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【試乗レポート】ヤマハ XフォースLow 「わずかな差が絶大な安心感を生むアクセサリーパッケージ!」

ヤマハ Xフォース ロー

ヤマハ Xフォース(スタンダード)は2022年6月に日本デビュー

ヤマハのX FORCE ABS(Xフォース ABS)は、台湾生まれの155ccスクーター。日本では、2022年6月に発売が開始された。開発コンセプトは「Master of Street Scooter」で、快適性や利便性と走りの楽しさが追求されている。

エンジンは、優れた走行性能と環境性能を両立するヤマハのBLUE CORE思想に基づいて設計された155cc水冷OHC4バルブ単気筒(最高出力15ps/最大トルク1.4kgm)で、オン・オフ式のトラクションコントロールも搭載。可変バルブ機構のVVAも採用され、低速域と中高速域で吸気側カムが切り替わることで、全域で優れたトルク特性を発揮する。

車体は、前後13インチ径ホイールや前後ともにABSを備えたディスク式ブレーキを採用しながら、やや幅広でフラットなカバーレスハンドルやフラットなロングシートなどで、「ストリートモタード」を表現。センタートンネルがないフラットなフロアボードにより、乗降性を高めている。

交通の流れをリードできるストレスない加速性能

日本の高速道路にも乗れる155ccの排気量が与えられているが、車格や車重は12インチ径以上の前後ホイールを履く125ccクラスと同等(車重は130kg)。それでいてパワー&トルクは125ccと比べて余裕があり、全開加速では80km/hあたりまで力強い加速が続く。

VVAは約6000回転で切り替わるが、フル加速時は高速側設定となり最大トルクを発揮する6500回転あたりをキープ。直接比較はできなかったが、基本部が共通のエンジンを搭載するNMAX155よりも加速力に優れる印象だ。Xフォースのほうがわずかに変速比はショートで、これが効いているのだろう。

クラッチミートのタイミングも秀逸で、停車状態からスロットルを開けると、タイムラグがほとんどなく思い通りに車体が動き始める。一般道の法定最高速度となる60km/hまでは、谷間のないスムーズな加速が継続。十分な力強さがあり、スタートダッシュで交通の流れをリードできる。

高速道路では100km/hあたりまでが実用域で、そこから上の領域では緩やかな伸び。それでも、粘っていれば120km/h付近までは到達する。新東名高速道路などの120km/h区間を制限速度付近でずっと走り続ける余裕はあまりないが、100km/h以下の制限速度区間であれば、100km程度の移動でもそれほどストレスは感じないだろう。

155cc水冷単気筒エンジンには、優れた走行性能と環境性能を高次元で両立するBLUE CORE設計思想を用いる。
マフラーエンド部も、カバーによりスポーティな雰囲気に。十分な静粛性があり、深夜や早朝の住宅地でも安心。

モタードイメージの車体は重心位置が高め

スタンダードのXフォースは、このクラスとしては高めな815mmのシート高で、合わせてやや幅広で絞りの少ないハンドルバーも高めにセット。そのため、ライダーを含めた重心位置も高く、これがスパッと軽快なリーンを生む。フレームはシンプルなアンダーボーン型で、剛性感という点ではNMAXのようなバックボーンタイプに一歩譲るが、フロアボード部にトンネルがなく乗り降りしやすいという長所につながっている。
コーナリングは、やや荒れた路面だとフロントサスペンションのバタつきが少し気になるが、よく動く足はストリートモタードの演出と考えることもできる。

ブレーキは前後ともディスク式で、それぞれに独立してABSを搭載。その介入はやや遅めで過保護すぎないが、少なくとも車体が直立に近いときは満足できる制御レベルにある。そもそも、ブレーキは前後ともにコントローラブルで、アンチロック機構がなくても安心して操作できる。

このようにエンジン、車体ともに総合的な満足度は高めで、不満が少ない軽二輪スクーターに仕上がっているXフォースだが、唯一の欠点を挙げるなら、小柄なライダーにはちょっと高すぎるシート高だった。そこでヤマハは2023年4月、ユーザーの声に応えるアクセサリーパッケージモデルとして「X FORCE Low」(Xフォース ロー)の発売を開始した。

やや幅広でフラットなカバーレスハンドルをセット。樽型のハンドルグリップを採用している。
フロントブレーキディスクは267mm径のウェーブタイプで、片押し2ポットキャリパーを組み合わせる。
リヤブレーキディスクは真円形状で、キャリパーは1ポット。前後ブレーキともにABSを備える。
リヤサスペンションはベーシックなツインタイプ。シート裏に収められた工具を使ってプリロードを4段階に調整できる。

わずかな差に思えるがローシートの効果は絶大

追加設定されたアクセサリーパッケージモデルのXフォース ローは、スタンダードのXフォース ABSと、ヤマハ純正アクセサリーを手掛けるワイズギアのローダウンシートをセットで販売する仕様。スタンダードは39万6000円、ローは40万7000円なので、車体と2万1450円のローダウンシートを別々に購入するよりも、1万450円お得な設定となっている。

スタンダードシートに身長167cm/体重65kgの筆者がまたがった場合、ライディングポジションの着座位置を維持したまま両足を着こうとすると、シューズの先端が辛うじて地面に触れる程度(リヤサスペンションのプリロードは4段階のうちソフトから2番目にセット)。もちろん、着座位置を前にずらせばもっと足着きはよくなるし、そもそも片足のみのほうがもっと確実に車体を支えられるのだが、筆者の身長だとやはり「シートが高い」という印象がある。

これに対してローダウンシートは、乗車状態で最大30mmのシートダウン効果があり、走行に適した着座位置のままでも両足の指先あたりまでが地面に接地。腰を少し前にずらせばさらに足着き性が向上し、車体が軽めということもあり不安はない。わずかな差に思えるが、筆者の身長だとローダウンシートの恩恵は絶大だ。

Xフォース(スタンダード)のシート。
Xフォース ローのシート。
Xフォース(スタンダード)のシート。
Xフォース ローのシート。

■左側の純正シートに対して、右側のローダウンシートは表皮パターンも専用化されている(ベース部は共通)。

ライディングポジションは、ローダウンシートのほうが当然ながら膝の曲がる角度が大きくなるが、筆者の場合はとくに窮屈な感じはなかった。ローダウンシートのほうがコーナリングはやや安定志向で、スタンダードシートのほうがヒラヒラ感は上だが、これは何度もシートを付け替えて試せば体感できる程度の差。ローダウンシートでも、軽快に旋回できることに変わりはない。

身長170cm以上ならスタンダードシートでも足着き性への不安はなさそうだが、やや小柄なライダーにとっては、今回のローシート・アクセサリーパッケージは待望の存在。
シートベースは共通なので約23.2L容量のトランクスペースは犠牲にならず、それでいて停車時の安心感はだいぶ高まる。ストリートコミューターにもスポーツ性を与えるヤマハらしい設計が詰まったXフォースを、これまで敬遠していた小柄なライダーもぜひ注目してほしい!

左がスタンダードのXフォース、右がローダウンシートのXフォース ロー。
Xフォース(スタンダード)で両足を着いたとき。
Xフォース ローで両足を着いたとき。

ヤマハ Xフォース スタンダード 足着き ライディングポジション
Xフォース(スタンダード)のライディングポジション。

■スタンダードはライディングポジションのままだと、かろうじてつま先のみ接地する。

ヤマハ Xフォース ロー 足着き ライディングポジション
Xフォース ローのライディングポジション。

■ローダウンシートなら母趾球あたりまで着く(ライダーは身長167cm、体重65kg)。

中央部にトンネルがないフラットフロア設計で乗り降りしやすい。タンデムステップはワンプッシュ可倒式。

レポート●田宮 徹 写真●山内潤也 編集●上野茂岐

ヤマハ XフォースABS主要諸元

[エンジン・性能]
種類:水冷4サイクル単気筒OHC4バルブ ボア・ストローク:58.0mm×58.7mm 総排気量:155cc 最高出力:11kW<15ps>/8000rpm 最大トルク:14Nm<1.4kgm>/6500rpm 変速機:無段変速式
[寸法・重量]
全長:1895 全幅:760 全高:1120 ホイールベース:1340 スタンダードのシート高:815(各mm) タイヤサイズ:F120/70-13 R130/70-13 車両重量:130kg 燃料タンク容量:6.1L
[車体色]
マットブルー、マットグリーン、ホワイト、ブラック
[価格]
スタンダード:39万6000円
Xフォースロー:40万7000円

*Xフォース ローを購入の場合、ローダウンシートは販売店で装着され、スタンダードのシートはユーザーに渡される。

Xフォース ロー(マットブルー)。
Xフォース ロー(マットブルー)。ホイールのカラーは車体色によって異なる。
Xフォース ロー(マットブルー)。

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https://ysp-shop.com/

https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/ysp/

ヤマハ Xフォースの機能&装備、全カラーバリエーションを紹介

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