雑ネタ

名作『Dr.スランプ』屈指の変キャラ「オートバイこぞう」が乗るバイクはドゥカティの名車900MHR!?

クルマ好き、バイク好きからも注目されていた鳥山 明氏の『Dr.スランプ』

名作『ドラゴンボール』の作者、鳥山 明氏が『ドラゴンボール』の前に週刊少年ジャンプに連載していたのが『Dr.スランプ』です。
もはや説明は不要かもしれませんが、『Dr.スランプ』はペンギン村というファンタジー溢れる世界観の中でハチャメチャな展開が面白かったギャグマンガで、1981年からはアニメ化もされました。また、鳥山ワールドに登場するクルマやバイクが割りとマニアックなことからも一部のクルマ好き、バイク好きから注目される作品でもありました。

そんな『Dr.スランプ』の単行本18巻は主人公のアラレちゃんが自動車運転免許取得をするなどクルマやバイクにまつわる話が多いのですが、その中の5話、6話に登場する「オートバイこぞう」は格別にキャラが立っている登場人物として1983年の登場当時、話題になっていました。

オートバイこぞうが登場する鳥山 明氏作『Dr.スランプ』単行本18巻の表紙。バイクが描かれています。(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)

『Dr.スランプ』に登場するオートバイこぞうは「バイクから降りられない」キャラクター

「オートバイこぞう」はバイクにひたすら乗り続ける若者で、常にヘルメットとライディングスーツを着込んでいるためになかなか素顔は出てきません。「オートバイカラオリタラシンジャウ病」というバイクから降りると死んでしまう病気にかかっているため、バイクを止めることができないということになっています。バイクを降りた瞬間から苦しみだしますが、バイクもしくはそれを模したものに乗れば回復します。模したものというのは幼児向け遊具やバイクの格好をしたアラレちゃんでも大丈夫。

給油や食事は店にトランシーバーで注文します。
給油はタンクローリーに並走してもらい走行中に行い、食事は道路際から店の人に投げてもらうことになります。
走行中にシャワーが浴びることが出来るようになっている上に、排泄はバイクの後ろ、シングルシートカウルが開閉し、そこからから出すようになっています。そのためライディングスーツは股間が開いているという設定。

オートバイこぞう。「オートバイカラオリタラシンジャウ病」というオートバイから降りると死んでしまう病気にかかっているため、食事や排泄、バイクへのガソリン補給も走行中に行います。』(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)

この「オートバイこぞう」の愛車は何なのか?長らく謎とされてきました。謎というのも、車種の特定がまじめに議論されたことが無かっただけのことなのですが。

マンガ連載時が1983年、アニメ放映が1984年の「オートバイこぞう」の愛車を、単行本発売から約40年の時を経て特定してみようと思います。

オートバイこぞうの愛車はドゥカティ900MHR(マイク・ヘイルウッド・レプリカ)!?

オートバイこぞうと1台目の愛車。(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)

18巻の5話「疾走!オートバイこぞう」では乗っているバイクがフルカウルに包まれ、なかなか特定がしにくいのですが、この一体成型っぽいカウル形状はドゥカティ 900MHR(マイク・ヘイルウッド・レプリカ)ではないかと予想されます。
この5話の話の中で、この愛車は大破してしまいますが、「オートバイこぞう」は駄菓子屋の前にある幼児用のバイク遊具にまたがることで一命をとりとめます。

「オートバイカラオリタラシンジャウ病」を患うオートバイこぞうですが、乗るものは「バイクの形をしたもの」でも良いようで、幼児用のバイク遊具など乗ることでも延命できています。(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)

続く6話ではカウル無しの愛車が登場します。
ここで注目すべきなのがまずエンジン周りです。エンジン周りには前傾しているシリンダーヘッドが確認できます。この配置は、ドゥカティの空冷L型2気筒エンジンのように見えます。

次にシングルシートカウルの形状に注目してみましょう。
5話までに登場する1台目の愛車のシートカウルは丸みを帯びていて、900MHRというよりは兄弟車である900SSに似ているように思えます。
一方で6話から登場する2台目の愛車のシートカウルの角ばった意匠は、900MHRのシートカウルと同じに見えます。

いずれにせよ、オートバイ小僧の愛車は2台とも、1970年代後半〜1980年代初頭のドゥカティ、中でも特に900MHRと900SSを巧みに組み合わせてデザインしていたのだろうと、筆者は推察しました。(オートバイこぞうは作中で2台目の愛車は50ccであるとも証言しています。昔も今も空冷L型2気筒エンジンを搭載したバイクなんてものはないわけですが笑)。

ドゥカティ900MHR。マイク・ヘイルウッドが1978年のマン島TTレースを制覇したことを記念して生まれた。
ドゥカティ900SS。写真は1977年のモデル。
『Dr.スランプ』単行本18巻5話で1台目の愛車が大破してしまったため、再登場した6話では50ccのバイクを2台目の愛車として購入したようです。(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)
オートバイこぞうと2台目の愛車。前方に向いたシリンダーヘッドが確認できます。(C)鳥山 明『Dr.スランプ』(集英社)

鳥山明氏は『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』のとびら絵の中でフィアット 600ムルティプラやベスパ GSなどイタリア車を好んで登場させます。そしてドゥカティ 900HMRは1979年に限定モデルとして発売されており、イタリア製の速いバイクとして1983年に描かれたマンガに登場するにはちょうどいい年式でもあります。またオートバイこぞうは自身の1台目の愛車について「300km/hの……」というセリフを語る場面もあり、実際にドゥカティ900MHRが300km/hが出るかどうかは別として、出せそうな雰囲気があることは確かです。

懐かしの名作というイメージのある『Dr.スランプ』ですが、2021年現在は電子書籍化もされ、スマホやPCでも読むことができるようになっています。
筆者による車種の特定には異論があるかもしれませんが、これを機会に様々なマンガやアニメの特定されていない車種を特定するという議論が盛り上がることを期待して止みません。

レポート●松永和浩  写真●鳥山 明『Dr.スランプ』集英社/ 編集●モーサイ編集部・中牟田歩実

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