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例年11月にイタリアのミラノで開催されるEICMA。世界最大級の二輪車ショーと言われるが、日本のモーターショー/モーターサイクルショーと違って、車両メーカー、パーツメーカーなどが販売店と商取引(B to B)するための見本市というのが根底にある。それゆえ、出展されるのはコンセプトモデルではなく市販予定車が多いのが特徴だ。
そのEICMAには当然と言うべきか、地元=イタリアのブランドが多数出展している。イタリアの二輪メーカーとなるとドゥカティ、ベスパ、アプリリア、モトグッツィ、ビモータ……などを思い浮かべる人が多いと思うが、ほかにも歴史あるブランドがたくさんある。ちょっとマニアックかもしれないが、当記事では2023年のEICMAから「名門イタリアンブランド」の最新事情を紹介していこう。
ベネリ「700ccアドベンチャーと750ccスクランブラーと大型車を展示」
日本ではプロトが輸入代理店を務める「BENELLI」(ベネリ)。
1911年にイタリアで創業した歴史あるメーカーだが、2005年に中国の銭江グループ(QJグループ)の傘下へ入り、グローバルな展開を行っている。
日本ではスクランブラーの「レオンチーノ」、スポーツネイキッド「TNT」、アドベンチャー「TRK」など小〜中排気量車中心のモデル展開だが、EICMAでは500cc並列2気筒エンジンを搭載する「トルネード」、125cc/249cc/292ccの3バリエーションがある水冷単気筒のアドベンチャー「BKX」、698cc水冷並列2気筒エンジンを搭載するアドベンチャー「TRK 702 X」、754cc水冷並列2気筒エンジン搭載のネオクラシックスクランブラー「レオンチーノ800トレイル」など、多彩なラインナップを展示していた。





F.Bモンディアル「日本未導入の450cc2気筒車・ピエガ452に注目!」
「F.B MONDIAL」(F.Bモンディアル)は1948年にイタリア・ミラノで創業したメーカーで、1950年台はイタリア国内のレースで活躍。しかし1979年に経営不振により倒産、その後の紆余曲折を経て、2015年に復活を遂げた。
日本ではアイビーエスが輸入販売しており、小排気量モデルのネオクラシックモデルからオフロードモデルまで幅広いラインアップを揃えている。
ここでは日本未導入のモデル「PIEGA452」(ピエガ452)を紹介。48psを発生する449cc水冷並列2気筒エンジンを搭載するモダンネイキッドで、リヤのディッシュホイール(風カバー?)も特徴的なディテールだ。


ファンティック「2ストでユーロ5をクリア!エンデューロ車のXE300を初公開」
日本ではモータリストが輸入元となっているイタリア発の「FANTIC」(ファンティック)。1968年にイタリア北部のバルザーゴで創業され、エンデューロやトライアルなどオフロード車を得意としたメーカーだ。
現在はスクランブラースタイルの「キャバレロ」シリーズのほか、公道走行可能な「エンデューロ」(50cc、125cc、250cc)と「モタード」(50cc、125cc)を取り扱っている。先だってはヤマハ MT-07の並列2気筒エンジンを搭載する「キャバレロ700」も発表され、こちらも日本で販売される。
EICMAのブースでは、初公開のエンデューロモデル「XE300」や参戦中のMoto2レーサーなどのほかに現行モデルを多数展示。所狭しとブースに並んだバイクの数々に、来場者がたくさん押し寄せて常に満員御礼状態だった。



レポート&写真●山下 剛 編集●上野茂岐