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【試乗レポート】KTM 250アドベンチャー「250クラスに現れた本格アドベンチャーマシン」

250アドベンチャー KTM

2020年モデルでは1301ccV型2気筒の1290スーパーアドベンチャー、799cc並列2気筒の790アドベンチャー、373cc単気筒の390アドベンチャーというラインアップだったKTMのアドベンチャーシリーズ。2021年モデルは790アドベンチャーが889ccに排気量を拡大し890アドベンチャーへと進化。また、新たに248.8cc単気筒の250アドベンチャーがラインアップに加わった。
当記事では、そんなKTM最新アドベンチャーの1台である「250アドベンチャー」を鈴木大五郎がテスト&インプレッションする。


KTM 250アドベンチャーは390アドベンチャーがベース

KTM 250アドベンチャー
250アドベンチャーのベースとなった390アドベンチャー

車両の来歴をかいつまんで説明すると、オフロードバイクブランドとして名を馳せていたKTMが1994年に初めて手掛けた本格オンロードモデルが「デューク」(620デューク・608cc単気筒)で、2011年からは入門クラスとして通称「スモールデューク」と呼ばれるシリーズが登場。

「スモールデューク」シリーズは、細部は異なるものの基本的に同じ車体を用いた排気量違いの125/200/250/390(いずれも単気筒)を展開し、これがアジア圏も含め各地でヒットを記録。それまである意味マニアックなブランドだったKTMが世界的ブランドへの足固めに成功した。

以降、スモールデュークの派生型としてフルカウル装備の「RC」シリーズも展開、さらに、2020年にはその基本骨格を使った390アドベンチャーを発売した。オフロードのプロフェッショナル集団が、ロード始まりのパッケージングをアドベンチャーモデルに転用するという事態に「KTMも流行に乗ったか……」と若干の気がかりも感じたが、良い意味でそれは完全に裏切られる形になり、オンもオフもすこぶるご機嫌なマシンとなっていて驚かされたものだ。

そして今回、390のパッケージをほぼそのまま利用した250アドベンチャーが登場。390で装備されていたトラクションコントロールが省かれたり、標準装着タイヤが異なっていたりとセットアップは異なるが、まるで我が国専用といった仕様で登場したのである。またがってみてもサスの沈み込みは少なく、シャキッとしている印象。

車体はスリムで軽量だ。シート高は高めで、数値的に同じくらいのビッグアドベンチャーマシンも多いが、プレッシャーの差は比較しようがないほどで、アドベンチャーというよりはデュアルパーパスモデルといった気軽さで接することができる。

スチール製トレリスフレームにWP製倒立フォーク、WP製モノショック(リンクレス)を組み合わせた車体。サスペンションストロークはフロント170mm、リヤ177mm。

250アドベンチャーのエンジン「スモールデュークより熟成された感があり」

KTM 250アドベンチャー

初登場時のスモールデュークシリーズのエンジンは、ややガサツな印象があったが、250アドベンチャーではメカニカルノイズも少なく、非常にクリーンで精度の高そうな印象となっており、熟成が進んでいると感じさせられる。

アクセルを開けるとグッとトラクションが掛かり、車体をコントロールしている感を味わえた390アドベンチャーと比べればトルクの薄さは否めない。半面、エンジンを回すことを軸として走らせる爽快感は250アドベンチャーのほうがより味わえる。キビキビとしたレスポンスはKTMらしさを存分に感じさせるもので、トルク変動が少なく、アクセルを開けるのも戻すのもストレスがない。 高速道路での法定速度巡航でもストレスがなく、そこからギューンとぶん回す無理も利く。

十分なサスペンションストローク量とシートの厚みにより、乗り心地が良いのも好印象である。フラットダートでの軽やかな操作感や、ある程度スピードが乗った状態でもとっ散らかることのないような安定感も良い。ABSには、リヤの制御がカットされるとともにフロントの介入特性も変更となる「オフロードモード」があり、KTMらしいオフロード対応への意欲も感じられる。

比較すれば、パッケージングの完成度は390アドベンチャーに軍配が上がる。しかし、250アドベンチャーは車検のないクラスということに加えて、各面でシンプルになったことによる軽快さ、そして価格設定と、その優位性は決して少なくないマシンとなっているのである。

ボア×ストローク89mm×60mmの390アドベンチャーのから、ボア×ストローク72mm×61.1mmへと変更した250アドベンチャーのエンジン。最高出力30馬力、最大トルク2.4kgmの性能を発揮し、過度なバックトルクを抑える「アンチホッピングクラッチ」も組み込まれている。
フロントホイール径は19インチ。標準装着タイヤはインドのタイヤメーカー、MRFのデュアルパーパス系銘柄「Mogrip Meteor−FM2」を採用している。
ABSは通常のロードモードに加えてオフロードモードを設定。後輪をロックさせての向き変えを可能としている。

KTM 250アドベンチャー「長所と今後に期待する点」

KTM 250アドベンチャーの長所

スタイリッシュでスパルタンさを感じさせるスタイリングではあるが、キャラクターは扱いやすくオールマイティな点。シティユースでも扱いやすく、我が国にバッチリ合う操作性。スリムで軽量ではあるが、コンパクトすぎない点。オフロードモード搭載となるABS。安っぽくならない質感。コストパフォーマンスの高さも高評価。

KTM 250アドベンチャーの今後に期待する点

快適性はともかく、シート高がもう少し低いバージョンもあれば……。よりオフ性能を追求したR仕様の登場にも期待? ヘッドライトはLEDの採用を希望。また、タイヤは390アドベンチャーと同様にコンチネンタル製を採用して欲しかった。それと、維持費に確実な違いは出るものの、390アドベンチャーとの価格差がもう少し欲しかった(……というか390の割安感が大きい)。

250アドベンチャーの足着き性&ライディングポジション

スリムで軽量ではあるが、シート高は高めで身長165cmではご覧のとおり。同クラスのライバルと比べるとまたがった際の沈み込みも少なめ。半面、乗り心地やオフロードでの操作性など恩恵も大きい。
ライディングポジションはアドベンチャーマシンにしてはコンパクトで、 ネイキッドスポーツ的印象。

KTM 250アドベンチャーに身長165cmのライダーがまたがった場合の乗車姿勢。
KTM 250アドベンチャーに身長165cmのライダーがまたがった場合の足つき。

ツーリング性能が高い250アドベンチャーの装備

スクリーンはショートタイプで2段階の位置調整が可能。また、ハンドガードは標準装備で、メーター上方にはGPSデバイス装着用のラックを、下方には12Vシガーソケットを配置。
スペック上、450km超の航続距離を確保している燃料タンクも持つ。さらに、シートは前後分割式で、荷物の積載・固定時にも役立つ大きなグラブバーをリヤシート左右に配するなど、兄弟車のKTMアドベンチャーシリーズ譲りのデザインと旅性能だ。

ラリーマシンのノウハウとイメージを継承し、ヘッドライトはコンパクトな形状。兄弟車の390アドベンチャーが左右分割式デザインのヘッドライトを採用するのに対し、250アドベンチャーは単眼式のデザインとなる。
モノクロ液晶のスクエア型メーターパネルには、アナログ式表示の回転計、デジタル式速度計、燃料計、ギヤポジション、時計などを表示する。
燃料タンク容量は14.5L。
シート高は855mm。

KTM 250アドベンチャー主要諸元

【価格】67万9000円

【エンジン・性能】 
種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク:72mm×61.1mm 総排気量:248.8cm3 最高出力:22kW<30ps>/9000rpm 最大トルク:24Nm<2.4kgm>/7250rpm 燃料タンク容量:約14.5L 変速機:6段リターン 燃料消費率:32.3km/L

【寸法・重量】
全長:── 全幅:── 全高:── ホイールベース:1430 シート高:855(各mm) 車両重量(燃料除く):約159kg タイヤサイズ:F100/90−19 R130/80−17 【カラー】オレンジ、ブラック

試乗レポート●鈴木大五郎 写真●山内潤也 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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