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なんで首都高に自転車!?
関東圏に暮らしている人なら、首都高速道路(通称:首都高)を日常的に利用する人も多いのではないでしょうか。
筆者も首都高のヘビーユーザーですが、そこで思わず「ん?」と目を疑うものに遭遇したことがあります。そこには「いてはいけないもの」がいたのです。
それは、なんと自転車。首都高は自動車専用道ですから、歩行者はもちろん、自転車などの軽車両、原動付自転車、さらには125cc以下の自動二輪車は通行できない道路です。
道交法 第四十八条の十一にも、「何人もみだりに自動車専用道路に立入り、又は自動車専用道路を自動車による以外の方法により通行してはならない」とあります。
首都高で自転車等を見かけたら「#9910」に通報しよう
そんな「首都高での異常事態」を発見した際、どう対処したらいいのでしょうか?
首都高を運営する首都高速道路会社の担当者によれば「まずご自身の安全が第一です。身の安全を確保したうえで、通報をしていただきたい。通報の方法は、例えば#9910ですとか、道路に設置された非常電話などです」とのことです。
「#9910」とは、国交省が扱う道路緊急ダイヤルのこと。全国共通で、24時間受付、携帯電話などから架電しても通話料は無料です。
基本的には道路の穴ぼこや路肩の崩壊など道路損傷、落下物や路面の汚れなど道路の異常を知らせるためのものなのですが、自転車や歩行者の侵入なども「道路の異常」。#9910を使って通報してもよいとのことです。
PHSなどからも通報可能となっています。
ちなみに、なぜ#9910なのかといえば、「きんきゅうトラブル」という数字の読みにかけているそうです。
もうひとつの「非常電話」とは、首都高の場合は500m間隔に設置されている電話のことです。こちらも通話料は無料で、簡単な操作で首都高の交通管制室につながります。ちなみにトンネル内では、500m間隔ではなく、100m間隔で設置されているとのことです。
原付は「ボアアップ」などで通行要件を満たしている可能性もあるが……
歩行者や自転車の場合は「不正な立ち入り」であることが誰の目にも明らかですが、バイクの場合には「本当に高速道路や自動車専用道路を通行できない区分の車両なのか」を見分ける難易度がやや上がります。
見分けが難しいのは、一見原付に見えても同じ車両シリーズで軽二輪クラスの排気量がラインアップされている場合や、オーナーが車両をボアアップ(エンジンに手を加えて排気量を上げること)をした上で登録を変更している場合です。
気になったときには、その車両のナンバープレートを見てみましょう。
バイクは登録されている排気量によってナンバープレートの種類が異なり、
一般的なバイクに取り付けられる種類は大きく分けて以下の5種です。
(1)50cc未満の原付一種に取り付けられる白くて小さいナンバー
(2)51cc〜90ccまでの原付一種に取り付けられる黄色いナンバー
(3)91cc〜125ccまでの原付二種に取り付けられる桃色のナンバー
(4)126cc〜250ccまでの軽二輪の普通自動二輪に取り付けられる白いナンバー
(5)251cc以上の普通自動二輪および大型自動二輪に取り付けられる白地に緑のフチのついたナンバー
この中で高速道路や自動車専用道路を走行できるのは(4)(5)と、「126cc以上のバイクに設定されている濃い緑色の事業用のナンバー」を持つ126cc以上のバイクになります。
また、超レアケースですがサイドカー(側車付きバイク)の場合には「原付のサイドカー」という区分がないため、排気量が51cc以上なら126ccに満たなくても軽二輪となり、制度上は高速道路および自動車専用道路を走行することができます(法定最低速度を満たす必要がありますが)。
年間400件以上も発生している首都高への「立入り」
歩行者や通行できない区分の車両による首都高への立入りは、年間400件以上も発生しているといいます。つまり、1日に1件以上!
立入りの事例としては以下のようなケースが報告されています。
(1)目的地へ向かう際、スマホなどを使用し看板なども認識せず、首都高の認識なく誤進入した
(2)高齢者の方などが、一般道路と間違えて誤進入
(3)お酒をかなり飲まれた方が、高速道路としての認識ができず誤進入した
(4)自宅へ帰る際、道を聞くために誤進入した
(5)過日に未払いであった料金を支払いに誤進入した(ETCカード未挿入などで通行料金が未払いとなった場合は、首都高お客様センターに問い合わせるなどで支払います。料金所では直接受け取ってくれません)
進入してしまった場合、例えば冒頭の自転車はどう扱われるのでしょうか?
基本的な対処として警視庁では、「通報があった時点で警察官が現場へ急行します。路肩に寄せたり、待避所などでパトカーに乗せて、任意で取り調べを行うなりの対処を行います」とのこと。危険な走行であることは間違いないので、安全に対処するとのことでした。
歩行者や通行できない区分の車両による首都高への立入りは事故につながりやすい、とても危険な行為であることは明白。まず自らが進入しないこと(お酒にもご注意を!)。
そして、万が一発見した場合は、上記の方法で通報しましょう。その際、第一優先は自らの安全であることをお忘れなく。
モーサイ編集部●中牟田歩実 写真●ヤマハ/ホンダ
追記2021年9月23日12時:自動車専用道路を走行できるのは「(3)(4)(5)」とあるのは「(4)(5)」の誤りでした。訂正の上、お詫びいたします。