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地域色豊かな「動物警戒標識」
道路脇にシカやクマが描かれた標識が立っているのを見たことを見たことがあると思います。
これは一般に「動物警戒標識」と呼ばれていますが、正式名称は「動物が飛び出すおそれあり標識」といい、「動物が飛び出してくる可能性があるので注意して走行しなさい」という意味の道路標識です。
動物警戒標識は、国土交通省や都道府県、市町村、高速道路や有料道路であれば運営会社など、その標識を立てる道路の管理者によって設置されます。
この絵柄には国土交通省が定める「標準」があり、「標準」の柄はシカ、タヌキ、サル、ウサギなのですが、それ以外の動物についても、各道路管理者が地域の実情にあわせて比較的自由にデザインすることができることになっています。
例えば沖縄県にはヤンバル地域の固有種である「ヤンバルクイナ」や、天然記念物の「イリオモテヤマネコ」が描かれた標識があり、これらの標識をあしらったキーホルダーやマグネットも販売されていて、地元民や観光客から愛されています。
この記事では、北海道の高速道路上に立っている激レアな動物警戒標識を紹介します。

「赤いきつねと緑のたぬき」標識は道央自動車道、滝川ICの近くにある
問題の看板は、北海道の茅部郡から士別市まで南北に伸びる高速道路「道央自動車道」を上り方面(旭川方面)に向う途中、滝川市の滝川IC付近にあります。
黒く縁取られた黄色地の看板に描かれているのはどう見ても「赤いきつねと緑のたぬき」。
赤いきつねと緑のたぬき……と言えば、東洋水産株式会社が「マルちゃん」ブランドで製造販売する有名カップ麺「赤いきつね」と「緑のたぬき」を連想してしまいますが、標識とマルちゃんのカップ麺に関連性はあるのでしょうか。
道央自動車道を運営するNEXCO東日本北海道支社に聞きました。



「マルちゃん」との関係は当然なかった……
──「赤いきつねと緑のたぬき」の標識はいつ誰が考案、設置したものなのでしょうか。
弊社が把握している限り、30年近く前からあります。考案者は、当時の担当者だと思いますが、既に後任者に変わっていて正確には分かりません。
──「赤いきつねと緑のたぬき」と言えばマルちゃんのカップ麺を連想しますが、何か関係があるのでしょうか。
カップ麺との関係はないと思います。動物警戒標識の地の色が黄色ですから、黄色に映える色ということで赤と緑を選んだのではないでしょうか。信号の色も赤と(緑に近い)青ですし、利用される方の注意を引くことでより標識としての役割を果たせるように、あのようなデザインになったものと認識しております。
ただし、看板の存在は東洋水産さんに認知されていて、以前「マルちゃん」ブランドの公式ウェブサイトで好意的にご紹介いただいたこともあります。
──「赤いきつねと緑のたぬき」の標識は人気もありそうが、増やしたり、リニューアルしたりする予定はあります?
「赤いきつねと緑のたぬき」の標識はやはり印象に残るようで、道央自動車道を通ったお客様から標識についてのお問い合わせをいただくことがあります。
弊社が把握する限り同じデザインの標識はよそにはなく、今後も増やす予定はありません。ただし、近隣には同じ図案で「黒いきつねと黒いたぬき」を描いたものを複数立てていて、こちらがいわゆる通常版となっています。
現在立っている「赤いきつねと緑のたぬき」の標識は、適宜必要な点検や補修、清掃を行い、なるべく長く活躍してもらえるように努めていきたいと思います。
また、「赤いきつねと緑のたぬき」の標識を見物に行ってみようと思った方は、脇見や減速など、危険運転や交通の妨げになることを避け、見逃した場合でも絶対に停車や逆走はしないよう、十分に注意してほしいとのことでした。

人気すぎて6分の1サイズのミニチュアも販売中!!
運営会社に問い合わせが入るほど人気の「赤いきつねと緑のたぬき」の標識は、なんとミニチュアも販売されています。
製造販売しているのは、本物の道路標識や駅構内の案内看板を作り続けて50年になる老舗「大蔵製作所」です。
大蔵製作所のミニチュア標識は本物の標識に使われているのと同じ「反射シート」という素材を使い高輝度反射を実現したこだわりの逸品です。「赤いきつねと緑のたぬき」の標識については実物の6分の1サイズで、マグネットタイプと、卓上などに本物の標識さながらに立てておけるスタンドタイプを販売しています。価格はマグネットタイプが1223円、スタンドタイプが3870円となっています。


レポート●中牟田歩実 取材協力●NEXCO東日本北海道支社広報局 写真●大倉製作所/NEXCO東日本北海道支社広報局/日本野鳥の会 札幌支部