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通常のマニュアルトランスミッションをベースに、「切る・半クラ・繋ぐ」のクラッチ操作を電子制御に任せることができ、人間が普通にクラッチ操作をすることもできるというホンダの最新二輪変速機構「E-クラッチ」。
メカ好きな人は「2つのモーターとセンサーが……」というテクニカルな説明や、「E-クラッチ」を構成する部品を見て「うおお、凄ぇ」「なるほど!」となるかもしれませんが、正直それだけだと具体的に何をしてくれるのかよくわからん……という方もいるかと思います(筆者もその一人)。
というわけで「E-クラッチ」初搭載車となった2024年型CB650R/CBR650Rに実際に触ってみて、多くの方が気になるのではないかと思う「何ができる or できない」「こんなときはどうなる?」に関して、一問一答的にまとめてみました。
AT限定免許で乗れる?
ネットの声で少なからずあったのがコレ。結論から言うと、AT限定免許では運転できません。
というのも免許制度上のAT車/MT車の区分は、クラッチレバー(四輪車ならクラッチペダル)の有無。そのため、クラッチレバーがある「E-クラッチ」搭載車は、AT限定免許では運転できないのです。
もし将来「E-クラッチ」の機能はそのままに、クラッチレバーを廃した車両が登場したら、それはAT限定免許でも運転することができるはずです。
自動変速はする?しない?
これも結論から。自動変速はしません。
「E-クラッチ」作動中はクラッチ操作は不要ですが、ギヤチェンジは自分で行う必要があります。
最近のバイクをよく知っている方なら、アップ・ダウン両対応のクイックシフターを使うのと同じイメージです。
発進時はどんな操作になる?
ニュートラルにした状態でメインキーをオンにすると「E-クラッチ」のシステムがオンになります。そしてエンジンを始動します。
その状態でクラッチレバーには触れず、シフトペダルを1速に。すると、1速に入った状態で停車したたままとなります。
普通のマニュアルトランスミッションのバイクで発進のためにクラッチを握り、ギヤを入れいる状態と同じです。
そこからスロットルを開けていくと「半クラッチ→クラッチミート」が自動で行われ進み出します。
ちなみにメインキーオンで「E-クラッチ」のシステムがオンになる──とお伝えしましたが、逆に言うと「E-クラッチ」の作動オン/オフを切り替えるようなモードはありません。
大ざっぱにいうと「常時E-クラッチモード」で、クラッチレバーを人間が操作したときだけ普通のマニュアルトランスミッションになるといったイメージでしょうか。
高いギヤのまま信号が赤に!止まりたいけど、そのときはどうする?
自動変速しないなら完全に停車する前にギヤを落とす必要が!? なんてことはなく、例えば6速でそのまま速度を落としていっても「E-クラッチ」がクラッチを切ってくれるので、エンジンがガタガタすることもなく、エンストもしません。そのまま止まれます。
普通のマニュアルトランスミッション車でも、クラッチを切ってしまえば6速でも停車できる──それと同じことになります。
6速で停止してしまったら、発進はどうする?
何速であれ、そこから急停止してもエンストしません。ただし、勝手にギヤは落ちてくれないので、再発進のために自分で1速 or ニュートラルまでギヤを落とす必要があります。
その場合はクラッチ操作をせず、シフトペダルを踏むだけでOK。
なお、停車時に2速以上のギヤになっていると、シフトダウンを促す表示がメーターに出ます。
ただし、仮に6速で停車してしまった場合でも、そのままスロットルを開けていくと、エンストはせず、ジワジワと前に進み出します。これは「E-クラッチ」が超繊細な半クラッチをして発進させてしまうのです。
しかし、これは半クラッチを無理やり長時間行っていることにほかならないので、クラッチを傷めてしまいます。意図的に行うのは推奨できません。
坂道発進には役立つ?
教習所の課題にもなっているように、クラッチの微妙な操作が求められる状況として、坂道発進がありますが、「E-クラッチ」はそうした場面で何らかの効果を発揮するのでしょうか。
結論としては「ちょっと役立つ?」。
というのも、「E-クラッチ」自体にずり下がりを防止するヒルホールドコントロール的な効果はありません。
ただし、ライダーが行う操作はスロットルを開ける&ブレーキを緩めるだけになりますし、「E-クラッチ」はエンストを起こしません。そうした面では役立つ要素があります。
まとめ●モーサイ編集部・上野 写真●山内潤也/ホンダ
ホンダ
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