチャー度」のレベルを大きく引き上げたのである。

内部部品の刷新により軽量化・高出力化された745ccOHC4バルブの並列2気筒エンジン。最高出力58馬力/6750rpm、最大トルク7.0kgm/4750rpmの性能を発揮(DCT/MT共通)。
市街地や一般道での軽快さを重視しMT車では2〜4速、DCT車では1〜4速がローレシオ化されたほか、MT車にはアシストスリッパ−クラッチも採用された。
ライディングモード「スタンダード」。P=パワーレベルは「2」、EB=エンジンブレーキ制御は「2」、T=トルク制御は「2」。DCTの変速パターンは4レベル中穏やかめの「2」。
ライディングモード「スポーツ」。P=パワーレベルは最大の「3」、EB=エンジンブレーキ制御も最大の「3」、T=トルク制御は最小の「1」。DCTの変速パターンは4レベル中最もスポーティな「4」。
ライディングモード「レイン」。P=パワーレベルは最小の「1」、EB=エンジンブレーキ制御も最小の「1」、T=トルク制御は最大の「3」。DCTの変速パターンは4レベル中最も穏やかな「1」。
ライディングモード「ユーザー」では各種パラメーターを任意に設定できる。写真は全てのパラメーターを最小の「1」にしたときのもの。DCTの変速パターンも4レベル中から選択可能。

レポート●上野茂岐/関谷守正 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐

3代目ホンダNC750Xの機能パーツ&主要諸元

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