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ロイヤルエンフィールド新型ヒマラヤ試乗「同社初の水冷エンジン車」でインドの山奥、悪路を走る

ヒマラヤ ロイヤルエンフィールド

ロイヤルエンフィールドのミドルアドベンチャー「ヒマラヤ」新型は水冷452ccエンジンに

空冷411ccエンジンを搭載したロイヤルエンフィールドのミドルアドベンチャーモデル、ヒマラヤが水冷452ccエンジンを搭載して全てを刷新した。インド北部の街、マナリで開催されたその試乗会に参加し、標高の高い山々を走ってきた。今回試乗したコースでは、「これが、ビッグアドベンチャーだったら足も踏み入れられなかったかもしれない……」そんなシーンがたくさんあった。僕はオフロードをガンガン走れるエキスパートではないが、新たなヒマラヤは、道なき道を安心に進ませてくれたのだ。

インドを本拠とするロイヤルエンフィールド社の開発陣は、「アクセッシブル」という表現をよく使うのだが、これはアクセスしやすいバイクという意味で、新型のヒマラヤはまさにそれを体現したわけだ。インドでは小排気量車やスクーターに乗るライダーがまだ大勢であり、彼らが初めてのアドベンチャーモデルに選んだり、憧れたりするバイクがヒマラヤなのだ。そのため、アクセスしやすいことがとても大切なのである。

搭載される4ストローク単気筒エンジンは、従来の空冷OHCから水冷DOHCとなり、排気量は411ccから452ccにアップして、40馬力を発揮する(従来は24.3馬力)。ちなみにロイヤルエンフィールドが水冷エンジンの市販車をリリースするのはこれが初めてだ。

ほかには、前後サスペンションはショーワ製で、ホイールはフロント21、リヤ17インチを採用。車体は従来型ヒマラヤより少しだけ大柄になったが、ポジションに余裕が生まれたようなイメージだ。

試乗ライダーの小川 勤。2022年、ロイヤルエンフィールドが主催するヒマラヤ(バイク)でヒマラヤ(山脈)を走る「モト・ヒマラヤ」というツアーに参加し、日本では考えられない絶景に驚愕。それ以来、度々インドを訪れているフリーライター。

カラーバリエーションはヒマラヤの大自然をオマージュ

ブラックはロイヤルエンフィールドらしい高級感をイメージ。それ以外はこれまで同様、ヒマラヤの大自然をイメージしたカラーリングを採用。ピンクはヒマラヤソルト、ブルーはポピーという花をイメージしているというから面白い。

KAMET WHITE(ホワイトカモフラージュ)
KAZA BROWN(ブラウン)
HANLE BLACK(ブラック×イエロー)
SLATE POPPY BLUE(グレー×ブルー)
SLATE HIMALAYAN SALT(グレー×ピンク)

大自然と共存するバイク

走り出すと、とにかくエンジンがスムーズ。ショートストロークになっているものの、低中速を大切にした味つけで、回転を上げなくてもしっかりと加速する。1回目の休憩ポイントで標高を確認すると3200mだった。この標高でこんなに走るのか、と感心する。僕は2022年にモト・ヒマラヤというツアーに参加し、従来型のヒマラヤで3000~5000mの山々を巡ったのだが、その時の常用回転域は6000~7000回転。しかし、新型のヒマラヤは3000~4000回転で十分走る。

インドは舗装路もあるが、ガレ場やダートも多く、すぐ横は断崖絶壁なんてことも普通にある。ガードレールはなく、至る所に大量の雪解け水が流れていたりする。そして日が暮れれば猛烈に寒くなり、大袈裟でなく、ちょっとしたことが命取りになる環境だ。それでも新型のヒマラヤで走っていると景色を見る余裕が生まれ、次はどんな絶景が待っているのだろうと胸が躍るのである。ヒマラヤはまさにここで生まれ、育まれてきた。大自然を理解し、地球と共存するヒマラヤこそが真のアドベンチャーなのだと思った。


新型ヒマラヤ「ここが気に入った!」

標高5000mオーバーのヒマラヤ山脈を走り込み、本格的でありながらフレンドリーな一面を持つ。近年、世界的な流行りはビッグアドベンチャーだが、その大きさや重さが現実的でないライダーにオススメ。今まで走ったことのない場所に、入り込んでみたくなるはず。また今後、ロイヤルエンフィールドがこのプラットフォームで作るバイクにも期待したくなる。

新型ヒマラヤ「ここが気になる」

452ccのバイクにしては車重がある。ただそれは頑丈なバイクづくりからくるところだろう。また、ビッグアドベンチャーを知るライダーなら、もう少し電子制御機構が欲しいはず。オプションでグリップヒーターやアップ&ダウン対応のシフター、オートクルーズなどがあると完璧かも。ちなみにローシートやアルミ製のパニアやトップケースなどは用意される。

■試乗会では様々な路面を経験。新開発のシアット製タイヤはロード寄りだが、どんな時も安心感に溢れる。「これがビッグアドベンチャーだったら……」、僕は足さえ踏み入れなかっただろう。

ロイヤルエンフィールド新型ヒマラヤの特徴

前後サスペンションはショーワ製

■サスペンションは、このカテゴリーにしては豪華な設定。フロントはカートリッジの入ったセパレートファンクションでリヤはリンク式のモノショック。タイヤは専用のシアット製で、リヤはラジアルでフロントはバイアス。

ロイヤルエンフィールド初の水冷エンジン

■近年のロイヤルエンフィールドの単気筒エンジンはロングストロークだが、初の水冷エンジンはショートストローク。それでも低中速を大切にしたキャラクターに仕上げている。前モデルの空冷エンジンより10kgの軽量化を実現。

直感的に操作可能な制御とナビゲーションを装備

■丸型の多機能メーターでは、外周に回転計、横枠で速度計とギヤ段数などを表示。またこれまでの簡易ナビであるトリッパーを進化させ、メーター内にナビ機能を導入。スマホの専用アプリと同期させGoogleマップを使用できるようになっている。エンジンモードもこの中で表示でき、エコとパフォーマンスを選択可能なほか、リヤのABSはカットも可能。

ロイヤルエンフィールド新型ヒマラヤの足着き&ライディングポジション

■シート高は825mmと845mmの2段階に調整可能。鍵でシートを外せば簡単に変更できる。市街地では低い方、ワインディングでは高い方などと使い分けるとより楽しめるはず。高い方が圧倒的にハンドリングが良い。写真は低い方でのポジション。身長165cm、体重65kg。

ロイヤルエンフィールドの首脳陣も試乗会に参加

■アイシャー・モーターズ(ロイヤルエンフィールドの親会社)のマネージングディレクターであるシッダールタ・ラル氏(左)やロイヤルエンフィールドのCEOであるB・ゴビンダラジャン氏も試乗会に参加。2人は開発においてもしっかりと走り込んでいる。

ロイヤルエンフィールド ヒマラヤ主要諸元

【エンジン】
水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ ボア×ストローク84×81.5mm 排気量452cc

【性能】
最高出力29.44kW<40.02ps>/8000rpm 最大トルク40Nm<4.08kgm> /5500rpm WMTCモード燃料消費率──

【変速機】
6段リターン

 【寸法・重量】
全長2245 全幅852 全高1316 ホイールベース1510 シート高825/845(各mm) 車両重量(燃料90%充填状態)196kg タイヤサイズF90/90-21 R140/80R17

【容量】
燃料タンク17L

 【カラー】
ホワイトカモフラージュ、ブラウン、ブラック×イエロー、グレー×ブルー、グレー×ピンク

【価格・発売日】
未定

レポート●小川 勤  写真●ロイヤルエンフィールド

CONTACT

ロイヤルエンフィールド(PCI)

TEL:03-5651-8021
www.royalenfield-tokyoshowroom.jp/

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