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近年の信号機はほとんどが「横型」の「LED採用」だが北海道は違う
日本の多くの地域にある信号機は、左から青・黄・赤の3色のランプが横一列に並んでいるものが一般的です。また、近年では省エネ効果の高いLEDを使用した信号機も増えてきています。
そんな中、3色のランプが上から赤・黄・青と縦に並ぶ「縦型」で未だに「白熱電球」を採用した信号機を多く使用している地域が北海道です。
今回は、なぜ北海道がそのような本州と全く異なる信号機を使用しているのか、北海道在住の筆者がその理由を紹介します。
北海道の信号機が「縦型」「白熱電球」なのは豪雪に耐えるため
北海道の信号機が白熱電球の縦型である最大の理由は、ズバリ「雪」です。
降雪量の多い北海道では、積雪面積の大きい横型の信号機を設置すると、雪の重みに耐えきれず信号機が破損してしまう危険性があるのです。そのため、積雪面積の小さい縦型信号機が設置されるようになりました。
LEDを使用せず、白熱電球を使用しているのも、同じく「雪」が原因です。
風の吹く日は雪が横殴りになり、信号機の点灯部にも付着し、視認性に大きな問題が発生します。
LEDは省エネであるがゆえに発熱量も小さく、自らの熱で付着した雪を溶かすことができません。
一方、白熱電球であれば発光に伴いある程度の熱を発することができるため、点灯部に張り付いた雪を溶かして視認性を確保することができるのです。
このように降雪量の多い北海道では、雪への対策として「白熱電球」かつ「縦型」の信号機が多く設置されているのです。
最近は北海道にも「LED」の「横型」信号機が増えてきている
ここまで解説したのが、これまでの一般的な北海道の信号事情です。
しかし、最近北海道にもLEDを採用した横型の信号機が増えてきています。
LEDの横型信号機では、豪雪に対応できないはずなのに、一体なぜなのでしょう?
それは、降雪にも対応したLEDの横型信号機が開発されたからです。
まず、同じ発光量を持つ白熱電球よりも小型に作れるLEDを使用することにより、信号機の薄型化が実現され、信号機上部の積雪面積が横型でもかなり小さくなりました。
また、点灯面への雪の付着防止として、信号機上部を手前に引き出し、地面に向けて傾斜をつけて設置するという改良も行われ、降雪量の多い北海道でもLEDの横型信号機が使用できるようになったのです。
しかしながら長年「縦型」の信号を見慣れた道民にとっては「横型」の信号機はかえって見にくい……という意見も多く、結果として「LED」かつ「縦型」という新しい組合わせの信号機も生まれています。
このように北海道では、「雪」への対策として白熱電球の縦型信号機が主に採用されています。
一方で、技術の進歩により雪に対応したLEDの横型信号機も開発され、その数を増やしていっています。「縦型」「白熱電球」の信号機は今後どんどん貴重なものになっていくかもしれません。 北海道を訪れた際は、ぜひ信号機にも目をやってみてください。
レポート●又村貴幸 写真●又村貴幸/モーサイ編集部 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実