目次
500ccクラスのスポーツスクーターは他メーカーにもあるけれど
スクーターというと、オートマで、収納もあって、通勤やお買い物に便利な乗り物。そんなイメージを持っている人がほとんどではないでしょうか。
ですがヨーロッパでは、排気量が大きくスポーティな走りやツーリングを楽しめるモデルが「マキシスクーター」と呼ばれ、一定の人気を集めるカテゴリーとなっています。
そうしたなかでも、かなり個性的なモデルを当記事では紹介したいと思います。
それは極めてお買い物に向かないスクーター、イタリアのメーカー・イタルジェットが送り出す「ドラッグスター559ツイン」です。2023年11月にイタリア・ミラノで開催された世界最大級の二輪車ショー「EICMA2023」で発表されたニューモデルとなります。
シート下に巨大なエンジンがあるので、トランクは無い
「ドラッグスター」シリーズは歴代モデル、デザイン・構造ともに独創的なスクーターで、初代からハブステアを採用し続けているのも特徴です。
さて、そんなドラッグスターシリーズの最新版であり、歴代で最大排気量となるドラッグスター559ツインは59馬力を発揮する550ccの水冷並列2気筒DOHC4バルブエンジンを搭載。
いや、搭載するのはいいんですが、エンジンがどこにあるかというと、シートの真下。つまり、スクーター定番のシート下トランクはありません(笑)。
そのうえ、なんとトランスミッションは6速MT! バイク同様にクラッチレバーとシフトペダルがついており、リヤタイヤの駆動はチェーンです。
スポーツバイク的なシャシー、カウルには空力パーツを装備
車体面もかなり独創的で、むき出しのスチールパイプ製トレリスフレームがまず目を引きます。ドラッグスター559ツインはハブステアを採用していませんが、倒立のフロントフォークはハンドルまで伸びており、トップリッジでクランプするスポーツバイクと同様の構造。
リヤサスペンションもスクーターおなじみのユニットスイングではなくスイングアーム式……というのはヤマハのTMAXなどスポーティな走りを重視したスクーターで採用例がありますが、リヤサスペンションが2本あり右側はリンク式、左側はリンクレスという不思議な構成です。
そして、カウルには近年のスポーツバイクでトレンドの空力パーツを装備、フロントブレーキはダブルディスクにブレンボ製キャリパーとやる気マンマン。
ただし、EICMAで展示されたのはショーモデル的な要素もあり、市販時までに変更される部分もあるようです。
スクーターなのか、スポーツバイクなのか
果たしてこれはスクーターなのか?
メーカーであるイタルジェット自身は、SNSで「バイクとスクーターの間にある独特かつニッチな存在。スポーツバイクなのか、スクーターなのか、それを決めるのはユーザーだ」と語っています(少々意訳)。えッ、放り投げちゃった!?
販売に関してはヨーロッパでは予約が始まっているのですが、車名の数字と同じ559台の限定生産らしいです……(日本での販売は現状不明)。
さて、幸運にも手にした559人のライダーはこのモデルをどう判断するのでしょうか。
イタルジェット ドラッグスター559主要諸元
【エンジン・性能】
種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:72.0×67.6mm 総排気量:550cc 最高出力43.5kW(59ps)/8500rpm 最大トルク:55Nm(5.6kgm)/6500rpm 変速機:6段
【寸法・重量】
全長:2102 全幅:── 全高:── ホイールベース:1542 シート高:795(各mm) タイヤサイズ:F120/70R15 R160/60R15 乾燥重量:180kg 燃料タンク容量:16L
レポート●上野茂岐 写真●EICMA/山下 剛/Italjet
2024年1月20日:一部加筆修正を行いました。