雑ネタ

バイク大国タイで人気のメーカーは……? 3位はベスパ、2位はヤマハ、1位は約75%のシェア率を誇るホンダ!

モーターエキスポ2021では約1500億円のお金が動いた

タイの首都・バンコクには世界中から様々な企業が集まっている。そのため、企業同士が商談をしたり、見本市などを行う場所を提供するために、バンコクやその近郊に巨大な展示会場が建てられているほどだ。

2021年は新型コロナウイルスの影響で入国を規制し、商業活動にも制限があることから、残念ながら数多くの展示会が開催を断念することになった。
そんな中、2021年12月1日~12日の「モーターエキスポ2021」は例年通り開催された。第38回目を迎えるモーターショーには、115万人超が訪れる大規模なイベントとなったのだ。

タイではモーターショーがほぼ3ヵ月に1回の割合で開催されるほど人気なのだが、日本のモーターショーと大きく違うのは、新技術の紹介や未来のコンセプト発表などは二の次であり、主に展示販売会を中心にしている点だ。各自動車メーカーも自社製品を売り込みたいこともあってか、ブース横に商談スペースを設けている。

なお、展示会の規模を示す基準にもなるため、展示会の主催者はイベントが終わると訪問者数や受注台数などを発表する。主催者によれば「モーターエキスポ2021」では、開催期間中に430億パーツ(約1500億円)が動いたとのこと。
受注台数ではクルマが3万1583台、バイクが3253台。つまり2021年12月1日から12日の開催期間中にクルマは1日に2600台、バイクは1日に270台以上の受注があったという計算になる。

「モーターエキスポ2021」における人気のバイクメーカーはヤマハ(受注台数1118台)、ホンダ(同439台)、ロイヤルエンフィールド(同366台)、カワサキ(同311台)、ハーレーダビッドソン(同274台)の順だった。
しかし、モーターショーは最先端機能が搭載された車両や大型バイクが注目の的になるので、人気車種も実際の売れ行きとは異なる部分がある。

モーターエキスポ主催者が公表している2021年度のメーカー別、日毎の受注数データ。

ちなみに、モーターショーでクルマを予約する人が多いのは、会期中だけ特別割引がされるなど、購入者側に有利な条件が提示されるからだ。モーターショーで受注数が多いということは、即ち人気であることを意味するのでメーカー側も力を入れているのだ。

次は、各団体などで発表されている統計からタイにおけるバイクの売れ行きと人気のバイクメーカーを探ってみてみよう。

タイの人気メーカーはホンダ、ヤマハが2トップ!

タイはバイク人口が多く、とくにバンコクではバイク渋滞が日常的に発生している。バイクはすばやく移動できるし、クルマと比べ価格も安いので需要が高い。

タイで製造されているバイク販売・製造台数は「タイ工業連盟」(FTI)が発表している。
2021年11月、タイ国内のバイク製造台数は18万8493台。2021年の1~11月における合計製造台数161万2831台だった。2020年は年間で161万5319台の製造台数だったことを比較すると、2021年のバイク製造台数は昨年を上回っている。

タイ工業連盟が発表した統計を見ると、2021年1~11月タイ国内の販売台数の合計は146万1138台だ。2020年度のタイ国内の販売数は151万6096台なので、12月の販売台数が11月水準であれば、総販売台数は昨年を超えることになる。

いずれも2021年のバイク市場は好調で、おそらく2021年11月初めにタイ政府が新型コロナウィルスによる経済状況悪化の打開策として、外国人の入国規制を解除したり、営業制限があった飲食店など規制を緩和したことで状況が変わったのだと見られる。

またタイ・バンコクなど大都市では、日本のようにコロナ禍の影響でフードデリバリーサービスも需要が増した。職を失った人や給料が減った会社員も配達アルバイトをするようになり、バイクの需要がより増している背景もある。

メーカー別の人気を見る場合は、タイ運輸省陸運局が発表する新車登録台数の統計で確認するのがベストだ。

タイ運輸省陸運局によれば、2021年11月の登録台数は14万5102台。FTIの統計で出された製造台数とほぼ一致する。前年同月比では20.8%増となり、だいぶコロナ禍の悪影響を脱してきているようにも感じられる。

さて、この2021年11月の新車登録台数から分かる人気メーカーはどうなっているか。統計で確認したメーカー別の新車登録台数ベスト5を紹介する。

1位:ホンダ(10万9479台)
2位:ヤマハ(2万6370台)
3位:ベスパ(3204台)
4位:GPX(1761台)
5位:スズキ(836台)

日本メーカーが2強となっていて、冒頭のモーターショーの人気とも一致する。ただ「モーターエキスポ2021」では、ホンダは2番目に受注数があったわけだが、展示会主催者のサイトによると、ホンダは「大型車」だけの統計数らしい。

とはいっても、タイにおいて実質的な人気はホンダで、陸上輸送局によればタイ国内のシェア率は実に75.45%にも及ぶ。排気量別では、400cc以上でホンダ、ハーレーダビッドソン、カワサキの順にランクインしている。タイで主流となる150ccや125ccクラスの中で、登録車数が一番多いのはホンダだった。ベトナムでもホンダのシェア率が高いのだが、タイでもホンダが根強い人気を誇っているのだ。

タイで販売されているホンダ スーパーカブ110。日本のスーパーカブ110と比べ、シートの形が違ったり、派手なカラーがあるなど日本のものとは異なる独自仕様となっている。

ランキング4位はタイのバイクメーカー「GPX」が入る

タイの地場メーカー「GPX」のラインアップ一覧。大排気量のバイクではなく、110cc、250ccクラスなど小排気量のバイクを主流としている。

タイ陸運局が発表した登録台数ベスト4に入っている「GPX」というメーカーはあまり聞き慣れないかもしれない。なぜなら、GPXは2007年に創業したタイのメーカーだからだ。

GPXとは、2007年に創業したタイのバイクメーカーで、日本では2019年に上陸した新興メーカーだ。元々は、ATV(四輪バギー)の輸入ディーラーであったが、2007年に当時21歳の創業者・チャイヨット氏がATVの製造を開始。その後、モトクロス用バイクを始めとした二輪車製造・販売に着手したのだ。
タイで人気が出た理由もリーズナブルな価格帯と、タイ人に受けがいい125cc〜150ccクラスを販売しているからだろう。

GPX レジェンド150FI。エンジンは150ccの空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒。日本でも販売されている車種で販売価格36万800円。
GPX ジェントルマン レーサー200。エンジンは200ccの空冷4ストロークOHC2バルブ単気筒。日本でも販売されている車種で販売価格は42万9000円。
GPX デーモン GR200R。エンジンは200ccの水冷4ストロークOHC2バルブ単気筒。日本でも販売されている車種で販売価格は48万1800円。

また、新車登録数ベスト5には食い込めなかったが、中国・宗申産業集団(Zongshen)「ジョンセン・リュウカ」(タイ語読みをカタカナ表記)というメーカーが6位に入っている。7位のカワサキに100台も差をつけ、787台の新車登録数を叩き出している。ジョンセン・リュウカは中国企業だが、バイク製造はタイで行っているそうだ。

ただ、そのラインアップを見てみると、ホンダ スーパーカブなど日本で見かけたようなデザインのバイクが販売されている。安価な値段かつ定番なデザインで注目を集めていると思われる。

今後、タイや中国のバイクメーカーが日本にも現れる?

ジョンセン・リュウカのWebサイトで公開されているバイクのラインアップ。よく見てみると日本のバイクメーカーが販売している車両に似てなくもない……?

今後、タイや中国のメーカーに対して、日本のバイクメーカーはより注意を払う必要があるかもしれない。
たとえば、タイ政府では2021年から急激に温暖化ガス削減などの環境問題に対しての取り組みを強化し、その関連で電動バイクの製造を推進し始めている。
タイでは、これから電動バイクは税制面で優遇されることは間違いなく、そうなると自然に電動バイクの売上数も増えることになる。

6位に入っていたジョンセン・リュウカでも電動バイクを販売しているわけだが、中国やタイの技術で安価な電動バイクが製造できる基盤があると、日本メーカーはタイの電動バイク市場で介入できず、苦戦を強いられる可能性がある。

この状況では、日本メーカーの強みは信頼性と安全性となるわけだが、その分車両価格も高くなるはずだ。
タイ人は性能はさておき価格を重視する傾向にあるので、もしかしたらアジア圏の新興メーカーなどが脅威になってくる時代が訪れるかもしれない。

レポート&写真●高田胤臣 編集●モーサイ編集部・小泉元暉

プロフィール

■高田 胤臣(たかだ たねおみ)

1998年からタイで過ごしはじめ、2002年にタイへ移住。タイにある「華僑系慈善団体」でボランティア、現地採用会社員として就業。2011年からライターの活動をし『亜細亜熱帯怪談』(晶文社)をはじめ、書籍や電子書籍を多数発行。
noteではタイにまつわる出来事を綴っている。

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