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「中免」で乗れるトライアンフ、スピード400&スクランブラー400Xに宮城 光が速攻試乗!

スクランブラー400X トライアンフ

トライアンフの400は69万9000円から!

世代によっては「中免」のほうが耳馴染みいいかもしれないが、普通自動二輪免許で乗れる、トライアンフのニューモデル「SPEED 400(スピード400)」と「SCRAMBLER 400X(スクランブラー400X)」が、2024年1月26日に日本で発売となった。
価格はスピード400が69万9000円、スクランブラー400Xが78万9000円。

現在のトライアンフは大排気量車がメインで、普通自動二輪免許で乗れるバイクはなかった。しかし、2023年にはハーレーダビッドソンが同じく普通自動二輪免許で乗れるX350を発売、現在大好評だ。350ccモデルを持っているロイヤルエンフィールドの躍進も目覚ましい。
これらはアジア各国やインドのマーケットを狙って開発されたのだが、もちろん日本もターゲットになっている。コロナ禍で初めて普通自動二輪免許を取ったビギナーは多いし、重量車をもてあますベテラン勢も増えている。そんな事情を背景に、日本でも普通自動二輪免許で乗れる輸入車がちょっとしたブームになっているのだ。

さて今回は、トライアンフのモダンクラシックラインに追加されたスピード400、スクランブラー400Xの2台を元ホンダワークスライダーで「バイク未来総研」所長の宮城 光さんが速攻試乗。そのインプレッションをお届けする!

「スピード400」はオーソドックスなロードスポーツ。
「スクランブラー400X」はその名のとおり、スクランブラースタイルのモデル。

宮城 光
元ホンダワークスライダー。現在はモータージャーナリストのほか、交通安全啓蒙、レース解説などバイク/クルマに関わるさまざまな活動をしている。ウェブサイト「バイク未来総研」の所長も務める。
バイク未来総研での記事はこちらから
https://www.8190.jp/bikelifelab/bikefuture/bike-impression/2024-triumph/


2モデルの造り分けがすごい!

編集部
宮城さん、まず率直にスピード400とスクランブラー400Xを見て、率直な感想は?

宮城
めちゃくちゃスタイリッシュですよね。トライアンフらしいコンセプト持ってます。
ティアドロップというよりも、ピーナッツ型タンクもそうだし。ナローなデザインがやっぱりすごい可愛いね。うまくできてるなと思ったのは、フロントフォークが倒立式で太めなんですけど、ハンドルをフルロックをしてもタンクに当たらないようにちゃんと逃げ(へこみ)を作ってる。そんなところも小技が効いてていいなって思いました。
あと、クラシックなデザインを継承しながらも、あまり懐古的になりすぎないようにバランスを取ってある。
例えばリヤサスは現代的な1本サスで、フロントは倒立フォークを入れている。
そういったところに現代のエッセンスもちゃんと入っていて、なるほど! いいな!と思いましたね。

編集部
スピード400とスクランブラー400Xの2モデルがありますが、その造り分けはどうでしょう?

宮城
もうまったく違うバイクです。ホイールサイズも、スピード400は前後17インチ、スクランブラー400Xはフロント19インチ、リヤ17インチ。スクランブラー400Xのほうが全体的に大きい感じがしますね。グランドクリアランスも多分あると思う。足着き性も違うし、全長もホイールベースもスクランブラーのほうが大きい。自分の乗車位置からハンドルのグリップまでも、やっぱりスピード400に比べるとスクランブラーはちょっと遠い感じがします。
あと、フレームも違うし、フロントフォークの突き出し角やオフセット、前輪の取り付け部も違いますね。

編集部
他メーカーの兄弟車だと、外装や乗車姿勢、タイヤ銘柄が違うくらいでお茶を濁すパターンも多いのですが、トライアンフはロードスポーツのスピード400とオフロードも意識したスクランブラー400Xでかなり性格の違うバイクに仕立ててきた印象です。
では走らせてみての感想を。まず注目の新開発「TRシリーズエンジン」はどうでしたか?

宮城
エンジンは2つのモデルで基本的に一緒です。
走らせると、とにかくよく回る。このモデルのコンセプト上、こういうデザインをしてるけど、実際にはもう現代の技術で作られた水冷単気筒エンジン。決して古くさい味付けにしていないところがすごく好感が持てる。現代の技術で作ったエンジンを古くさくする方が違和感があると思うんです。やっぱり今のバイクに乗ってるんで。
実際に回してみると、単気筒なのに1万回転ぐらいまでスムーズに回っていく。どちらかって言うとオフロード系の高性能4ストローク単気筒エンジンみたい。例えばモトクロッサーの4ストローク450ccや250ccみたいな感じがあります。
だから見た目はクラシカルですが、走らせると全く違うフィーリングになっています。

スピード400

編集部
スピード400のコーナリング性能はどうでしょう?

宮城
まったく違和感ないですね。スピード400は前後17インチで軽やかなハンドリングです。違和感も、特に車体を寝かしていってもクセが出る感じもありません。ちょっとベタ褒めすぎますけども。乗ってすぐにユーザビリティが高い感じがする。とにかく扱いやすい。あまり考えずに、だれでもすぐに扱える。スピード400はそんなバイクですね。

編集部
スピード400のサスペンションや車体設定、乗り心地などは?

宮城
リヤサスペンションに関しては、プリロードを調整できるだけで、減衰調整はなし。ここはまあ、アフターマーケットが今後手を入れてくれると楽しいですね。じゃあかと言ってノーマルで不満があるかっていうと、そうでもない。全体的にはストローク量はちょっと少なめで、今よくありがちなちょっと硬めの、あんまりピッチの出ないような車体になっていますね。
街乗りが多いならスピード400がいいです。足着き性もこっちのほうがいいですから。発進・停止が多いなら、足がべったり着く方が安心でしょう。

編集部
なるほど、ではスクランブラー400Xに乗ってみての率直な印象は?

宮城
スクランブラ−400Xのほうが車高も高いし、実際のサスペンションの有効ストロークも何ミリか分かりませんが、乗った感じでは前後のサスストロークはあるように思いました。
スピード400とはハンドルやシート高が異なり、乗車姿勢はアップライトだし、フロントホイールは19インチ。乗り味としては、スピード400よりはフロント荷重がかからず、フロントがちょっと軽めでロール方向の動きをする印象です。
かといって不安感があるとか、フロントの接地荷重が足りないということはない。ハンドリングとか操作性はもちろん、押し引きを含めた取り回しに関しては、スピードとスクランブラーはまったく別のバイクですね。

編集部
今回トライアンフから400クラスの2モデルが登場しました。どんなユーザーにお薦めでしょう?

宮城
まずスピード400は一番バランスがいいです。バイクの基本中の基本的な、いたってスタンダードなセッティングになっている。これはビギナーだけでなく、ベテランでダウンサイジングを考えている人など、多くのライダーに喜んでもらえるバイクでしょう。

スクランブラー400Xは、ちょっとこだわりがある人かな。
スクランブラー系の見た目が好きな人であったり、あとは400ccなんだけどある程度は見た目のボリューム感が欲しいとか。シート高や足着きに問題がないのであれば、スクランブラーはもう全然ありです。
楽しむ幅としては、スクランブラーの方があるかもしれません。例えばパニアケースをつけたり、2人乗りをしたり。また、長距離ライディングにも合ってるかもしれませんね。

価格差は約10万円ですが、どちらも買って損のないモデルです。

編集部
何かリクエストがあるとすれば?

宮城
しいて言えばサスペンション。もう少しソフトにピッチが出る味付けだったり、または調整機構があると、スポーティに走りたい人の要望にも応えられると思う。今のままでも不満が出るほどではありませんが。

編集部
価格はスピード400が69万9000円、スクランブラー400Xが78万9000円です。コスパはどうでしょう。製造がインドということも含めて。

宮城
めちゃくちゃいいんじゃないですか? しっかりトライアンフのバイクになっていてこの価格ですから。
今の時代、生産国はそれほど重要ではないと思っています。製造ラインの管理がちゃんとしていればまったく問題ないですから。このプライスで作ってくれたのはほんとうにありがたい。
ぜひ多くの人に乗ってもらいたい2モデルです。


2月16日までデビューフェア開催

トライアンフは2024年1月26日から2月16日まで、スピード400およびスクランブラー400Xのデビューフェアを開催する。
全国のトライアンフディーラーに来場した人にはオリジナルステッカーを、また試乗した人にはカラビナ着きオリジナルマルチハードケースをプレゼント。
ぜひ全国のトライアンフディーラーで、スピード400およびスクランブラー400Xをチェック!

足着き&乗車姿勢

スピード400

スピード400のライディングポジション&足着き。ライダーの身長は176cm。両足を下ろした状態でもカカトまでべったり着く。自然なポジションでリラックスしたライディングができる。

スクランブラー400X

スクランブラー400Xのライディングポジション&足着き。スピード400よりもシート高は高く、カカトが少しだけ浮く。ハンドルはワイドで手前に。スピード400よりも若干余裕のあるライポジとなった。

カラーバーリエーション

スピード400

スピード400 カーニバルレッド/ストームグレー
スピード400 ファントムブラック/ストームグレー
スピード400 カスピアンブルー/ストームグレー

スクランブラー400X

スクランブラー400X マットカーキグリーン/フュージョンホワイト
スクランブラー400X カーニバルレッド/ファントムブラック
スクランブラー400X ファントムブラック/シルバーアイス

2台の特徴・機能を写真で解説

トライアンフ スピード400
トライアンフ スクランブラー400X
トライアンフが「TRシリーズ」と呼ぶ新型エンジンを搭載。TRは「Trophy」から名付けられた。398ccのDOHC水冷単気筒4バルブで、最高出力40ps/8000rpm、最大トルクは38Nm/6500rpm。
低回転からトルクフルなのに、上までスムーズに回っていく。トライアンフが設計し、バジャジが生産。スロットルはバイワイヤ。
スピード400のメーター周り。スピードはアナログ、ディスプレイには回転計や各種情報を表示。
こちらはスクランブラー400X。メーターは同一。ハンドルブレース&カバーがオフロード系らしい。スクランブラーはオフロードモードがある。
スピード400のヘッドライト。この2モデルの灯火類はオールLED。
スクランブラー400Xのヘッドライトはメッシュタイプのカバーが付く。
テールランプもおしゃれ。小さくトライアンフのトライアングルロゴマークが入る。
スピード400のシートは前後一体型。
スクランブラー400Xのシートは前後セパレート。
スピード400のリヤタイヤは150/60R17サイズ。銘柄はピレリのディアブロ ロッソIII。
スクランブラー400Xのリヤタイヤは140/80R17サイズ。銘柄はメッツラーのカルーストリート。
リヤサスペンションは外付けリザーバー付きのガスモノショック。ホイールトラベルはスピード400が130mm、スクランブラー400Xが150mm。
スピード400のフロント周り。タイヤサイズは110/70R17。倒立フォーク径は両車同一の43mm。ホイールトラベルは140mm。ブレーキディスク径は300mm。
スクランブラー400Xのフロント周り。タイヤサイズは100/90R19。フォーク径は同じだが、キャスター/トレールなど設定が異なる。ホイールトラベルは150mm。ブレーキディスクは320mm。
タンク形状は同一。フロントフォークの「逃げ」がある。スクランブラーはニーパットを装着。
スピード400のミラーはバーエンドタイプ。
スクランブラー400Xはハンドルガードも装備。
スピード400のサイレンサー。チェーンは右側、ブレーキが左側はトライアンフ車に多い設計。
スクランブラー400Xのサイレンサーは2本出し風デザイン。

主要諸元

TRIUMPH SPEED400

【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:89.0mm×64.0mm 総排気量:398cc 最高出力:29kW<40ps>/8000rpm 最大トルク:38Nm<3.8kgf・m>/6500rpm 変速機:6段リターン

【寸法・重量】
全長:2055 全幅:815 全高:1085(ミラー無し) ホイールベース:1375 シート高:790(各mm) キャスター/トレール:24.6°/102mm タイヤサイズ:F110/70R17 R150/60R17 車両重量:171kg 燃料タンク容量:13L


TRIUMPH SCRAMBLER400X

【エンジン・性能】
種類:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:89.0mm×64.0mm 総排気量:398cc 最高出力:29kW<40ps>/8000rpm 最大トルク:38Nm<3.8kgf・m>/6500rpm 変速機:6段リターン

【寸法・重量】
全長:2115 全幅:900 全高:1170(ミラー無し) ホイールベース:1420 シート高:835(各mm) キャスター/トレール:23.2°/108mm タイヤサイズ:F100/90R19 R140/80R17 車両重量:180kg 燃料タンク容量:13L

まとめ●太田力也(編集部) 写真●柴田直行/トライアンフ

トライアンフ モーターサイクルズ ジャパン

トライアンフコール:03-6809-5233
https://www.triumphmotorcycles.jp/

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