最高速度が30km/hに制限されていたり、二段階右折が必要だったり、幹線道路を走れば邪魔者扱いされたりと、何かと不便が多い原付こと第一種原動機付自転車。
しかし、不便があるとはいえ「原付こそバイクの原点」と感じている人は意外や多く、実際に乗ってみると原付だけが持つ魅力や楽しさがあることがわかります。
ちょっと不便だけど魅力いっぱいの原付。1月下旬ころ、あるバイク乗りの原付に関するツイートが話題となっていたのでご紹介しましょう。
原付はクルマの免許で乗れるんです!
かつての愛車の画像とともに「車の免許で乗れるんで」というツイートをしたのは、Twitterユーザーでバイク乗りの٩DoRa۶さん(@DATE_A_DoRa)。
画像を拝見すると、ファッショナブルなカスタマイズが施されたヤマハ・YB-1 FOURで、さまざまな場所へ訪れた際の風景が収められています。
4ストロークエンジンを搭載したヤマハ・YB-1 FOURは、ヤマハ発動機が2000年に発売した第一種原動機付自転車。
1990年代のレトロバイクブームの際に登場した、2スト49ccエンジンを搭載するヤマハ・YB-1の後継車で、「奇麗でお洒落なスポーツ」をテーマにしたというレトロなエクステリアが特長。
登場から20年以上経過した今なお、根強いファンが多くいるモデルです。
YB-1 FOUR+バッグでオシャレ度UP!!
バイクに興味はあったけれど、二輪車の免許を持っていなかったというDoRaさん。
「そこで、クルマの免許で乗れるMTの原付を探していたところYB-1 FOURを見つけ、ひと目ぼれして購入しました」(٩DoRa۶さん)
ノーマルの状態で購入し、普段のアシとして使用していたそうですが、
「普段使いだけでなく、片道100kmくらいのツーリングにはよく行ってました。1Lで50kmぐらい走るので、ガソリン代がほぼかからなかったのがありがたかったです」(٩DoRa۶さん)
と、普段使いからツーリングまで、オールラウンドに活躍していたようです。
ちなみにフロントとサイドのバッグは「ベスパなどの車両にカバンをつけてるカスタマイズを見て、旅してる感が出て良いなと思って」取り付けたのだとか。
リヤのテールランプもヨーロッパ感が出そうな見た目の物に交換するなど、ツボを押さえたカスタマイズを行っていたことがわかります。
目にした瞬間「あ、オシャレだな」と感じるYB-1 FOURの画像に、「なんというバイクですか?気になります」や「カッコ良すぎる」、「サイドバックがすごい似合ってますね!」などなど、多くのコメントが寄せられていました。
YB-1 FOURの「奇麗でお洒落なスポーツ」というテーマをさらに高めた仕上がりのうえ、クルマの免許で乗れるという点が、多くの人に刺さったのかもしれませんね。
新オーナーもYB- 1 FOURにぞっこん
このオシャレなYB-1 FOURは、現在新たなオーナーさんに引き継がれているのですが、現オーナーでTwitterユーザーのありま秀丞さん(@shuujou_arima)もまた、原付の魅力にどっぷりとはまっている様子。
「前オーナーさんがTwitter上でYB-1 FOURの貰い手を探しておられたので連絡を取り、譲り受けました。自分自身はバイクから離れてかなりブランクがあり、MTの操作はほぼ忘れていましたが、以前から気になっていたYB-1 FOURの魅力には抗えませんでした」(ありま秀丞さん)
ありま秀丞さんも1時間から半日程度のショートツーリングに連れ出すことがほとんどで、夏場は明け方や夜などの涼しい時間帯に走ることが多いのだとか。
なおスタイリングは、
「自身でグリップやステップなどのゴム部品を新品交換した以外は特になにもしていません。前オーナーさんのセンスが光る仕上がりだと思います」(ありま秀丞さん)
と、前オーナーである٩DoRa۶さんのカスタマイズをそのまま引き継いで乗り続けているそうです。
オーナーが感じる“原付の魅力”とは?
いったい、原付に魅力を感じたポイントはどのようなところだったのでしょう? おふたりに原付の魅力を聞いてみると……。
「クルマの免許で乗れる点ですね。なんとなくバイクに興味があるけど 免許取りに行くほどのモチベーションがない方にはぜひ勧めたいです。 もう1点は『旅は道中が大変なほうが色々なドラマや達成感が味わえる』ということです。原付はパワーが無いですし高速道路も乗れません。道中大変な事もありますが、目的地に着いた時の達成感は原付だからこそ味わえるものだと思います」(٩DoRa۶さん)
「小さなエンジンが徒歩や自転車では経験できない世界を見せてくれるところ。それと気軽さです」(ありま秀丞さん)
おふたりとも方向性は違えども、小さい排気量だからこそ感じたり、経験したりできることに魅力を覚えているようです。
30km/hしか出せず、二段階右折もしなければならず、幹線道路を走れば邪魔物扱いされてしまう原動機付自転車。
しかし、その速度域や排気量だからこそ見える世界があるのは確か。近い将来消滅してしまうかもしれないカテゴリーですが、だからこそ今のうちに楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。
もしかすると、これまで見落としていた風景に出会えるかもしれませんよ?
text:日暮大輔 取材・写真協力:٩DoRa۶さん、ありま秀丞さん