東日本大震災をきっかけに結成された千葉県四街道市のバイク隊
「もし、大地震が来て災害に見舞われる事態になったら……」
2011年3月、東日本大震災の強く長い揺れが続いた影響で大津波、液状化現象が起こり、千葉県では29市10町が被災する事態となった。20人の命が失われ、ピーク時は約4万7千人の人々が避難所での不自由な生活を余儀なくされた。
このような状況を踏まえ、千葉県四街道市では、道が整備されていない災害時でも現地に向かって情報収集ができる「防災バイク隊」を結成することとなった。このバイク部隊は隊長、副隊長を含む計10名の職員で構成されている。
ちなみに、自衛隊の情報収集任務にあたる「第1偵察隊」というバイク隊は、悪路や山道など道が舗装されていないケースが想定されるため、オフロードバイク・カワサキ KLX250を使用している。しかし、四街道市の「防災バイク隊」の場合、オフロードバイクではなく、なんと原付で災害現場に向かうのだという。
当記事では、そんな「防災バイク隊」の活動内容、実際に使用している車種など、千葉県四街道市役所に話を聞いてみた。
2012年から「防災バイク隊」を設立

2011年3月の東日本大震災が発生したとき、千葉県四街道市では深刻な交通渋滞に見舞われ、クルマでの情報収集が困難となった。そのとき、バイク通勤だった職員が協力して調査に当たり、市内の状況を迅速かつ的確に把握できたのだそうだ。
この経験をもとに、2012年2月からバイク通勤の職員が協力して市内の状況を迅速に対応できる「防災バイク隊」を設立したのだ。
この「防災バイク隊」は震度5以上の地震が発生した場合、千葉県四街道市の危機管理監が通達する指令によって出動されるバイク部隊。幸いなことに現在に至るまで出動実績はないが、隊員たちは万が一に備えて、四街道市が主催する講習会等に出席し、ライディングスキルなどを磨いている。
常日頃からバイクに乗っている職員の中から任命されていること以外は、資格や条件など特に設けてはいないそうだ。
また、活動区域については基本的に四街道市内となっているが、四街道市の危機管理監からの指令内容によってはほかの地域へ向かうこともある。
ホンダ スーパーカブ50プロをメインに災害現場に向かうバイク部隊

四街道市で活動する「防災バイク隊」の特徴といえば、やはり原付で活動していることだろう。そんなバイクはホンダ スーパーカブ50プロを4台と、台数が足りなかった場合はほか部署が所有しているスクーターを活用するという。なお、スーパーカブ50プロには、リアボックスやウインドスクリーンを装備し、防風性と機能性を兼ね備えた一台となっている。
そんな「防災バイク隊」が出動する際には、必ず無線機を持っていき、現地で得られた情報を四街道市の危機管理監に報告する。電波が繋がる状況であれば、スマホなどを活用して情報収集に役立てるそうだ。
もしかしたら今後、東日本大震災のような災害が起こり得るかもしれない。そんな時に四街道市では「防災バイク隊」が出動し、災害現場に向かって情報収集をして、救助活動をするというのは千葉県四街道市内の人にとっては頼もしい存在なのではないだろうか。
レポート●モーサイ編集部・小泉元暉 写真提供●千葉県四街道市役所