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あなたの街では、パトロール巡回している警察官が乗っている原付のことを何と呼びますか?
一般的には原付、原チャリなどと呼ばれたりもしますが……地域によっては別称で呼んでいたりするのではないでしょうか。実は、警察官がパトロールのために乗っている原付には地域によってさまざまな呼び方があるようです。
納得できるものから「どういう意味?」と疑問に感じるものまで、地域別の名称をまとめてみました。
ごきたん、ばばたん、缶付きなど地域別のオモシロ名称
警察の乗り物といえば車はパトカー、バイクは白バイですよね。でも、忘れちゃいけないのが、警察官が乗っている「原付」です。
調べてみると、警察官が乗っている原付は地域によってさまざまな別称で呼ばれていることがわかりました。
・ごきたん(関西地方)
主に黒のホンダ・ベンリィ(CD90・CD125)を指して、街中を走るゴキブリのようだと揶揄したとされています。類似するものとして「ゴキバイ」や「ゴッキー」もあります。
・ばばたん(関西地方)
関西弁で「ばば」といえば「う◯こ」を指すことは有名なお話。なお、ばばたんは和歌山の方言でロータリーミッションのバイクのことを指し、関東の一部ではクワガタのメスを指します。
ほかにも大阪の北摂あたりでは「バッタン」や「バタバタ」なんて呼ぶそうです。
・缶付き(山梨県)
警察官のバイクといえば、後部の荷台にスチール製のボックスを載せていますよね。山梨方面ではそのボックスを見て「缶」が載っているから「缶付き」と呼ぶそうです。
ちなみに、スチール製のボックスには交通切符が入ったバッグのほか、受け持ち管内の個人宅を巡回する際の連絡簿などが収納されています。
・トツバイ(愛知県ほか)
「とっつあんのバイク」や「突撃してくるバイク」といった意味合いでトツバイと呼ぶ地方もあるようです。
・じったん・ジッタン(福岡県・奈良県ほか)
「ジジイの単車」という意味でじったんと呼んでいる地方もいくつかある様子。
街中の警察官というよりは、田舎の駐在さんをイメージしてしまいますよね。
・ビジバイ
配達・出前などのビジネス用途で使われるから「ビジバイ」というそのままのもの。警察とは関係なさそうですけど……。
・ポリバイ、ポリ単、ポリカブ
ポリスマンのバイク、単車、カブというカンタンな意味ですが、これはこれでしっくりきますよね。最近ではスクータータイプのものも多いので「ポリスク」なんて呼ぶ地域もあるようです。
ほかにも「カッポ」(札幌)「マッポパタパタ」(地域不明)「ぱっつん」(大阪府堺市)などバリエーション豊か。地域性のほか、年代によっても違いがあるみたいです。
「あ! ばばたんが来た!」なんて言っていると、ジェネレーションギャップを感じることになるかもしれませんね。
警察では「原付」をなんて呼んでいる?
全国の別称をみていると、警察を「ポリ」や「マッポ」と呼んでいたり、ゴキブリやクワガタといった虫のように特徴を皮肉っていたりしていますが、警察では「あの原付」のことをどんな名前で呼んでいるのでしょうか?
筆者が警察学校を卒業して最初に配属された交番には、90ccの古いベンリィと白いスクーターがありました。
ペアだった指導部長が退職前の方でスクータータイプのほうが面倒が少なくていい、と希望していたため、私はいつもベンリィでした。
当時はベンリィの車体が黒いため「黒バイ」と呼んでいました。同じ管内にあるスクータータイプはすべて白だったので「ベンリィが黒バイなら、スクーターは『白バイ』になるの?」なんて疑問に感じていましたが、なぜか先輩たちはスクータータイプもすべて「黒バイ」と呼んでいたんです。
なお、警察官が乗っている原付の正式名称は「警ら用原動機付自転車」あるいは「警ら用小型自動二輪車」です。
報告書などを作成する際によく登場しますが、長ったらしいのでそんな名前で呼ぶ警察官なんていませんが……。
レポート●鷹橋 公宣 編集●モーサイ編集部・小泉元暉
元警察官・刑事のwebライター。
現職時代は知能犯刑事として勤務。退職後は法律事務所のコンテンツ執筆のほか、noteでは元刑事の経験を活かした役立つ情報などを発信している。