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ザッパー大好きライダーが検証! 最新カワサキZ650にも「ザッパー度」はあるのか?

カワサキ Z650

現代によみがえった「Z650」の車名

1976年に発売され、俊敏かつ軽快な走りから「ザッパー」の愛称で親しまれたカワサキZ650。
同車にほれ込んで、プレスライダー時代には雨の日も風の日もザッパーとともに街を駆け回るのみならず、日本各地をツーリング。15万キロを供にした後、別の個体を手に入れ、チューニングの試行錯誤をしつつレースにも参戦──。
そんな「Z650」というマシンに並々ならぬ縁をもったライダーの目に、最新のカワサキZ650はどう映るのか。
2020年モデルZ650の「ザッパー度」を探ってみた。

1976年に発売されたZ650(B1)。エンジンは排気量652ccの空冷4サイクル並列4気筒DOHC2バルブで、最高出力は64馬力。
2020年発売のZ650(2020年モデル)。エンジンは排気量649ccの水冷4サイクル並列2気筒DOHC4バルブで、最高出力は68馬力。

ザッパーに15万km乗り、サーキット仕様車も作ってしまった若かりしころ

筆者は昭和36年生まれで、バイク雑誌や自転車雑誌などで撮影を行っているカメラマンです。
若かりし昭和の時代。高校3年からZ2を2台乗り継いだのち、さらに複数のバイクで紆余曲折。当時、画期的な設計思想とデザインが気に入りバイク=Z650(B2)を手に入れた私は、ハタチ少々の青春時代を競馬新聞→報道ライダーとして天候問わずザッパーにほぼ毎日乗る生活を送っていました。

確か大手町では建て替え前の日経、次に朝日新聞。田中角栄元首相のロッキード裁判のころは、共同通信の社旗を翻して皇居周辺をメインに走り回っていたと記憶しています。

筆者・小見が愛用していたザッパー1号機。宮内庁記者クラブへ行ったときの写真。
ザッパーでは日本各地をツーリングしました。阿蘇に行くソロツーリングの途中に立ち寄った瀬戸内海にて。片岡義男の小説『彼のオートバイ、彼女の島』に完全に影響されていたのです。
色が変わっているものの同じ個体です(全塗装しました)。再び瀬戸内海方面へツーリングしたときの写真です。

大きさ程よく、軽快な加速感にドライな4気筒サウンド。
欠点はほとんどなく、強いて言えばステップの位置を少し後ろに変えられたら嬉しいなというくらい。
写真の総合会社へ転職し、カメラマンとして下積みを始めてからの撮影スタジオ通いにもザッパーを使い続け、15万kmほど愛用しました。

さすがにそれだけ走らせてしまうと、シリンダーブロックのカムチェーン通路の欠損や、カムチェーンプーリーが摩耗で消滅するなどトラブルが発生してきて、最終的に廃車としたのです(今なら再生できたなぁ)。

その後、数台のバイクを所有したものの、サンデーレースにどうしても「徳野・岩道コンビ」の1978年鈴鹿8耐仕様ザッパーで出てみたいという思いがムクムクと出てきまして……知人を通じて解体屋からポンコツ同然のザッパー2号車を入手。

ボアアップも行いましたが、当時のテイスト・オブ・ツクバ「ドーバー1クラス」上限排気量800ccにはせず、諸々のバランスを重視した結果ワイセコ社のキットで700ccに。
バルブタイミングの取り直しやCRキャブへの変更などで、ザッパーの子孫であるゼファー750と同等以上の加速力を手に入れました。
趣味のレース活動は家族の成長とともに難しくなり、ザッパー2号車は数年後に手放してしまったのですが、できれば手元に残しておきかったなぁ!

6万円の不動車を手に入れレーサーに改造したザッパー2号車。

最新Z650は2気筒のミドルスポーツネイキッドだった

最近「最新ラインアップにも『Z650』というバイクがあるんですよ」とモーサイweb編集長の上野氏から耳にしたのですが、興味津々な様子を見せてしまったら「車名だけでなく旧Z650と通ずるところがあるのか、ザッパーを乗り継いだ人に最新Z650に乗って『ザッパー度』を調査してほしい」と難しいテーマを頂戴してしまいました。

2017年モデルより「Z650」の車名が復活、2020年モデルでモデルチェンジが行われ、デザインの刷新、エンジンの熟成、スマホ連動機能の搭載などの改良が行われた。

とはいえ「Z650」と同じ車名ではあるものの、まず新旧Z650ではラインアップにおける位置づけはまったく違うように思われます。
元祖ザッパーが発売されていたころはZ750がA5かD1になるあたりで、だんだんナナハンが重くなっていって、でも最高出力はそのままで……という時代でした。
そんな時代にナナハンと馬力やトルクはあまり変わらず、それでいて車重は軽いというダークホース的な面白さを持っていたのがザッパーでした(乗ったことのある方々はよくご存知だと思います!)

しかし、今や200馬力を超える1000cc4気筒スーパースポーツがフラッグシップとして君臨するなか、現代のZ650は649ccの並列2気筒で68馬力。
かつてのような「フラッグシップ vs 排気量で劣るザッパーが好勝負」という構図が成り立たたないのは明らかなので……市街地や山岳路など一般道でどれだけ振り回せるか?という観点で最新Z650にじっくり乗って見ることとしました。

「軽くて、細くて、穏やかなエンジン」優しい第一印象のZ650

サービスエリアで上野氏と合流後し初めてZ650にまたがったのですが、最初に出てきた言葉は「コレ、250じゃないの?本当に650なの!?」でした。
やけに小振りで、軽くて細い。

本家(?)ザッパー系エンジンも30年近く続いたが、Z650の実質的な先代モデルにあたるER-6nから数えると、コチラも熟成を繰り返しながら15年ほど現役を張り続ける長寿エンジンである。

さっそく高速の本線に入り、走行車線を流れにあわせて走ってみればいたって平和な「トコトコトコ……」というエンジン音。
左右のステップ間はザッパーに比べると非常にタイトで、おのずとニーグリップがキマる!
(ザッパーはついついヒザを開き気味に乗っていたなぁ)
正しい乗車姿勢に導くという点は優等生的に進化した部分なのかもしれませんが、高速ののんびりクルージングは気持ちいいものでした。
ただし、平和なエンジン音を奏でる2気筒のZ650、果たしてザッパーと呼べるのか……?という疑問は頭の片隅に残りつつも山岳路へ。

ノンビリ走行のクルマに追従して山道を登る時間も少なくなかったのですが、エンジンの「イケイケ衝動」が少ないのでイライラすることもなく、快適かつ紳士的なツーリングが楽しめるのは好ましい点です。

スリムな車体構成とハンドルも遠くないので、軽い前傾ポジションとなります。自然体でとてもラク!
前側がしぼられたシートということもあり、身長がわずかに170cmへ達しない筆者でも足付きは抜群。足の裏は全部着きます。

しかし、お題は「ザッパー度」の検証である

前がクリアになったのにあわせ、スロットルを意地悪にガバッと開けてみる。すると、エアクリーナーボックスの中にエレメントが入っていないかのような「ボゥッ!」という吸気音とともに、中速から小気味いい立ち上がりが。

気持ちいい加速を味わいながらスロットルをさらに開けていくと、高回転域では振動がキレイに収束していくような感触があり、その点は「ザッパーらしい」と言えるかもしれません。

また、価格を押さえるため(*)コストも重視したであろうリヤサスペンションは、オーナーとなるなら改善したい気もするんですが(戻り側の減衰調整を備えた社外サスに変えたいかなぁ)、動き自体は悪くない。フレームも昔のザッパーとは比較にならない進歩ですし。

フレームは高張力鋼のトレリスフレーム。フロントサスペンションはインナーチューブ径41mmの正立フォークで、リヤサスペンションはリンク式のモノショック。
フロントブレーキは300mm径ダブルディスク。フロント・リヤともABSを標準装備。
リヤブレーキは220mm径シングルディスク。前後ともにブレーキキャリパーはニッシン製。

*Z650の新車価格は税込みで84万7000円。一方、ザッパーこと旧Z650がデビューした1976年当時、Z650は45万3000円。その時のカワサキの国内フラッグシップであったナナハン、Z750が48万5000円。ザッパーはナナハンよりは安かったけど、すっごく安いというワケではなかったのです。

カワサキが「ホリゾンタルバックリンクリヤサスペンション」と呼ぶリヤサスペンションは、ショックユニットとリンクをスイングアーム上側にマウントすることでマスの集中化を追求。プリロードのみ7段階に調整可能。

次ページ:ワインディングやチマチマした道で抜群の軽快性を発揮!

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