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1100ccでも「なぜホンダ レブル1100は扱いやすいのか?」エンジンとハンドリングの特性を分析する

レブル1100のエンジン特性「低回転域では穏やかだが、開ければ怒涛の加速」

レブル1100を走らせてみると、そのスタイリングや存在感から受ける印象からは一転、低速では意外に控えめな性格だ。
3000回転に届くかどうかといった領域でのエンジンフィーリングは、「ドッドッドッド」と小気味よい鼓動はあっても不要な振動はなく、ただひたすらスムーズで軽快である。

そこからスロットルを大きく開ければ猛然とダッシュ──回転の質量感やハンドリングもスピードが上がるに連れて手応えが重くなっていくのだが、それはライダーが意図的に「開けよう」とした場合の話。バイクの側から「もっと開けろ!」と急かすようなフィーリングはないから、とても楽な気持ちで走れる。

こういう自己主張が控えめな性格は、長距離を走るツーリングなどではとても大切だ。レブル1100の1082ccOHC4バルブ並列2気筒はパワフルだが、乱暴に開けなければ常にフレキシブルで優しい。つまり疲れにくいということだ。
排気量はレブル500の2倍以上もあるわけで、当然、レブル250や500にはない余裕がたっぷりある。レブル1100での高速クルージングは快適そのもので、特に80〜100km/hの速度レンジはとにかく気持ちが良い。
また、デュアルクラッチトランスミッションなら変速もお任せなので、リラックス度合いも高くなる。

レブル1100のエンジン(写真はデュアルクラッチトランスミッション車)は、CRF1100Lアフリカツイン用をベースとした1082ccOHC4バルブ並列2気筒。
CRF1100Lアフリカツインよりも低中回転域を重視した特性となっているレブル1100のエンジン。
レブル1100 エンジン
レブル1100のエンジンは最高出力87ps/7000rpm、最大トルク10.0kgm/4750rpmの性能を発揮(マニュアルトランスミッション、デュアルクラッチトランスミッションとも同スペック)。
P=出力特性、T=後輪トルク&ウイリーコントロール、EB=エンジンブレーキの制御が変更されるライディングモードを搭載(デュアルクラッチトランスミッション車では変速パターンも変更される)。スポーツ、スタンダード、レインのほか、各制御レベルを好みにカスタマイズできるユーザーモードもある。

クルーザーだが、狭い道も安心して走れるレブル1100のハンドリング

取り回しのしやすさ、長時間走行時の快適性が考慮されたライディングポジション。クルーザーモデルではあるが、ステップ位置は前に足を投げ出すタイプではなく、ペダルの操作性を重視し比較的手前にあるポジションとなっている。

それ以上に落ち着きのある車体の動きとハンドリングが、緊張感をというものを感じさせない。
一般道でのレブル1100は普通に走っていれば、その大きさや重さを感じさせず、ハンドリングはニュートラルで走っていれば全てがイージーに感じる。

そして、小回りが苦手かと言うと、そうでもない。何しろ足着き性にはほとんど心配がないので、2車線あればUターンも容易だし、デュアルクラッチトランスミッションならクラッチ操作もないから、心の余裕が格段に広がる。
だから、市街地の混雑、旅先での立ち寄り、細かい道のルーティングでも臆することなく行動できるわけで、この点は、日常でもツーリングでも大きなマージンであり魅力となる。

整備された主要幹線道路だけではなく、比較的タイトで条件も目まぐるしく変わるような田舎道においてもレブル1100は快適で、しっかりできた車体やエンジンに、乗り手に対する配慮も加えられたバイクなのだ。

レブルシリーズ共通の特徴「シンプルな構成、求めやすい価格」も継承

レブル250が国内で大ヒットした理由は、もちろん約60万円という価格設定もあると思うが、誰にでも乗りやすいバイクとしての資質を備えている点も大きい。レブル1100もまったく同じで、250より大きく格段にパワフルだが、乗っていて思い出したのは「レブルはあくまでもレブルなのです」という開発者の言葉だった。

しばらく走った後で、改めてレブル1100を眺めていて気がついたのは、デザインコンセプトのキーワード「シンプル、カジュアル、ロウ(未加工の素材感)、シリアス」の「シンプル」という言葉の解釈だ。
たとえばスッテプ周りのパーツはモジュール化されており、脱着はボルトオンだから購入後のカスタムも容易に思える。聞いてみると、リヤフェンダーやサブフレームも、言ってみればモジュール化されており、ボルトオンでの脱着が難しくない構成なのだ。

「そもそも2017年のレブル250&500の発表時に、積極的にカスタマイズを提案している経緯もあり、レブル1100でも豊富な純正オプションパーツを用意しています。たとえばDCT仕様ならチェンジペダルがありませんので、より容易にステップ周りを交換できることになるかもしれませんね」と販売担当者は言う。

また、質感を持たせるためにフランジレスで厚みのあるスチール製のリヤフェンダーをおごりながらも、部品点数を減らして余分な樹脂パーツを省いているなど、スタイリングと合理性(コストなど)を両立させるための工夫も感じられる。

このあたりは、ホンダならでは。結局はそれが価格にも反映している。
ちなみに、マニュアルトランスミッション仕様の価格は排気量1100の数字に似た税込110万円だ。これは製造コストなどを調整して狙った結果なのか?
「まったく考えなかった訳ではありませんが、そこまで意識したわけではありません(笑)。しかし、若年層のお客様にもお求めやすい価格にしたいという意識はありました」と販売担当者。
そのうえ、レブル1100にはクルーズコントロール、グリップヒーター、ETC2.0が標準装備されるから、110万円の価格にはお買い得感すらあると言ってもいいだろう。

シンプルな構成・素材の質感を重視した前後フェンダーは1mm厚のスチール製で、アルミダイカストのブラケットにより固定される。
標準装備となるETCユニットはシート下に収められる。

レブル1100は純正カスタマイズパーツも豊富

スタイリングの良さやシンプルな車体構成のレブル1100は「カスタム」も魅了のひとつと言えるが、純正のオプションパーツも多数用意されている。
以下はそれらを用いたホンダが提案するカスタム例。
「ツアー・スタイル」はツーリングでの快適性・実用性を重視した装備、「ストリート・スタイル」はスタイリングを個性的に仕上げたドレスアップ的構成となっている。

レブル1100「ツアー・スタイル」

高い防風性を発揮する「スクリーンカウル」(2万4200円)、耐久性あるバリスティックナイロン製の「サドルバッグ」(右1万7600円、左1万7600円)、タンデムライダーの安心感や快適性を増す「バックレスト」、20mmの鉄パイプ製のしっかりとした「リヤキャリア」(3万3000円)などを装備。

レブル1100「ストリート・スタイル」

レブル1100のブラックアウトされたデザインをさらに強調する「ヘッドライトカウル」(1万1000円)、ダイヤモンドステッチ調表皮がオシャレな「スペシャルメインシート」(1万4300円、ブラウンとブラックの2色あり)、「スペシャルメインシート」と合わせたカラーの「パッセンジャーシート」(1万340円、ブラウンとブラックの2色あり)、先端にRebelのロゴが入る「ショートフェンダー」(1万8700円)を装備。

ホンダ レブル1100主要諸元

レブル1100デュアルクラッチトランスミッション(ガンメタルブラックメタリック)。

*【】内はデュアルクラッチトランスミッション

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:92.0mm×81.4mm 総排気量:1082cc 最高出力:64kW<87ps>/7000rpm 最大トルク:98Nm<10.0kgm>/4750rpm 変速機:6段リターン【電子式6段】
[寸法・重量]
全長:2240 全幅:850【830】 全高:1115 ホイールベース:1520 シート高700(各mm) タイヤサイズ:F130/70B18 R180/65B16 車両重量:223kg【233kg】 燃料タンク容量:13L
[車体色]
ガンメタルブラックメタリック、ボルドーレッドメタリック
[価格]
110万円【121万円】

試乗レポート●関谷守正 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐

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