これまでシリーズ累計24作品が製作されたスパイアクション映画の金字塔『007シリーズ』。
イアン・フレミング原作の小説を起源とする007シリーズは、原作者のフレミングもかつて所属していたという英国秘密情報部のエージェントであるジェームズ・ボンドが、世界を股にかけて活躍する大ヒットアクション映画です。
新型コロナウイルスの影響で何度か公開が延期されてしまいましたが、日本では2021年10月1日に第25作目となる『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開されます。
そんな007シリーズの真骨頂といえば、やっぱりド派手なアクションシーン!
特にバイクやクルマなど乗り物好きにとっては、ギミック満載のボンドカーをはじめ、劇中で繰り広げられるカーチェイスシーンを毎回楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
追記2021年9月30日:『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』公開日の変更にあわせ、一部記述をアップデートしました。
『ロシアより愛をこめて』の名を冠したサイドカー
さて、そんな最新作の公開が注目されている007ですが、ロシアのサイドカーブランド「URAL(ウラル)」から、007好きなら決してスルーできない(?)特別仕様車が発表されました。その名も「FRWL / From Russia With Love」!
007シリーズは、1962年にシリーズ第1作となる『007 /ドクター・ノオ』が公開となり、そして翌1963年には第2作目『007 / ロシアより愛をこめて』(原題:From Russia With Love)が公開されています。
もうおわかりですね、このウラルFRWLは、その第2作目にインスパイアされて製作された特別仕様車なのです。
ウラルのサイドカーといえば、戦後から長らく基本設計を変えていない質実剛健なタフギアとして知られていますが、FRWLでは上品なメタリックペイントが施されたボディパーツに質感の高いクロームメッキのパーツや、丹念に磨き込まれたステンレスパーツを組み合わせて、これまでのウラルのイメージとは異なるドレッシーな佇まいを形作っています。
ここからはそのディテールを見ていきましょう。
バイク、カー側ともにシートにはラグジュアリー・ダイアモンド・ステッチを採用。シート面積の多いサイドカーではこれだけで高級感が一気に倍増します。また、カー側の風防根元に取り付けられたレザーカバーにもホワイトステッチが入ります。
虚飾を排したいかにもロシア……な時計。世の中には東西冷戦時代の旧東側諸国で製造されたカメラ、時計などの「コメコンデザイン」(コメコン=COMECONとはかつて存在した旧ソ連と旧東欧諸国による経済総合援助会議のこと)を愛するマニアもいると聞きますが、そういう方にはきっと刺さることでしょう。
カー側の内装も豪華で、ダッシュボードにはミステリアスなロシアンスパイを連想させる「Natasha(ナターシャ)」の刺繍入り。
そして時計の左側には「EJECT」ボタンが。初代ボンドカーとして知られるアストン・マーティンDB5よろしく、緊急時にボタンを押すとシートが射出されるのか……それはオーナーのみが知ることができます(笑)。
カー前方のクラッシュバーには、美しいクロームメッキを施した小型の砲弾型ランプを2連で装備。FRWLでは、キャリアやエンジンガード、サイドミラー、風防のフレームもクロームメッキ仕上げです。
さて、007シリーズ第2作『007 / ロシアより愛をこめて』は、実は日本での公開当初では『007 / 危機一発』という邦題が設定されていましたが、70年代に入ってからのリバイバル上映の際に原題に忠実な邦題『ロシアより愛をこめて』へと改められています。
この作品は、トルコ・イスタンブールを舞台にロシア(当時は旧ソ連)の諜報部員や、東西冷戦を利用して悪事を企む犯罪組織「スペクター」を相手に、ショーン・コネリー演じるジェームズ・ボンドが大活躍するストーリー。
歴代007シリーズの中でも指折りの傑作として知られる作品ですが、実は007名物であるアストン・マーティンDB5のボンドカーは出てきません。
007で初めてそれが登場するのは1964年公開のシリーズ第3作『007 / ゴールドフィンガー』から。『ロシアより愛をこめて』では派手なカーチェイスこそないものの、ギミック満載のアタッシュケースが登場するほか、オリエント急行やモーターボートでのアクションシーンが数多く盛り込まれており、純粋なスパイアクションを楽しむことができます。
まだ観たことがない、という方はぜひご覧になってください。
歴代ボンドガールの中でも最高の美女との呼び声も高く、本作ではソ連諜報部員として登場するダニエラ・ビアンキの美しさにも注目です。ウラルFRWLのイメージにもぴったりの女性ですよ。
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