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新車

「ハーレーは意識せず」ホンダ レブル1100開発陣の声から、エンジン&車体の特徴を読み解く

レブル1100 DCT

レブル1100のターゲットユーザーとは

レブル1100は海外での展開も考慮して「レブル500の次に来るべきものは何か?」というところから構想されたモデルだ。
ホンダが2017年からレブル250(海外では300)やレブル500を展開してはや4年──レブルシリーズは新たな時代のクルーザーモデルとしてしっかり市民権を得たと言っていいだろう。それゆえ、レブル250やレブル500からのステップアップ組、また、より走りの愉悦を求めるようなベテランライダーを対象に想定したモデルが求められたわけだ。
そうして開発されたのが、レブルブランドのトップエンドモデル「レブル1100」である。

右からレブル250、レブル1100デュアルクラッチトランスミッション、レブル500。
ホンダ レブル1100デュアルクラッチトランスミッション(121万円、3月11日発売)。
ホンダ レブル1100(110万円、5月13日発売)。

レブル1100のエンジンはアフリカツイン用をベースとするが……

いわゆる「クルーザースタイル」のスタイリングから、競合モデルにハーレーをイメージする人も少なくないだろう。しかし、この点を開発陣は明確に否定している。

「特にそういう意識はありませんでした。レブル1100のパラレルツインの持つ優しいパルス感は、あのVツインとはまったく異なった種類のものです。また、レブル1100ではドライバビリティの高さも特徴にしています。言ってみれば、レブルはあくまでもレブルなのです」と開発陣。

レブル1100のエンジンは、CRF1100Lアフリカツインに搭載される270度クランクの1082ccOHC4バルブ並列2気筒をベースにしているが、レブル1100ではバルブタイミングやリフト量、点火時期を独自に変更しており、左右気筒で異なった燃焼状態を作り出す工夫が施されているのだ。
また、低中速トルクはCRF1100Lアフリカツインよりも大きくなっている。

レブル1100のエンジン。CRF1100Lアフリカツインのものがベースとなっており、最高出力87ps/7000rpm、最大トルク10.0kgm/4750rpmのスペック。

「左右のタイミングが違うというよりも、左右の絶対的な仕事量に違いを出しています。これによって、特に低回転域ではアフリカツインとは違った優しいフィーリングを実現しており、走った時の気持ち良いフィーリングを創出できたと思っています」

──と開発陣は語るが、開発時には燃焼に関するかなりのパターンを試し、フィーリングとサウンドの点でかなり神経を使ったそうだ。

「例えば音の周波数帯は回転数で変化しますが、レブル1100には低回転でのパルス感と穏やかなフィーリングがあり、エンジン回転が上昇するにつれてスムーズに気持ちよく吹け上がって、サウンドも変化していきます。そういった二面性が感じられるのもレブル1100の特徴だと思います」

レブル1100の開発陣

右から車体設計担当の黛 慧さん、燃料吸排気系担当の飯干慎也さん、電装設計担当の田中拓郎さん、テスト担当の辰巳貴俊さん、開発リーダーの古瀨 博さん、操安担当の野々山祐也さん、商品性担当の小数賀 巧さん、左端リヤサスペンションに手をかざしているのがデザイン担当の兼村祐気さん。

レブルシリーズのイメージは変えず、迫力やメリハリを強調したデザイン

この独自性のある並列2気筒エンジンを搭載する車体はというと、真横から見たシルエットは、レブル250や500とほとんど変わらないことに誰もが驚くだろう。ほとんど瓜二つだ。
しかし、視点を上に移していくと、ボリュームのある燃料タンクと、そこから大きくくびれたシート周りのコントラストが印象的に見えてくる。このフォルムはレブル1100のスタイリング上の大な個性であり美点である。

レブル1100の存在感を高めているのは、(視覚的印象としての)どっしりとした重量感と、たくましい前後の足まわり、そして各部素材の上質感だ。
インナーチューブ表面にチタンコーティングを施したピッチの広いフロントフォークなどはその象徴と言えるが、フレームのパイプワークなど骨格を工夫し、レブルらしいシンプルさもしっかり演出されている。

「レブル250と500はナローなスタイルでしたが、1100はマッシブでワイドなシルエットを与えています。幅広いハンドルやステップ幅などで、堂々とした雰囲気を醸しています。しかし、レブルシリーズの特徴でもある、シンプルな構成という点は変わっていません」

レブル1100のデザインスケッチ。デザインはアメリカのスタジオで進められた。
フェンダー・燃料タンク・シートといった各パーツはレブルシリーズ共通のデザインイメージだが、レブル1100ではボリュームを増すところは増し、「くびれ感」が強調されている。
左がレブル1100、右がレブル250。レブル1100はチタンコーティングが施されたピッチの広いフロントフォークや18インチのフロントタイヤを採用し(250、500のフロントタイヤは16インチ)、より迫力を増している。

レブルシリーズの特徴「扱いやすさ、足つきの良さ」は1100でも継承

大柄に見える車体はホイールベース1520mmで、実はレブル250・レブル500と比べて30mmしか延びていない。トレール量も110mmと、レブル250・レブル500と同じに設定されている。これはできるだけニュートラルで軽快なハンドリングのフィーリングを狙ったものだ。

「ホールベースは同じクラスの他社モデルより短いと思います。扱いやすさや運動性を考慮して、低重心・コンパクトを意識した結果です。車重もハーレーを引き合いに出すと、30kgほど軽いレベルです(編集部註・MT仕様223kg、デュアルクラッチトランスミッション233kg)。街中……例えば交差点などの曲がりやすさや、取り回しの良さはぜひ味わっていただきたいと思います」

レブル1100のフレーム。メインフレームは35mm径、スイングアームは50.8mm径。

それでいて前130/70B18、後180/65B16というかなり太いサイズの前後タイヤも、その迫力あるスタイリングにひと役買っている(リヤタイヤは外周長が2%短いタイプを採用)。また、フロントブレーキには大径のシングルディスクでありながらラジアルマウントキャリパーが採用されている。

「その理由はホイールのデザインを見せたかったこと、同時にスポーティーな走りにも対応するために、330mm径のローターにラジアルマウントキャリパーを組み合わせたのです」

ここで言われている「スポーティー」とは、ネイキッドバイクのようなニュートラルな乗り味を意識したということだ。
車重はMT仕様で223kgあるので、さすがに押し歩きではその重さを感じることになるが、走り出してしまえばそれを意識させないのもレブル1100の特徴だ。

シート高は700mmで、レブル250とは10mmしか違わない(レブル250のシート高は690mm)。
もちろん足つき性は良好で、3月に先行発売されたレブル1100デュアルクラッチトランスミッションでも、車体右側にやや張り出しがちなDCTユニットを巧みにかわしたステップ位置によって、足着き時にDCTユニットが干渉しないのだ。

試乗した小柄な女性ライダーからは「押し引きは1000ccモデルというイメージからするとかなり軽く感じるし、足着きもいいから、またがったまま後ろに下がるようなことも安心してできる」と絶賛の声を聞いた。
大型バイクに乗りたいが、体格や体力を懸念している……そんなライダーにとってもレブル1100の登場は間違いなく朗報といえるだろう。

女性ライダーによるホンダ レブル1100の足着き、ライディングポジション

身長153cmの女性ライダーがまたがったときの様子 。
足着きは両足がほぼ全面接地。また、ハンドルが遠すぎて腕が突っ張るということもなく「自然なライディングポジション」とのこと。

ホンダ レブル1100主要諸元

*【】内はデュアルクラッチトランスミッション

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列2気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:92.0mm×81.4mm 総排気量:1082cc 最高出力:64kW<87ps>/7000rpm 最大トルク:98Nm<10.0kgm>/4750rpm 変速機:6段リターン【電子式6段】
[寸法・重量]
全長:2240 全幅:850【830】 全高:1115 ホイールベース:1520 シート高700(各mm) タイヤサイズ:F130/70B18 R180/65B16 車両重量:223kg【233kg】 燃料タンク容量:13L
[車体色]
ガンメタルブラックメタリック、ボルドーレッドメタリック
[価格]
110万円【121万円】

レポート●関谷守正/モーサイ編集部 写真●柴田直行/ホンダ 編集●上野茂岐

CONTACT

ホンダお客様相談センター:TEL0120-086819

https://www.honda.co.jp/Rebel1100/

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