雑ネタ

エンジン復調!リヤフェンダーもノーマルに 90年代隠れ名車「カワサキ ZZR600」リフレッシュ計画【第7話】

知人のベテランメカニックの手でキャブレターの同調を取り直し、すこぶる調子が良くなったZZR600・2号機。でも、良い気分でスロットルを大きく開けると、なぜか調子がグズつくときがまだある。
「一体なんでだぁ?」と頭を抱えました。こうなったら燃料系のパイプやフィルターも全部新品にしてタンク内部をじっくり確認し、きちんと清掃してみようと思い立ちました。

タンクの中から想像以上の鉄クズが出現!

ガソリンが残った状態のまま、マグネットツールをタンク内に差し込んでみると、怪しげな物体が中から出てきました。錆びた金属の破片と錆の粉が磁石部に付着。
同車を購入したショップは錆取りをしたと言ってたけど、その後で早くも錆びたの?ともあれタンク内の清掃作業は確定です。コックに繋がるパイプ類や燃料フィルターも疑わしかったので、またしても懇意にしているカワサキプラザ松戸へ交換部品をまとめて注文しました。

通常の燃料パイプとは異なり、変わった形状の新品・純正パイプ類と白い燃料フィルターが届いたので、古いものとじっくり比較。見た目からして疑わしい茶色くなった古い燃料フィルターをナイフで切り開き、カットモデルみたいに分解してみました(もちろん乾燥後)。
樹脂のアウターの内側にフィルターが入っていますが、フィルター外周とアウターの透き間をガソリンが通るんですね。この透き間に錆びた鉄片が多量にハマったら、そりゃ加速後にストール、場合によりエンジンストップもするわな……。キャブを外していた時に茶色っぽくなっていたのに注視するべきでしたね。

怪しいと思いつつ、タンク内にマグネットツールを差し込んで、底をゴソゴソ。引き上げてみると、このような異形の物体が出てきました。絶望的な気分。
キャブをまたしても取り外し、燃料ポンプ手前にあるフィルター前後のホースの接続部も外してみたら……ご覧のとおり。フィルターのタンク側から出た錆をウエスにぶちまけた愉快な図(ひきつり笑い)。
どうせ新品に交換するからと古い燃料フィルターを切開して観察してみた。燃料が右から流入して左へ抜けて電磁ポンプへという断面構造がよくわかりました。

ここまで来ると予想された方も多いでしょうが、フィルター内には錆が堆積していて、スロットルを大きく開けると錆がフィルターの中身と外殻の透き間に詰まり、スロットルをオフにしたとたんにストールを誘発させていたみたいです。車速を落として吸い込みが弱まると、錆がバラけて一瞬の不調後でもそれなりに走れていたのかと。

さらに、燃料パイプの数ヵ所には内側から亀裂が生じており、ごく微量なガソリンの染み出しがあったのかも。ここもかつて近所の少年にガソリン臭いと指摘された一因だったのでしょう。

ともあれ、タンクの錆取りを念入りにしなくては根本的な解決はできなさそう。そこで、ガソリンを完全に抜いて数日乾燥させた後に、以前も使ってみて信頼性のある「花咲かG」タンククリーナーをお湯で希釈してタンクに投入。
セメント等をこねる用の大バットに、薬液を満タンにしたタンクを置き、液量を確認しながら2日間ほど錆の落ち具合をじっくり観察しました。そして、花咲かGを入れる前と錆取りをしてタンク内が乾燥した後も、再度マグネットツールで徹底的に金属片や残った錆のカスを除去しました。

先にタンク内の確認と清掃をしていたら、4連キャブの同調で不調は解消していたんでしょうね。遠回りしてしまいましたが、タンクの清掃完了後にパイプ、フィルター等をすべて接続して車体を再組み立てしました。

伝家の宝刀=花咲かGタンククリーナーの投入準備にかかります。作業手順をよく思い出して、原液を熱めのお湯で20倍程度に希釈してタンクに注入。その後、2日間放置します。
注入から22時間経過くらいで、タンク内の錆がだいぶ消えてきました。翌日もじっくりと漬け込んだら、デコボコは仕方ないとしてもさらにキレイに。
ガソリン臭のなくなったタンクと、付随する装置類、新品のホースやフィルターを自室に持ち込んで各部を確認。湿度が高かったのでエアコンを入れて作業しました。

これで復活ZZR600本来のレスポンス、ラムエアも効く〜!

そして、好調を期待しながら近所の高速道路で試走してみると、新車で手に入れた以前の1号車とほぼ同じ感触まで復調。適度に刺激的で、心地よい加速感です。「こうでなくっちゃ!」と、フルフェイスの中で思わずニンマリ。

ですが低速のスムーズさもちゃんとしていなければ試走結果はNG。丁度いいタイミングで大型トラックが目の前を安全速度で走っていたので、同じペースで10kmほど追従してみました。
制限速度の40km/h以下でも滑らかで、ストレスなく走りやすい。これでやっと、納得できる本来のレスポンスが戻りました。

レース用マシンでは、CRやTMRキャブレターのセッティングを筑波やもてぎでやっていたこともありましたが、極低速域の調整などはしなかったし、ラムエア機構とレーシングキャブの設定をマッチングさせるのは自分にはハードルが高い……ノーマルの負圧型CVKDキャブ(ケーヒン)をきちんと整備するのが、この2号車では正解でしょう。

通常ならば、おそらくタンクからキャブ=川の上流から下流、といった手順で状態を確認するのが正攻法かもしれませんが、錆取りを完了して納車されたと思い込んでいたため、下流から上流へ遡る逆の手順で不調を追う結果になってしまいました。でも、時間は十分あったし面白かったから、ヨシ!としましょう。

コックは既に換えておいた新品で、金属製の燃料パイプは内側も外側も磨きました。カクカク曲がった形状の純正燃料パイプに、古いパイプから取った保護用スプリングも移植。新品の燃料フィルター、白いですよね。
曲がってる燃料チューブの一番上流側がこの2本。コックの取付け座周辺に、ガソリンの古い汚れがこびりついていた付近のホース。こいつらも、ちょっと怪しい
確認したホースの内側には、外周まであと1mm以内ってところまで亀裂が。これを伝ってコックの取付け部分にじんわりと長期間ガソリンがにじんでいたのかも……(ガソリン臭の一因だったか)。もちろん新品に交換です。

こうして安定した本来のスロットルレスポンスが取り戻せたので、別に気になっていたところも1ヵ所改修。応急的なフェンダーレスになっていたナンバー灯周辺は、雨水や汚れの跳ね上げがやはり多く、テールランプケース内に水分がだいぶ入っていました。

フェンダーレス仕様は軽快な見た目がいいけれど、電装の保護を考えるとノーマルフェンダーに戻したいところでした。そこで、ノーマルの中古リヤフェンダーを入手。
仕向け地(国)によっては、もっと長いリヤフェンダーもあるかもしれませんが、このくらい(たぶん標準の長さ?)でまあ良しとしました。昔、長距離ツーリングで台風の日に点火系がリークしたり色んな目に遭いましたから、電気系のトラブルは予防的回避をしておきたかったんです。出先で電気がやられると本当に面倒くさいですから。

さて、リフレッシュ箇所、次のターゲットは……各部に無駄な抵抗があるとエンジンパワーに対しても、車体を押す際の取り回しでも重くなりますからね、遠からぬうちにリヤサス周辺のリンクもバラして、オーリンズが一層働いてくれるように整備する予定です。

中古で買ってきた当初は、ナンバープレートの裏にナンバーガードも付いてなかったんです。市販のガードを買って付けていたものの、雨の日を考えると、どうもなぁ……。
調達した中古フェンダーは退色して白っぽくなっていたためバーナーで軽くあぶり、つや出しの後にデイトナの「樹脂ブラック」で黒味を復活させて取付け完了
燃料系統の整備後は、高速〜極低速まで実に快適。シュイーンッッ!と、チェーンと大気の流れ去る音しか響かない(あとラムダクトに入る空気の音も?)静かで心地よい巡航でした。

レポート●小見哲彦 写真●小見哲彦/モーサイ編集部・上野 編集●阪本一史

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