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BMW二輪「Mシリーズ」の3番目、M1000XRプロトタイプがマン島TTでお披露目
BMWモトラッドは、2023年6月6日にM1000XRのプロトタイプの映像を公開した。映像では、BMWモトラッドの開発陣と思われる男が、イギリス・マン島にいるピーター・ヒックマンに電話をしたあと、M1000XRプロトタイプをドイツ・ベルリンからマン島まで走らせて運び、ヒックマンにバトンタッチするとマン島TTのスネーフェルマウンテンコースを1周する様子が映し出されている。
ヒックマンといえば、2023年のマン島TTではスーパーストックTTとスーパーバイクTTでM1000RRを走らせ、最高峰クラスのシニアTTでは見事にM1000RRを駆って優勝した、マン島TTで今もっとも速いライダーだ。
BMW MはこれまでにスーパースポーツM1000RRと、ネイキッドM1000Rの2モデルを発売している。順番から考えればM1000XRが登場するのは妥当なところで、今回のティーザーのタイミングからすれば、今年のミラノショーで公開されてもおかしくはない(お膝元ドイツの二輪車ショーであるインターモトは来年2024年秋開催予定)。
BMW 「M」とは
そもそもBMW MとはBMWのグループ会社で、レースと直結したBMWの研究開発組織だ。ホンダでいえばHRCのようなものである。
BMWが初めてMの称号を持つクルマを世に送り出したのは1978年の「M1」だ。それ以降F1エンジンの開発なども担い、1983年にはBMWエンジンを搭載したブラバムが、ネルソン・ピケのドライビングによってF1シリーズチャンピオンを獲得した。そうして現在、四輪ではBMWのハイパフォーマンスグレードの称号として広く知られている。
BMW Mの象徴として、青・紺・赤のトリコロールカラーが用いられ、2021年にBMWモトラッド初のMとして登場したM1000RR、2023年発売のM1000Rにもこの「Mカラー」が採用されている。
M1000XRは「最高出力200馬力以上、装備重量223kg」
さて、先のマン島TTで世界初公開されたM1000XRは、まだプロトタイプゆえ車体にMカラーのペイントはなく、各部のカーボンパーツがむき出しになっている。公開された映像や写真から伺い知れるのは、Mカラーのリムを持つ前後カーボンホイール、S1000XRとは異なるセパレートシート、ラジエター側面に設けたウイングレット、ブルーアルマイトに輝くMブレーキキャリパーとラジアルポンプマスターシリンダーを備えるブレーキシステムだ。
BMWは公式アナウンスとして、シフトカムを搭載するS1000RR直系の999cc並列4気筒エンジンをベースとして、最高出力は200ps以上、燃料満タン状態での車重は223kgというスペックを発表。
フレーム、エアロダイナミクス、電子制御デバイスは、一般公道でのパフォーマンスはもちろんサーキットでも優れた走行性能を発揮する設計としている。また、M1000RR/Rと同様にMコンペティションパッケージを用意するという。
BMWモトラッドは2023年後半には、新型M1000XRに関するさらに詳細な情報を公開するとしている。
レポート●山下 剛 写真●BMW 編集●上野茂岐
編集部註:広く「イギリスのマン島」と紹介されることが多いため、冒頭で「イギリス・マン島」と表現をしましたが、厳密にいうとマン島は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」に属するわけではなく、独自の政府を有した王室領といえる存在です。外務省の文書では「英国王室属領」という記述がなされています。
これまでのBMW二輪Mシリーズ
1台目は2021年発売のスーパースポーツ「M1000RR」
■S1000RRをベースとし、999cc並列4気筒エンジンは同社史上最強の212馬力の性能を発揮! 2024年モデル(写真)では大型ウイングレットなどを採用し空力特性が高められた。価格は2024年モデルで378万3000円〜。
2台目は2023年発売のネイキッド「M1000R」
■ベースはハイパフォーマンスネイキッドのS1000Rで、最高出力は210馬力。ネイキッドモデルではあるが、大型ウイングレットなどを装備し高い空力特性も有している。価格は265万2000円〜。
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