目次
海外市場で先行発表され、国内導入も秒読み段階となってきたヤマハのニューモデルYZF-R9。大阪モーターサイクルショー2025の事前撮影会には、ワイズギアの純正アクセサリーを装着したマシンが市販予定車として用意されており、またがる時間もたっぷりあったので、気になる足着き&ライポジをチェックしたら、「適度にスーパースポーツ」という表現がぴったりな設定だった!
YZF-R9はMT-09ベースの3気筒エンジンを搭載したスーパースポーツだ

すでに日本国内でも実車が披露されているヤマハのYZF-R9は、MT-09などに使われる888cc水冷並列3気筒のCP3エンジンを、重力鋳造のアルミ製デルタボックスフレームに搭載した、2025年の新型スーパースポーツだ。
最高出力119ps(海外仕様)のエンジンは制御系などの小変更にとどめ、代わりに車体と電子制御を充実化。専用設計フレームはヤマハの歴代スーパースポーツで最軽量を誇り、フルアジャスタブルの前後サスはKYB製の新作で、フロントフォークは2025年型のYZF-R1と同等品だ。
そして、フロントブレーキはブレンボ製のスタイルマモノブロックキャリパーに、同じくブレンボ製ラジアルマスターシリンダーの組み合わせ。もちろん外装類も新設計で、ウイングレットも装備する。車重は195kg(海外仕様)で、フルカウルでありながら国内仕様MT-09から2kg増に抑えられている。

大阪モーターサイクルショー会場ではYZF-R9純正アクセサリーも参考出品
大阪モーターサイクルショーでは、2025年春以降に日本でも市販が予定されているこのYZF-R9に、ワイズギアが手がけた参考出品アクセサリー群を装着した車両が展示された。
今回発表されたのは、「スモークスクリーン」や「シングルシートカウル(ブルー)」、「ラジエターガード」、「プロテクションパッド」、「アジャスタブルブレーキ&クラッチレバー」、「フェンダーレスキット」、「スイングアームフック」、「レバーガード(ブラック)」、「カスタムナンバープレートホルダー&R-DNAロゴプレート」となる。
このうち、大定番の「シングルシートカウル」と「レバーガード」、耐久レーサーと同じく車体装着側がV字形状となる「スイングアームフック」は、レーシーな雰囲気を一気に高めるアイテムとして注目しておきたい!




YZF-R9のライポジチェック「キツすぎずスポーツできる、現実的な足着き性!」
じつは筆者は、サーキット走行を主な目的として所有し続けているスーパースポーツをそろそろ入れ替えるにあたり、このYZF-R9を筆頭候補に挙げている(大人気すぎて2025年型は買えないかもしれないが……)。というわけで、足着き&ライポジのチェックはかなり真剣。かなり長い時間、いろいろ検証させてもらった。
まず、本格的なスーパースポーツということで気になる足着き性。身長167cm/体重67kgで足は短めのライダーでも、これに関しては完全に許容範囲という結論だ。シートの最前部に座ると、両足の母趾球までが接地。ステップバーの前側に足を下ろすようになり、少なくともジーンズであれば、足とステップが干渉するような感じもない。
本格設計のスーパースポーツとしては十分に納得できるレベルだし、ヤマハにはYZF-R1というまたがるだけで手強さを感じるバイクもあるので、それと比べたら超フレンドリーとさえ思えてくる!

■それなりの前傾姿勢を強いられるものの、それゆえ「ちゃんとスポーツできる」ライポジ。ハンドルの垂れ角、絞り角はさほどキツくないため、公道でのショートツーリングなら許容範囲。

■身長167cmの筆者だと、つま先にちゃんと力の入る足着き性。
YZF-R9の公道走行のポテンシャルを予測「ショートツーリングなら問題なさそう!」
ライディングポジションは、基本的にはしっかりスーパースポーツになっていて、それなりに前傾姿勢を強いられる。データから想像していたよりも、スポーツライディングに最適なシート位置に座ったときに、ハンドルが低く、燃料タンクが長く感じられたが、これは低すぎるとか遠すぎるという意味ではなく、「ちゃんとスポーツできそう」ということだ。
そしてライポジも、ツーリングをほぼ拒絶しているYZF-R1と比べたらかなり優しい。ハンドルの垂れ角や絞り角がそこまで極端ではないことも、プラスに働いているようだ。
唯一、スポーツライディング視点で気になったのはステップ位置。シートに対してステップバーが、意外と低めにセットされている。ハングオフしたとき、筆者の短い足だともう20~30mmは上に欲しく、これは社外のステップキットで対処することになりそうだ。とはいえ、ストリートを走ることを考えたときに、膝の曲がりがキツすぎないのはうれしいポイントでもある。
コックピット側から見るフロントカウルは、やや起きている印象でボリューム感があり、それだけで優れた空力特性が想像できる。このあたりも、近年のトレンドをしっかり盛り込んであり好印象。
展示車両には、燃料どころかオイル類さえ入っていない可能性もあるが、押し引きした限り車体はかなり軽く、「あ、これなら操れそう!」と思えた。サーキット走行会レベルでスポーツライディングを楽しむのに最適なバイクというのが、またがった段階での感想。これはもう、一刻も早く走らせてみた~い!!



ヤマハ YZF-R9主要諸元(欧州仕様)
[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル並列3気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:78.0mm×62.0mm 総排気量:888cc 圧縮比:11.5 最高出力:87.5kW<119ps>/10,000rpm 最大トルク:93Nm(9.5kgm)/7,000rpm 変速機:6段リターン
[寸法・重量]
全長:2070 全幅:705 全高:1180 ホイールベース:1420 シート高:830(各mm) タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/55ZR17 車両重量:195kg 燃料タンク容量:14L
[車体色]
アイコンブルー、テックブラック
文●田宮 徹 写真●モーターサイクリスト編集部
特設サイト「モーターサイクルショー2025 ヤマハスペシャルサイト」では、ブース内イベントや展示車両の最新情報などを随時更新。