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ここ最近、茨城県のとある道路をバイクで走っていたところ、急にバイクがグラグラし始めたことがありました。
それで、バイクのふらつきを感じた原因であろう道をチラッと見てみたら、縦に溝がある道路だったんです。
「この溝は走りにくいし、作った意味があるの?」と思い、ネットなどで色々調べてみると溝がある道路は「グルービング工法」という工法が採用されている道で、主にスリップ防止や走り屋対策のために作っているようです。
その中でも進行方向へ向かって縦に溝を掘る「縦型安全溝」(*)と、横に溝を掘る「横型安全溝」の2つの方法があり、どちらも重要な役割を担っている道だそうです。
*本記事では「縦溝安全溝」のことを縦溝、「横溝安全溝」のことを横溝と表記します。
とは言っても、なぜ縦や横に溝を掘っているのか気になってしまいます。
当記事では、縦に溝があるワケ、「縦溝」と「横溝」の違いなど「グルービング工法」が用いられた道路のナゾについて紹介していきます。
「グルービング工法」が用いられた縦溝と横溝の違い
「縦溝の道路」はカーブや斜面、横風をうけやすい直線道路や陸橋などの路面状況でもタイヤが縦溝に食い込むことでグリップ力が増し、タイヤを滑りにくくさせて、コーナリング時の操縦安定化につながるといった効果が期待されています。
ほかにも、水が縦溝の中に入ることで排水の役割を担い、スリップ事故の原因ともなる水膜を除去して「ハイドロプレーニング現象」(*)の発生を抑える狙いもあります。
*水たまりの路面をクルマやバイクなどで通るときに、タイヤと路面の間に水が入り込んだ影響で水の上を滑るような状態になってしまい、ハンドル操作やブレーキなどが利かなくなってしまう現象のこと。
一方、「横溝の道路」も「縦溝の道路」と同じような働きがあると言われています。
水が横溝の中に入って排水してくれるので、雨が降って濡れている路面でも制動距離を短縮したり、タイヤから伝わる音と振動によって居眠り運転の防止をするなどの目的があるそうです。
「縦溝の道路」を廃止するのは無理?
バイクは前輪、後輪のふたつの車輪だけを使って、重心移動などを駆使しながら動いているので、路面状況が悪いとその影響を受けやすい乗り物。
そのため、バイクで「縦溝の道路」を通ると縦溝にタイヤがハマってしまい、ふらつきを感じたり、ハンドルが思うように動けなかったりすることがあります。
そんな「縦溝の道路」について山形県民からもらった要望に対し、山形県庁が答えていました。
Q.「道路舗装のグルービングの溝にバイクのタイヤが取られて危険なので、バイクでも走りやすい工夫をするかグルービング工法をやめてください」
A.「道路舗装のグルービングは、スリップ事故等を未然に防ぐことを目的に、路面排水の機能向上やハイドロプレーニングの防止、路面の凍結防止のため、走行上危険な箇所に設置しています。そのため、グルービング工法を廃止することは困難ですが、看板等による注意喚起や舗装打替え時に溝の位置を工夫するなどの対策を随時行ってまいります。グルービング設置の趣旨を御理解のうえ、スピードを抑えて安全な走行をお願いします」
(出典:山形県庁公式ホームページ)
横溝で作っている「メロディーロード」とは?
「縦溝の道路」とは違い「横溝の道路」の中には、クルマなどで走っているとメロディーが聞こえてくるという特殊な方法で作られることがあるそうです。
「メロディーロード」などと呼ばれる道で、一定の速度感覚で走っていると、長編アニメーション映画『千と千尋の神隠し』やNHKの連続テレビ小説『まれ』の代表曲などのメロディーが聞こえてくるものも。
すべての「横溝の道路」が「メロディーロード」というわけではなく、その数は全国で30個ほどしかありませんが、場所によってそれぞれ違うメロディーを聞くことができます。
そんな「メロディーロード」がどうやって音楽を奏でているかというと、進行方向に溝を刻むことによって、路面とタイヤが接触したときの音・リズムでメロディーを奏でるというもの。
「メロディーロード」の狙いとしては、通るたびに伝わる振動によって運転者に注意喚起をし、居眠り運転を防止する効果があるのだそうです。
残念ながらバイクで「メロディーロード」を通ってもメロディーが聞こえないようですが、「メロディーロード」を通ると聞こえてくるメロディーのリズム感覚で走っていると、運転速度の抑制にもつながるといった効果もあるといいます。
ということで、「縦溝の道路」と「横溝の道路」について紹介してきましたが、皆さんは縦溝や横溝の道路をバイクやクルマで実際に走ってみたとき、どのような感想を抱いたでしょうか?
レポート●モーサイ編集部・小泉
追記:4月28日0時30分訂正を行いました。「山口県庁が答えていました」とあるのは「山形県庁が答えていました」の誤りでした。申し訳ございませんでした。