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風洞実験装置は大型、高価、高維持費で高嶺の花……
「風洞の民主化」を企業理念に掲げ、コンパクト風洞試験システム「Aero Optim」の開発・製造を手掛ける株式会社日本風洞製作所は、「技術開発型商社」株式会社ニシヤマとの協同により、静岡県沼津市に「風洞試験センター」を設立することで合意に達したと発表しました。
従来型の風洞実験装置は大型、高価、高維持費のため、一部の大手メーカーや研究機関等しか利用することができず、多くのドライバーやライダーにとって遠い存在でした。
しかし、このたび日本風洞製作所が設立を予定する「風洞試験センター」には、自社で風洞実験設備を持つことが難しい一般企業や、コンパクト風洞試験システム「Aero Optim」の購入を検討している法人のほか、個人のユーザにも有償で利用枠が開放される「自転車用測定システム」と「自動車用測定システム」が配備される予定です。
「風洞試験センター」設立で風洞実験が身近に

「風洞試験センター」の設立によって期待できる効果について、日本風洞製作所は以下のようにコメントしています。
「風洞試験センターは、自動車や自転車業界のメーカーの皆様にとっては、製品の試験機会の拡大による製品開発のさらなる加速に寄与することが期待されます。自動車業界では、従来の空力分野だけでなく、熱・冷却、カーデザインなど、さまざまな部門でご活用いただける製品です。特に近年は、ガソリンから電気へのシフトにより多くの部門で風洞試験のニーズが高まっており、SDGs達成にも一役買うことができます。スポーツカー愛好家の皆様にも、愛車のエアロパフォーマンスを客観的に評価する機会を提供し、さらなる走りの追究に貢献します」
「自転車業界においては、近年ロードバイクで関心が高まっているエアロロードバイクの開発や、各種パーツ、ウェアなどの空力試験を行うことができます。自転車競技選手の皆様や愛好家の皆様には、従来一部のトッププロに限られていた、自転車のセッティングや最適な乗車フォームの追究の機会をご提供することが可能です。弊社の自転車用測定台には、走行抵抗を模擬する負荷装置が内蔵されているため、よりリアルな姿勢保持条件で試験をすることができます」
配備予定のコンパクト風洞試験システム「Aero Optim」とは

風洞試験装置は、整った気流を生み出し、空気抵抗や流れの観察をするために活躍する試験装置で、乗り物の開発やスポーツ、航空宇宙産業など、流体が関わる多くの分野で活用されています。
なかでも日本風洞製作所が開発した「Aero Optim」は、できるだけ小型・低価格化させ、多くのユーザーが気軽に風洞実験ができることを目指して開発されたもので、2022年度より量産モデルの販売が開始されました。
小型ながら、ある程度整った直進性の高い気流を生み出せることが特徴で、従来型風洞とも相関のある実験結果を得ることができるということです。
「風洞試験センター」施設概要
設立地:静岡県沼津市
設立時期:2023年初頭を予定
試験設備:
自動車用コンパクト風洞試験システムAero Optim×SLIM BALANCE
自転車用コンパクト風洞試験システム
他、従来型の小型風洞試験装置(校正用風洞、極低騒音風洞等)を随時配備予定

まとめ●モーサイ編集部・中牟田歩実 写真●日本風洞製作所