目次
■BMW「R 12 nineT」
R18ファミリー5番目のモデル「R 18 Roctane」が発表された
BMW史上で最大の排気量、1802ccの空油冷水平対向2気筒OHV4バルブ、通称ビッグ・ボクサーを搭載するR 18ファミリーに、5番目のモデルが加わる。その名はR 18 Roctane(アール・エイティーン・ロクテイン)。
カスタムバガースタイルを与えられた同車の特徴は、車体後部に流線型のストリームラインデザインを採用し、その上でクルージング&ツーリングに適した左右のパニアケース(ボディと同色で、容量各27L)を標準装着したこと。
ほかに、従来モデルと同様にRain、Roll、Rockの3つの切り替え式ライディングモードやASC(オートマチック・スタビリティ・コントロール)も採用。
マット感のある各部の仕上げでクールな演出が施されたうえ、走りにも抜かりのない仕様だ。
高めにセットされたハンドルバー、ミッドマウントのフットペグなどで、上体の直立したリラックス可能なライディングポジションを確保。
車体は前21インチの大径ホイール(タイヤサイズ120/70B21)と後ろ18インチ(同180/55B18)の組み合わせ。なお、詳細な性能スペックや仕様は、価格とともに今秋に発表予定。
ちなみに、R 18ファミリー最初のモデル、R 18の登場は2020年。大迫力のボリュームをソリッドなネイキッドクルーザースタイルで具現化し鮮烈な印象を与えた。その後2021年春にR 18クラシック、同年秋にR 18B、R 18トランスコンチネンタルが登場し、4モデル展開となっていた。
心臓部のビッグボクサーは最高出力67kW(91PS)/4750rpm、最大トルク158Nm/3000rpmの基本性能が共通だが、参考までに既存4モデルのベースモデルの装備(プレミアムラインを除く)をざっと紹介する。
※各モデルに用意の上級仕様=プレミアムラインは、ベース仕様に対して、アダプティブヘッドライト、デイタイムライディングライト、ヒルスタートコントロール、ヘッドライトプロ、リバースギアなどが装備されたもの(細部設定は異なる場合がある)。
■R 18(価格230万8000円〜)
ネイキッドなクルーザーフォルムで、R 18の迫力をソリッドに表現したプレーンモデル。前19インチ(120/70R19)、後ろ16インチ(180/65B16)の車輪で、車両重量358kg。標準装備でパッセンジャーキット、グリップヒーターなどを採用。
■R 18クラシック(価格254万5000円〜)
R 18をベースにクラシックテイストを盛り込み、クルージング装備も充実した仕様。前輪は16インチのワイドタイヤ(130/90B16)を装着し、後輪も16インチ(180/65B16)。車両重量374kg。大型ウインドシールドとヘッドライト左右の補助LEDランプ、左右パニアケースを装備。ほかにフロアボード、グリップヒーター、クルーズコントロール、ローシートなどを標準採用。
■R 18B(価格314万1500円〜)
流行のバガースタイルと、BMW伝統のツアラー機能を融合させたエモーショナルモデル。ハンドルバーマウントの大型フロントフェアリングと低いウインドスクリーン、左右パニアケース標準装備などで、カスタムスタイルにツーリング機能も併せ持つ。前19インチ(120/70R19)、後ろ16インチ(180/65B16)の組み合わせで、車両重量398kg。同車はプレミアムラインが基本仕様で、アダプティブヘッドライト、ラジオソフトウェア、デイタイムライディングライト、ヒルスタートコントロール、ヘッドライトプロ、フロアボード、セントラルロックシステム、シートヒーター(ライダー側のみ)、タイヤ空気圧センサー、リバースギア、アクティブクルーズコントロールなどを標準装備。
■R 18トランスコンチネンタル(価格375万1000円〜)
車名のとおり、大陸横断を可能にする長距離ツーリング装備を充実させた仕様。ライダーやパッセンジャー、荷物の量に応じてサスペンションプリロードを自動調整する機能も備える。前19インチ(120/70R19)、後ろ16インチ(180/65B16)採用で、車両重量427kg。プレミアムラインを基本仕様とし、専用のハイスクリーン大型フロントフェアリング、ローシート、前後シートヒーターのほかは、R 18Bに準ずる標準装備。
走りとカスタムの空油冷ボクサーツインは「R 12 nineT」に進化して今秋登場
2013年に登場以来、伝統の空油冷ボクサーツイン搭載ネオクラシック・ロードスターとして根強い人気を集めてきたR nineT(アール・ナインティ)シリーズ。
その後も、スクランブラー、アーバンGS、ピュアなど派生モデルを増やし、新型が水冷エンジン化していく中で、唯一の空油冷エンジンで展開されてきたシリーズ(その後、空油冷ビッグボクサーとしてR 18エンジンが登場)。
それから10年後の今年2023年秋、進化版のR 12 nineT(アール・トゥエルブ・ナインティ)が投入されるとこのほど発表された。
従来の車名にキリのよい排気量の数字=12が加わった新車名で、エアボックスと排気系が新設計になったとの情報があるものの、排気量が現行型(1169cc)を踏襲しているか、若干増えたかは現時点では非公表。
ほかの詳細も不明だが、公開画像とわずかな情報からは、ワンピースチューブラーフレーム+ボルトオン固定のリヤフレームという構成のフレームに変更点があるほか、新作のフェンダーやLEDヘッドライト、シート一体型のLEDリヤライトユニット(ショートテール化が簡単に可能)を採用し、シート下方のサイドカバー追加なども確認できる。
ある程度高回転まで回る同シリーズの空油冷ユニットは、年々厳しくなるユーロ規制でいずれ生産中止になるだろうと言われて久しいが、それが新型にも搭載されるのは嬉しいかぎり。
回転に独特の芯が感じられて気持ちの良い直進性が味わえ、鼓動感やパワーフィールともに独自の魅力のあるこの空油冷ユニットが、今しばらく継続展開されるのは歓迎すべきことだ。
なお、R 18ロクテイン、R 12 nineTともに現時点では日本導入時期、希望小売価格、注文受付時期および、納車開始日は未定。完全発表は2023年秋ごろの予定だ。
レポート●阪本一史 写真●BMW Motorrad