サーキットにおけるニンジャZX-25Rの評価は?
低速トルクの薄さを予測しつつも、意地悪くアイドリング状態からクラッチを繋いでみる。エンストを抑止するクラッチ周りのアシスト機構があるとのことだが、違和感もなくスルスルとピットロードを走り出した。
本コースに合流し、躊躇なく1万8000回転オーバーまでエンジンをブン回す。
とにかく気持ちいい抜け感を持つエンジンキャラクターである。回転にがさつさはなく、無理やり回っているような苦しげな兆候もない。
はたから聞けば良い音に感じられても、ライダー自身がそれを鑑賞するような余裕などないハイパワーマシンに対し、そのフィーリングもサウンドをもじっくり堪能することができるのも魅力だ。
オートシフターは限りあるパワーを効率良く使うのに有効であるが、そんなラップタイムに関わるメリットを置いておいても、この装備は意味のあるものだった。2速から6速までを駆使して走らせるなかで、シフトアップ、そしてシフトダウン──躊躇なくリズミカルに走らせることが可能となる。
車体は同排気量のフルカウルスポーツモデル……たとえばニンジャ250などと比較すれば、ややフロント寄りの荷重配分。しかし、それがフロントヘビーになることなく、まだまだヒラヒラとした軽快さを感じさせる。
ハードに攻め込むにつれ、純正装着タイヤ、そしてリヤサスペンションへの要求度が高まったが、純正状態でここまで走ることができれば不満はないだろうし、グレードアップしていくのも楽しみのひとつと捉えることができるだろう。
フロントブレーキはシングルディスクながらも、パワーや車重に対して負けることがなく、コントロール性もいい。
約900mあるメインストレートの終わり、6速でメーター読み181km/hを記録した。
ビッグバイクに乗り慣れた身体にその加速はのんびりしたものであるが、その余裕がむしろ心地いい。サウンドやフィーリングを十分に堪能しながら先のコース攻略に考えを巡らせる。
250ccならではの軽さが武器となりつつも、いわゆるおもちゃ的なハンドリングにはなっておらず、本格派モデルが持っている奥深さが感じられる。攻め込みながら、バイクをより旋回させるための前後の荷重配分を考えていく。
これまでであれば、すぐにマシンのセッティング方向に助けを求めがちになっていたものを、まず身体や走り方を使ってその解決策を模索する。
そんなマシンとの対話がたまらなく楽しい。カワサキテストライダーが「テスト項目が終了しても楽しくてプラスαの数周を走ってしまっていた」という話にも頷ける走りの楽しさと奥深さを持っていたのだ。