雑ネタ

「バイクはオービスで捕まらない」は本当? スピード違反を見逃さない“速度違反自動取り締まり装置”の謎

日本全国の主要道路に設置されていて、速度超過のクルマやバイクがいないかを24時間体制で見張っている速度違反自動取り締まり装置。一般的に“オービス”と呼ばれるこの装置、うっかり撮影されようものなら厳しい罰則が待ち構えているだけに、誰しも注意していることだろう。
しかし、「バイクはオービスで捕まらない」とよく言われるのだが、実際にところはどうなのだろうか? 交通ジャーナリストの今井亮一氏に、事の真相を伺ってみた。

一定以上のスピードの車両を自動的に撮影する「オービス」

結論から言うと、基本的にバイクはオービスに撮影されても捕まらない。そもそもオービスはバイクを取り締まるつもりがない。ただし警察にもメンツがあるから、ナメるとヤバイ。どういうことかご説明しよう。

オービスとは速度違反自動取り締まり装置の総称だ。オービスは、そこを通過する車両を自動的にどんどん測定するのだが、すべてを撮影するわけではない。
「これ以上の超過速度を取り締まる」という設定速度が入力されており、設定速度を超えた車両だけ自動的に撮影する。違反車両はそのまま走り去ってしまう。まれに、付近のパトカーに撮影情報が送信され、すぐにパトカーが取り締まることもある。

オービスは道端または門形構造物などに設置(固定)されており、違反車両の前面を撮影する。近年、三脚に載せて神出鬼没に使える「可搬式」のオービス(※)が登場しており、固定式と同じく前面を撮影する。

私が警察庁に対し情報公開法により開示請求してゲットした文書によれば、2019年度末(2020年3月末)現在、固定式オービスは全国に426台、可搬式オービスは60台だ。

道路脇に設置された可搬式オービス

(※)可搬式は警察文書にある呼び方。ネットでは移動式と呼ばれる。オービスマップの事業者がマップ上で「i」の記号を使って「移動式」とし、瞬く間に広まったようだ。

撮影されて走り去った車両はどうなるか。警察は、写真に映った違反車両のナンバーから持ち主を特定し「違反者は出頭せよ」との文書を郵送する。出頭してきた違反者に写真を示し「運転席に写っているのはあなたですね? この日時にここを運転しましたね?」と確認して取り締まる。

駐車違反の場合、違反者が出頭する必要はない。車両の持ち主が(持ち主=違反者でも)「放置違反金」というペナルティを振り込めば処理は終わる。けれどそれは駐車違反限定の制度だ。速度違反には適用されない。

国道357号線に設置されているHシステムオービス。

前面にナンバーがないから取り締まれない

それでだ、バイクは前面にナンバープレートがない。写真に写ったナンバーから持ち主を特定することができず、呼び出しの郵便を送れない。つまるところ、取り締まりようがないのだ。

後方も、つまりバイクのナンバーも撮影できる“両方向撮影”のオービスが全国に2台かあるようだが、バイクをガンガン取り締まっているという話はまったく聞こえてこない。なぜ?
ヘルメットがフルフェイスだと顔面の狭い部分しか写らず、ライダーが「こんなの俺じゃねえ」と否認したら警察は大変だ。裁判所から令状をとって家宅捜索し、違反時と同じウエアを見つけるとか捜査に手間がかかる。取り締まりはなにより効率が大事。面倒を警察は避ける傾向がある。

じゃあ、両方向撮影のオービスは、あれはなんなのか。深読みすれば、速度違反もナンバーにより判明した車両の持ち主からペナルティを徴収する、その制度を検討した際、試しに両方向撮影のオービスを設置してみたとか? なんにしても実験的な装置かと考えられる。

オービスの手前には数カ所にわたりオービスが設置されていることを知らせる看板があるので見逃さないようにしたい。まぁ、そもそも安全運転をしていれば何ら問題はないのだが……。

というわけで、そもそもオービスはバイクを取り締まるつもりがない、クルマ専用の取り締まり装置といえる。
2019年の速度取り締まりは全体で約114万件。うち固定式オービスによるものは約4万件、可搬式は約5000件にすぎない。呼び出して出頭させるということ自体、手間がかかるうえ、ずるずる出頭しない者、呼び出しの郵便を無視する者もいる。オービスの取り締まりは効率が悪いのだ。

警察を怒らせるような行動でエラい目に……

ただし、である。
「バイクは平気なんだ!」と調子にのり、オービスの前を何度もかっ飛ばすとか、ふざけてピースサインをして撮影されるとか、そういう行為に対して警察は燃える! 全力をあげて捜査し、がつんと逮捕、テレビ・新聞に全国報道させることがある。マネしそうなライダーたちをびびらせ、オービスの威厳、警察の威信を護るのである。
そこまでいかなくても、バイクの速度違反が目立つ道路では、いわゆるネズミ捕りや覆面パトカーの取り締まりを強化することは普通にあるだろう。基本的にバイクはオービスに捕まらないけれども、ナメるとヤバイってことだ。

〈文=今井亮一〉
交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から裁判傍聴にも熱中。2009年12月からメルマガ「今井亮一の裁判傍聴バカ一代(いちだい)」を発行している。

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