「かっこいいバイクじゃん!」「あんなクルマに乗ってみたいなぁ」
と、憧れのバイクやクルマを目の前にしてテンションが上がってしまい、本人の許可なくスマホなどを使って写真を撮った人もいるのではないだろうか。
その多くの場合、口論や喧嘩にまで発展するケースは少ないだろうが、クルマやバイクの外観だけならまだしも、ナンバープレートが写っている場合、それを元に大まかな住所が特定されるのではと不安に思い、勝手に撮影されることに対して嫌悪感を抱く人がいるかもしれない。
そこで当記事では、ナンバープレートをSNSなどに載せたら罪に問われるのか、刑事事件や交通事故に詳しい坂口 靖弁護士に話を聞いた。
ナンバープレートの写真をSNSにアップしても法律上は問題ないが……
──他人のナンバープレートをSNSなどに載せたら、罪に問われるのでしょうか? また、ナンバープレートを無断で公開すると個人情報が流出する恐れはありますか。
ナンバープレートをSNSなどネット上にアップしたとしても、プライバシーの侵害等にはなり得ますが、それ自体が特段犯罪にはならないように思われます。
また、無断でナンバープレートをネット上に公開しても、現在ではナンバープレートだけで、車検証の内容を調べることはできません。車検証に記載されている所有者や使用者の住所、氏名などが情報漏洩する可能性は低いものと考えられます。
つまり、ナンバープレートが写っていても、責任を問われる可能性は低いものと思われます。ナンバープレートのみでは、原則として所有者情報等を明らかにすることはできませんので、SNS等にアップされた写真を見た人が、直ちに車両を特定することも原則的に困難であると考えられるからです。
ですが、盗難をあおったりするような行為をしていたのであれば、損害賠償の責任を負う可能性があります。
もっとも、裁判を提起する場合、私有地から車両の撤去を求めるような場合においては、例外的にナンバー表示から車検証の内容を確認することが可能です。しかし、このようなケースを装った場合には、個人情報が洩れてしまう可能性は否定できません。
──車検証がない125ccや250ccバイクなどの場合でも、SNSなどでナンバープレートを公開されたら住居や場所が特定される可能性はありますか?
125cc〜250ccバイクなど車検証がない車両の場合であっても、車検があるバイクなどと同じ運輸支局が管轄となりますので、住居や場所が特定される可能性はないかと思われます。
他方で、125cc以下のバイク=原付の場合、ナンバー等の管理は市町村になりますが、個人情報等が記載されている標識交付証明書の閲覧等という制度がありません。
また、この標識交付証明書を再発行する場合においても、所有者氏名や本人確認書類が必要となるため、ナンバーの番号のみでは再発行もできず、個人情報が漏洩することはありません。
──もし、ナンバープレートだけでなく、意図せずに持ち主の住居や風景などによって大まかな場所が特定された……。そんな場合、SNSなどに写真を投稿した本人は責任を問われますか?
主に、他人の家を公開する目的で写真を撮影しているような場合には、プライバシー侵害等による損害賠償責任を負う可能性が生じ得ますが、たまたま他人の家が写りこんでしまったという場合であれば、特段法的責任を負う可能性は低いものと考えられます。
しかし、何気なく撮った写真でも意図せずに他人の個人情報を漏洩させてしまうという可能性があり、法的責任までは負わないとしても第三者に迷惑をかけるというのは気分の良いものではないものと考えられます。
このようなことを考えると、家の表札や住所等の情報がある写真をネット上に上げることは控えた方がよろしいように思われます。
監修●坂口 靖 まとめ●モーサイ編集部・小泉元暉
弁護士としてさまざまな刑事事件に携わり、YouTube「弁護士坂口靖ちゃんねる」でも活動中。
事務所名:プロスペクト法律事務所