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BMWの新電動バイク「CE 02」を実車で解説! スクーターではなく横乗り系スポーツモデル? 日本では2024年発売決定、250ccクラス該当となるか

CE 02 BMW 電動

BMW Motorrad 3台目となる市販電動バイク「CE 02」

2023年7月7日にBMW Motorradはドイツ・ベルリンで開催したイベント「Pure&Crafted」(ピュア&クラフテッド)の会場で新コンセプトの電動モビリティCE 02を発表しました。早速日本のBMW Motorradウェブサイトにも車両ページが用意されており、国内でも2024年発売予定となっています。

BMW Motorradといえば、2016年発表のCエボリューションを皮切りとして、2022年にはCE 04を発表。どちらも日本で発売されていますが、原付枠を超えた電動二輪車として注目を集めました。
ちなみにCエボリューションの日本発売は2017年ですが、これが二輪メーカーの量産市販電動バイクとして日本で初めての軽二輪モデルとなりました。

さて、今回BMW Motorradが発表した市販モデルCE 02は、2021年に公開されたコンセプトモデル「Concept CE 02」を発展させたものです。そのConcept CE 02は街中を自在に駆けぬけるコンパクトな電動モビリティとして、そのターゲットは10代を中心とした若者たち。

コンセプト・ビジュアルやティザームービーには、スケートボードを楽しむストリート系の若者が登場しクリエイティブ性を打ち出していました。それは、今までどちらかというと実用志向かつ大人向けだった電動二輪市販車の世界へ、BMW流のアプローチで新たな風を吹き込もうという気概を感じるものでした。

BMW Motorradの新型電動バイク「CE 02」。日本国内では2024年発売予定となっています(2023年7月時点で価格等は未定)。
こちらが2021年発表のコンセプト車「Concept CE 02」。前後ホイールは14インチで、その車体構成はスクーターというよりもモーターサイクル的と言えます。車体下部にスケートボードを載せている点に注目!

お披露目の場となった「Pure&Crafted」は2015年からBMW Motorradがドイツ国内で開催している複合型音楽フェスで、音楽ライブをはじめカスタムバイクやアパレルブランド、アートワークの展示など、バイクとファッション、さらに音楽やアートを絡めた多彩な催しで人気を集めているイベントです。

BMW Motorradは、そんなPure&Craftedの会場でCE 02のワールドプレミアを開催しました。7月7日の18時、世界各国から集まったメディア関係者は会場の一角にある屋内エリアへと案内されました。ワールドプレミアの冒頭では、まずBMW Motorradのトップを務めるマーカス・シャラン(Markus Schramm)氏が登壇。その後、市販型のCE 02が会場へライドイン!

ベルリン市街地の古い倉庫地区を利用して開催されたPure&Crafted。
バイク、音楽、ファッションという異なるカルチャーを融合させた複合フェスのPure&Crafted。BMW Motorradの主催で2015年から開催されています。
BMW Motorrad主催ですが「BMWのイベント」というのを押し出しているわけではなく、ヤマハ、ハーキュレス、ハスクバーナなど……他メーカーのカスタムバイクも会場には展示されていました。
Pure&Crafted会場の一画で始まったCE 02のメディア関係者向けのワールドプレミア。
BMW Motorradのトップ、マーカス・シャラン氏。プレス発表会ではマキシスクーターのC600シリーズからCエボリューション、CE 04、今回のCE 02まで、サステイナブルなアーバンモビリティのロードマップとともに、今後の展開を語りました。

ライディングモード搭載でモーターの出力特性を切り替えられる

お披露目されたCE 02はヘッドライトをはじめ、デザインを崩さない実用的なリヤフェンダー、ナンバープレートステー、灯火類の配置などを除けば、シート形状やモーターカバーなどConcept CE 02とほぼ変わらないスタイル。Concept CE 02で特徴的だった、スケートボードなどを収納する車体下部のラックもそのまま引き継がれています。

バッテリーは48Vでトランスミッションはオートマチック。
しかし、ライディングモードを採用しており、穏やかなスロットルレスポンスの「Flow:フロウ」とよりダイレクトな乗り味を楽しめる「Surf:サーフ」の2種類を設定しています。さらにオプションではEVらしいスポーティな走りをより楽しめる「Flash:フラッシュ」モードも用意。
R 18シリーズのライディングモードには「Rock」という名のモードがあるなど、発売するモデルに合わせたライディングモード名称を用意するのもBMW Motorradらしいですね。

またCE 02は欧州での免許制度に合わせて、最高出力11kW(15ps)と最高出力4kW(5ps)の2種類の仕様を用意しているのも特徴のひとつです。
最高出力を4kWとしたバージョンでは最高速度は45km/hに抑えられていますが、このバージョンはドイツ国内であれば「AMライセンス」というものに該当します。このAMライセンスの対象は15歳以上または自動車免許保有者で、この区分に該当する車両はエンジン車では排気量50cc以下、かつ、最高速度が45km/h以下の二輪または三輪です。このことからも、CE 02がどういったターゲットを想定しているのかがお分かりになるかと思います。

もう一方の最高出力11kWモデルは最高速度95km/hで、欧州ではA1ライセンスと呼ばれる免許区分で運転できるものです。このA1ライセンスは、エンジン車では排気量125cc以下、出力は11kW以下の車両が該当し、日本の免許区分で言うならば原付二種的存在といえます。
気になる航続距離は、11kWモデルで最大90km、4kWモデルでは45kmと発表されています(WMTCモード)。

なお日本仕様の詳細は明らかになっていませんが、最高出力4kWモデルの定格出力が3.2kW、最高出力11kWモデルの定格出力が6kWなので、どちらも道路運送車両法上は軽二輪(いわゆる250ccクラス)となります。
ただし4kWモデルの最高速は45km/hですから、高速道路の最低速度にも達しないことになってしまいます。日本の交通事情を踏まえると、11kWモデルが導入される可能性が高いのではないでしょうか。

鋼管フレームによる車体とテレスコピックフォーク、片持ち式リアセクションのパッケージングはConcept CE 02そのまま。ホイールはフロントが2.50×14インチ、リアが3.50×14インチで、ABSは前輪のみに装備されています。
シート下にリチウムイオインバッテリーとモーターを搭載するCE 02。車重は11kWモデルで132kg、4kWモデルで119kg。シート高は750mmですが、車体がスリムなので小柄なライダーでも足着きの心配はないと思われます。
4kWモデル、11kWモデルともに、モーターの最大トルクは55Nm(5.6kgm)と共通。モーター前方にはラックが装備されており、前ステップのステーも兼ねています。
CE 02のプロダクト・マネージメントを担当したサラ・ハーン(Sarah Hahn)氏。

充電時間は……

48Vのリチウムイオンバッテリーの充電時間は、最高出力11kWモデルで0.9kWの充電器を使用した場合は312分で100%まで充電、最高出力4kWモデルで同じ充電器を使用した場合には182分でフル充電できます。
また、80%までの充電なら11kWモデルで168分、4kWのモデルで85分とおよそ半分の時間で充電が可能となります。なお、11kWのモデルでは、オプションとして高出力の1.5kWの充電器も設定されており、そちらを使用すれば充電時間を大幅に短縮することができます。

BMW CE 02のディテール解説

ここからは車体の詳細について見ていきましょう。

ステップはモーター前方・フォワードポジションとシート真下・ミッドポジションのふたつを標準装備。一人乗りではどちらを使用しても良いですし、タンデムする際は後ろのステップを活用して……という構成。
BMWのプロモーション写真より。ライディングポジションは完全にモーターサイクル的で、写真では後ろのステップに足を乗せています。
車体中央に配置したモーターの出力はベルトドライブで後輪へ伝達します。片持ち式のリヤセクションはCE 04を彷彿とさせるもの。斬新なシートデザインもコンセプトモデル「Concept CE 02」から引き継がれています。
メーターは3.5インチのマイクロTFT液晶ディスプレイです。この大きさのTFT液晶ディスプレイはBMW Motorradの市販車では初登場。ハンドルポストに装着されているのはオプションのスマートフォン用クレードルです。
左側のスイッチボックスには、各種メニューを操作するコントローラーを装備。CE 02ではリバース・アシスト(バックギヤ)を装備しており、スイッチボックス上部の「R」スイッチを押して操作します。
右側のスイッチボックスにはキルスイッチのほか、グリップヒーター、イグニッションのON/OFFスイッチを配置。
フロントフォークのコーションステッカーには細かい情報が……。

フロントフォークに貼られたコーションステッカーからすると、撮影車は最高出力11kWのモデルのようでした。CE 02では純正オプションとしてラゲッジシステムも用意されていますが、コーションステッカーの記載によれば車体とライダー、そして荷物を合わせた総重量は312kg以下を推奨。
11kWモデルの車重は132kgですから、ライダーと荷物を合わせた最大許容量は180kgということになります。また、トップケースなど車体真上に積載できる許容量は16kg以下、車体サイドでの積載許容量は5kg以下を推奨しているようです。

「ターゲットは若者世代」CE 02のワールドプレミアはイベント来場者=一般ユーザー向けにも開催!

メディア関係者向けのCE 02ワールドプレミアからおよそ2時間後、Pure&Craftedの会場ではそれまでメインステージで行われていたライブ演奏が中断、会場中央に設けられたスケートパークに多くの観客が集まっていました。じつは今回のPure&Craftedでは会場に集まった若者を中心とする来場者に向けて、一般向けのCE 02のワールドプレミアを開催したのです!

欧州の免許制度を踏まえて、若者世代へ訴求するための新しい電動モビリティとして誕生したCE 02。国際的なモーターショーや、コアなバイクファンが集う自社イベントではなく、若者が数多く集まる複合フェスのPure&CraftedをCE 02のお披露目の場として選んだのは必然と言えるでしょう。

Pure&Craftedの会場の中央に設けられた特設スケートパーク。壁際や中央にはランプが設置されています。
プロモーションムービーが流れたあと、メディアに公開されたばかりのCE 02が登場! スタントライダーのライディングによってランプをジャンプしたり、ウイリーをしたりと派手なアクションライドが披露されました。
ここでもBMW Motorradのトップ、マーカス・シャラン氏が登壇。ステージに詰めかけた一般来場者に向けてCE 02の紹介を自ら行いました。
CE 02の発表後は、地元のスケーターやBMXライダーたちがデモランを披露。会場は大いに盛り上がりました。

BMW CE 02主要諸元(ヨーロッパ仕様)

最高出力11kWモデル

[モーター性能]
最高出力:11kW(15ps)/5000rpm
定格出力:6kW(8ps)
最大トルク:55Nm(5.6kgm)/0〜1000rpm

[バッテリー性能]
種類:空冷リチウムイオン高圧バッテリー
バッテリー容量:3.92 バッテリー電圧:48V
充電時間:312分(0.9kW)/210分(1.5kW)
航続距離:WMTC基準で90km

*12V/5Ahのサブバッテリーも備える

[寸法・重量]
全長:1970 全幅:876(ミラー含む) 全高:1140 ホイールベース:1353 シート高:750(各mm)
タイヤサイズ:F120/80-14 R150/70-14 車両重量:132kg

最高出力4kWモデル

[モーター性能]
最高出力:4kW(5ps)/1000rpm
定格出力:3.2kW(4ps)
最大トルク:55Nm(5.6kgm)/0〜1000rpm

[バッテリー性能]
種類:空冷リチウムイオン高圧バッテリー
バッテリー容量:1.96 バッテリー電圧:48V
充電時間:182分(0.9kW)
航続距離:WMTC基準で45km

*12V/5Ahのサブバッテリーも備える

[寸法・重量]
全長:1970 全幅:876(ミラー含む) 全高:1140 ホイールベース:1353 シート高:750(各mm)
タイヤサイズ:F120/80-14 R150/70-14 車両重量:119kg

レポート●土山 亮 写真●土山 亮/BMW 編集●上野茂岐 

CONTACT

BMW Motorrad「CE 02」紹介ページ(日本語)

https://www.bmw-motorrad.jp/ja/models/urban_mobility/ce02.html

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