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新型トライアンフ タイガースポーツ試乗! 超熟成の660と、34馬力アップの800、どっちが正解!?【2025年型】

タイガースポーツ800 ヘッドライト LED トライアンフ 2025

トライアンフのアドベンチャー「タイガースポーツ」の660と800を徹底比較

「たった138ccの排気量差で、ほぼ同じバイクを2機種用意するなんて、英国紳士は随分とぜいたくなことを……」と、多くのライダーが思うはず。でも、2025年型でさらに熟成したタイガースポーツ660と、新登場のタイガースポーツ800を乗り比べれば、似ているようで乗り味はけっこう違っていた!

2025年型のタイガースポーツ660は電子制御がグレードアップ

トライアンフ(TRIUMPH)が2022年型にデビューさせたタイガースポーツ660(Tiger Sport 660)は、2021年発売のネイキッドスポーツであるトライデント660をベースに開発された、ロードスポーツアドベンチャー(クロスオーバー)だ。

トライデント660は、それまでの同排気量エンジンよりもロングストロークの660cc水冷並列3気筒エンジンを、スチール製フレームに搭載していた。
タイガースポーツ660はこれを継承しつつ、外装類や灯火類、燃料タンクやシート、前後サスペンションの仕様などを専用化。前後輪17インチ径のミドルスポーツツアラーに仕上げられている。

2025年型では、このタイガースポーツ660が大幅に熟成された。
まず、新たにIMU(6軸慣性計測装置)が搭載され、リーンアングルを考慮したABSとトラクションコントロールの制御が可能になった。
これまで「ロード」と「レイン」のみだったライディングモードには、新たに「スポーツ」が追加。スマホとの接続機能であるマイ・トライアンフ・コネクティビティ・システムが標準装備化され、LCDモノクロとTFTカラーの2画面で構成されるメーターには、ターンバイターンナビも表示可能になった。
さらに、アップ&ダウン対応のクイックシフターであるトライアンフ・シフトアシストと、簡易型クルーズコントロールまで新採用している。

驚きなのは、ここまで装備充実化を図りながら、日本での価格は112万5000円(ブラック以外は113万8000円)に抑えられていること。
最安カラーの価格は、2022年型から据え置きなのだ!

タイガースポーツ660(クリスタルホワイト:113万8000円)
タイガースポーツ660
タイガースポーツ660は、ショーワ製41mm径倒立式セパレートファンクションフォーク(トラベル量150mm)を装備
タイガースポーツ660のリヤサスは、ショーワ製プリロード調整機能付きモノショック(トラベル量150mm)
タイガースポーツ660のサイレンサーはショートタイプ
タイガースポーツ660のエンジンやフレームは、トライデント660と同系列
タイガースポーツ660のコックピット
メーター表示と合わせて、ライディングモードやさまざまな設定を操作できる左側のスイッチ
タイガースポーツ660のシート。シートのタンク側は足つきを考慮して左右幅がかなり絞られている
タイガースポーツ660のフロントフェイス。灯火類はオールLED

雰囲気は660と同じ、装備はかなり専用化されたタイガースポーツ800

2025年のブランニューモデルとなるタイガースポーツ800は、電子制御が充実した最新版660をベースに設計されている。
搭載されている798cc水冷並列3気筒エンジンは、Moto2エンジンとしても知られるストリートトリプル765シリーズ用をストロークアップしたもの。
マフラーは、アンダータイプではなくサイレンサー別体デザイン。
ショーワ製フロントフォークには伸圧調整機構が追加されている(660は調整機構なし)。
フロントブレーキキャリパーはラジアルマウントとなり(660は片押しアキシャルタイプ)、ブレーキディスクもアウターとインナーが別体構造の一般的な仕様となった。

手動調整式スクリーンの左右には、同じくクリアタイプのウインドディフレクターを搭載。
ラジエターシュラウドの大型化、アンダーカウルも装着、シートへの車名刻印、デイタイムランニングライト機能の搭載など、660との相違点は多岐にわたる。
燃料タンクは17.2→18.6L容量に拡大。ただしカバーは同形状と思われる。

ちなみに、最高出力は660の81psに対して800は115ps、最大トルクは660の65Nmに対して800は84Nmと、排気量差から想像するよりもエンジンの性能差は大きい印象。
車重は、660の207kgに対して800は214kgだ。

タイガースポーツ800(コスミックイエロー:140万8000円)
タイガースポーツ800
タイガースポーツ800のフロントサス。660と同じくショーワ製41mm倒立式だが、伸圧減衰力調整機構が付いている
タイガースポーツ800のリヤサスは、ショーワ製モノショック。伸側減衰力調整、油圧式リモートプリロード調整機構付き
タイガースポーツ800の、上方に向いたスリムなサイレンサー
タイガースポーツ800はエンジン下にアンダーカウルを装備
タイガースポーツ800のメーター。キリッとしていて見やすい
タイガースポーツ800のシートにはよく見ると車名が刻印されている
タイガースポーツ800のヘッドライト周り

十分に満足できちゃうタイガースポーツ660の秀逸設計

タイガースポーツ660は日本の交通環境にぴったり

今回の試乗では、ほぼ同じようなルートと走行環境で、660と800を乗り比べることができた。
2022年型でタイガースポーツ660がデビューしたときに東京都内で試乗して、「この価格でこの性能なら、ツーリングから普段使いまで幅広く活用する欧州ブランドのバイクとしては一切不満ナシ!」と思ったが、新型660には価格据え置きで数々の電子デバイスが追加されており、当然ながら満足度はさらに大きい。

今回追加された装備のうち双方向クイックシフターは、ミドルクラス以上のスポーツモデルやツアラーでは、もはや当然のアイテムとなりつつある。
個体差や慣らしの問題もあるかもしれないが、新型660のシフターはタッチがやや硬め。
それでも、これがあるのとないのではツーリングの疲労度にかなり差が出る。
クルーズコントロールは、作動中にボタン操作での速度調整ができないシンプルなタイプだが、高速巡航時に少し右手を休めたいというようなときにはこれで十分。ないよりは絶対的にいい!

前後17インチ径のオンロードタイヤ(ミシュラン・ロード5)がもたらすハンドリングはナチュラルで、ルックスはアドベンチャー系だが、オンロードバイクと同じ感覚で操れる。
フロントからグイグイまがるような特性ではないが、小気味よく旋回してくれて、タイトなコーナーでも扱いやすい。

660ccエンジンは最高出力81psで、日本の道路交通環境にぴったり。
中回転域でトルクフルな並列3気筒の特性に加え、ギヤ比がかなりショートに振られていることで、想像以上に俊敏な加速力を発揮する。
34psも多い800と乗り比べたときに、「あれ、あまり変わらないんじゃない!?」と一瞬思ってしまうほどで、わざわざ800にする必要があったのかと感じていたのだが……。

やっぱり、さらに上質な走りのタイガースポーツ800

タイガースポーツ800のエンジンは660より上質なフィーリング

660と比べると、ストリートトリプル765用のエンジンを2.3mmストロークアップした新型タイガースポーツ800の798ccエンジンは、どこか上質なフィーリングがある。
低中回転域での並列3気筒らしいパルス感から雑味が減ったような印象があり、660と乗り比べてしまうとやはり800のほうが上質に思えてしまう。
クイックシフターも気持ちよく作動する。
ただし、600と比べて800はギヤ比がロングで、市街地や高速道路を普通に走っていると、34psもの差があるようには思えない。
800が遅いというわけではなく、660の設計が巧みすぎるのだ。

6速トップギヤで100km/h巡航してみると、エンジン回転数は800が約4500回転なのに対して、660は5000回転弱。あるいは、ほぼ同じような回転数で達するレブリミットまで引っ張った場合、660の3速と800の2速がほぼ同じ速度になる。
さらに、最大トルクの発生回転数は660のほうが2250回転も低い(660は6250回転、800は8500回転)。これらのことから、中回転域トルクを重視した仕様の660は、少ない馬力&トルクをショートなギヤ比で上手に生かし、660と比べたら高回転型の800は、大幅に増えた馬力&トルクをロングなギヤ比で余裕につなげていると理解できる。

調整機構が備わったフロントフォークに加えて、車重や空力特性の違いも影響するのか、乗り味は800のほうがややしっとりとしている。コーナリングではフロントの安定感があり、高速道路のギャップでは挙動の乱れがやや少なく感じ、結果的によりスポーティに操れる雰囲気があった。
フロントブレーキは、660が片押し2ピストンのアキシャルキャリパーを使うのに対して、800はラジアルマウントの対向4ピストン。ハードブレーキングでの制動力は、660でもそれほど不満はないのだが、乗り比べてしまうと、800のほうがレバー入力初期段階でのコントロール性に優れる。

そして、660と800でさらに大きな違いを感じたのは防風性。
約80mmの可動幅でスクリーンの高さを細かく段階的に手動調整できる点は同じだが、800のみスクリーンサイドにウインドディフレクターを装備しており、これが大きな効果を発揮する。
上半身や指先に当たる走行風は800のほうが明らかに少なく、シュラウドの大型化で下半身の防風効果も高めらていることから、660だとやや肌寒さを感じる気温だったが、800だと非常に快適だった。

タイガースポーツ800のスクリーンをもっとも低くした場合
タイガースポーツ800のスクリーンをもっとも高くした場合
タイガースポーツ800はスクリーンサイドにウインドディフレクターを装備

つまり800はSP仕様ということか……

660と800の基本的な乗り味は同じで、エンジンの力強さにもスペックほどの差は感じられないけど、乗り比べたらやっぱり800は走りがいい。
そこで気づいた。つまりタイガースポーツ800は、タイガースポーツ660のSP仕様(あるいはSE仕様)に相当するのだと……。
トライアンフでは、ストリートトリプルの765Rと765RSの立ち位置に近いかもしれない。

一般的な上級仕様は、ハイグレードなサスやブレーキを導入しながら設計されることが多いが、タイガースポーツはそれらのグレードアップをある程度にとどめ、代わりにエンジンを変更することで、さらなるパワーに加えて上質な走りを追求しているのだ。

そして、この上級バージョンとなる800が追加されたことで、スタンダード仕様に相当する660にもあらためて注目が集まると思う。
最安カラーで139万5000円(グレー×ブラック以外は140万8000円)の800と比べて、660は27万円低価格だ。
これを大きいと思うか小さいと思うかは、個々の価値観や購入予算などによって当然ながら変わるが、660に備わっていた「これで十分」という魅力は、上級モデルの800が追加されたことでより明確になった。

まあ、この価格差なら、日本人の性格からするとスペックと装備に優れる800を選ぶ人のほうが多いのではないかと予想するが、ベーシックな660のリーズナブルに使い倒せる感じもけっこう捨てがたい。悩ましいところである。

タイガースポーツ660と800、足着きはどうだろう?

シート高は660と800ともに835mmとやや高めだが、シートの前側はそれなりに絞り込まれている。身長167cm/体重67kgだと両足ベタ着きにはほど遠いが、とはいえツンツンでもなく、まるで不満はない。ハンドル幅は、ダート走行を視野に入れたアドベンチャーモデルほどは広くなく、なおかつグリップ位置が手前にセットされているので、上半身はかなりアップライト。膝の曲がりもキツくない。

タイガースポーツ660のライディングポジション
タイガースポーツ660の足つき
タイガースポーツ800のライディングポジション
タイガースポーツ800の足つき

タイガースポーツ 660 主要諸元(2025年モデル)

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ
ボア・ストローク:74.0mm×51.1mm
総排気量:660cc
最高出力:81ps(59.6kW)/10,250rpm
最大トルク:64Nm(6.5kgm)/6,250rpm
変速機:6段リターン

[寸法・重量]
全長:──
全幅:834mm
全高:1398/1315mm(スクリーン位置 高/低)
ホイールベース:1418mm
シート高:835mm
タイヤサイズ:F120/70R17 R180/55R17
車両重量:207kg
燃料タンク容量:17.2L

[車体色/価格]
クリスタルホワイト:113万8000円
ルーレットグリーン:113万8000円
カーニバルレッド:113万8000円
サファイアブラック:112万5000円

タイガースポーツ800 主要諸元(2025年モデル)

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ
ボア・ストローク:78.0mm×55.7mm
総排気量:798cc
最高出力:115ps(84.6kW)/10,750rpm
最大トルク:84Nm(8.5kgm)/8,500rpm
変速機:6段リターン

[寸法・重量]
全長:──
全幅:828mm
全高:1386/1303mm(スクリーン位置 高/低)
ホイールベース:1422mm
シート高:835mm
タイヤサイズ:F120/70R17 R180/55R17
車両重量:214kg
燃料タンク容量:18.6L

[車体色/価格]
コスミックイエロー:140万8000円
カスピアンブルー:140万8000円
サファイアブラック:140万8000円
グラファイト:139万5000円

レポート●田宮徹 写真●小見哲彦

CONTACT

トライアンフモーターサイクルズジャパン

03-6809-5233

https://www.triumphmotorcycles.jp/

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