自衛隊で活躍している車両といえば、戦車や装甲車、トラックなどをイメージするかと思いますが、バイクに乗る部隊があることをご存知でしょうか。
彼らが乗っているバイクはカワサキ KLX250をベースにしている「偵察用オートバイ」というもの。
情報収集任務にあたる「第1偵察隊」の隊員たちが乗っているのですが、偵察及び駐屯地への連絡、災害時の被害状況を確認するといった目的で使われています。
当記事では、一体「偵察用オートバイ」とはどういうものなのか、市販車のKLX250との違いなど、写真と共に紹介していきます。
自衛隊専用車として特装されたカワサキ KLX250
長い間、「偵察用オートバイ」はホンダのオフロードバイク(XL250R やXLR250Rなど)が使われていたのですが、新排ガス規制に対応する理由などで2001年以降はカワサキ「KLX250」が採用されています。
偵察用バイクということで「走って状況を確認するだけ」と思っていたのですが……戦闘になった場合は敵から攻撃を受ける可能性があるため、バイクから降りたあと車体をタテにするほか、車両に身を隠しながら逃走する通称・「忍者ダッシュ」など、バイクを駆使した訓練が行われています。
そのため市販車のKLX250とは違って、転倒してバイクが走れなくなることを防ぐ目的もあってか、ライトガードやエンジンガード、リヤガードなど専用装備が取り付けられています。
また、一般人でも見学できるイベントで「偵察用オートバイ」に乗る自衛隊員たちが訓練している様子が見られます。
そこでは隊員たちがアクセルターンを決めて、高台を飛び越えてジャンプをするといったデモンストレーションが行われていました。
ほかにも、自衛隊員たちが両足で車体を支えながら立って射撃訓練をするといった高度なテクニックを披露しています。
そんな「偵察用オートバイ」ですが、離島や自走では難しい遠方へ出動するときには、ゴムボートやヘリコプターの機内に積載して運んでいるようです。
現在はカワサキ KLX250がベースとなっていますが、かつて偵察用オートバイとして採用されていたホンダ XLR250を見てみると、こちらも同様にエンジンガードやライフガードなどが装備されています。
なお、駐屯地や演習場内ではサイドミラーを外していますが、一般道を走る場合は道路交通法に基づきサイドミラーを取り付けて走行しています。
レポート●モーサイ編集部・小泉 写真●陸自調査団