目次
MVアグスタは、本国での経営体制変更を受け、日本では2023年8月からKTMジャパンによって取り扱われています。この春にはKTMグループの一員として初めての日本国内モーターサイクルショー出展となりました。それでは日本販売が正式発表されたプレミアムアドベンチャーのLXPオリオリを詳細に見ていきましょう!
KTMグループとして新たな歴史を刻むMVアグスタ
ピエラ・モビリティAGの子会社であるKTM AGは、戦略的協力の合意により、2022年11月にMVアグスタ・モーターS.P.Aの株式を25.1%取得。これにより2023年8月から、日本国内ではKTMジャパンがMVアグスタの取り扱いを開始し、ディーラー網の再構築を含む輸入販売体制の強化を進めています。
ちなみにピエラは、2026年春にMVアグスタの株式を過半数所得する予定だとアナウンス。これによりイタリアのMVアグスタは、スウェーデン発祥のハスクバーナ モーターサイクルズやスペイン生まれのガスガスなどとともに、オーストリアに本拠を置くKTM傘下となります。
2024年3月の大阪および東京モーターサイクルショー2024では、MVアグスタはKTMグループの一員として同じブース内に出展。とは言えKTMやハスクバーナ、ガスガスとは明確に区画を分け、美しさに定評があるアーティスティックなモーターサイクルを展示していました。
本格派アドベンチャーの「LXPオリオリ」をモーターサイクルショーで日本初公開
モーターサイクルショー2024のMVアグスタブースで注目を集めていたのが、このショーに合わせて日本導入と価格が発表されたLXPオリオリでしょう。2023年11月にEICMA(ミラノショー)で発表された、超本格派のアドベンチャーモデルです。
車名の由来は、1980~1990年代にパリダカールラリーを4度制覇し、1990年と1994年にはこの時代にMVアグスタの親会社だったカジバで勝利を収めたレジェンドライダーのエディ・オリオリから。
2022年に「ラッキーエクスプローラープロジェクト(=LXP)」として発表されたプロトタイプの市販バージョンで、世界限定500台が発売されます。
エンジンは新設計の931cc水冷並列3気筒で、F3(798cc)用などと同じく逆回転クランクを採用。最高出力124馬力、最大トルク10.4kgmを発揮します。フレームはスチール製で、ボルトオンダブルクレードル構造。トレリス構造のスチール製リヤサブフレームを同じくボルトオンしています。
ホイールは前21インチ、後18インチ径のスポークタイプ。スイングアームはアルミ製、前後サスはフルアジャスタブルとなっています。
標準装備にはクラッシュバーやLED補助ランプ、アルミ製アンダーガード、ナックルガード、左39L/右32L容量のパニアケースも含まれているので、すぐにでも冒険ツーリングに出かけられそうな雰囲気です。
さらに、車検対応のテルミニョーニ製チタンサイレンサーも付いています。
もちろんIMU(慣性計測装置)を搭載し、電子制御システムも充実。
ライディングモードやコーナリングABS、ライディングモードやトラコン、ローンチコントロール、クルーズコントロール、上下クイックシフター、GPS盗難抑止イモビライザーなど豪華な装備になっています。メーターは7インチTFTフルカラーで、スマホとのワイヤレスコネクトもできます。
日本での価格は430万円。2024年4月の導入開始予定です。
スーパーヴェローチェ98も日本初披露
MVアグスタは、1943年に同社初の二輪用エンジン(98㏄空冷単気筒)を開発し、1945年にはこれを使ったMV98というワインレッドの完成車を生産開始しました。
その80周年を記念して2023年の秋に本国で発表されたのが、147馬力/8.98kgmの798㏄水冷並列3気筒エンジンを搭載したスーパーヴェローチェの限定車「スーパーヴェローチェ98」です。
歴史的モデルを思わせる特別な車体色をまとい、ステアリングプレートにはシリアルナンバーをレーザーエッチングで刻印。残念ながらレーシングキットを含む付属品は同梱されませんが、こちらも日本入荷が決定しました。導入開始時期は2024年4月。世界限定300台となっています。
レポート●田宮 徹 写真●伊藤吉行