雑ネタ

コロナの影響も!? 今や300万円台すら珍しくないカワサキZ1&Z2、高騰化の理由を創業70年老舗ショップに聞いた

「Z1」こと1972年に北米市場向けとして発売された900スーパー4。その1年後、自主規制により国内の上限排気量が750ccまでだった当時の事情にあわせ発売された「Z2」こと750RS。

どちらも非常に人気のある旧車で、300万円オーバーという高額な値札がついているのも珍しくありません。しかし最近、特に高騰化が進んでいるとも言われます。そこで、価格推移や高騰化の理由について、茨城県取手市にある創業70年のバイクショップで、Z1やZ2の修理・販売を得意としている「飯島モータース」の代表・飯島 保夫さんにお話をうかがいました。

1972年8月、輸出専用モデルとして発売された900スーパー4(Z1)。エンジンは当時前代未聞だった903cc空冷4サイクル並列4気筒DOHC2バルブで、最高出力82馬力、公称最高速200km/h、公称0-400m加速12秒というパフォーマンスを発揮した。
1973年3月、900スーパー4(Z1)の国内版として発売された750RS。型式名Z2から「ゼッツー」の愛称で親しまれた。エンジンは746cc空冷4サイクル並列4気筒DOHC2バルブで(Z1よりボア、ストロークとも縮小)、最高出力は69馬力。

2019年ごろから350万まで高騰したカワサキZ1

Z1やZ2をメインとするが、メーカー問わず旧車全般のレストア、修理、販売を行っている飯島モータース(昭和23年開業)。

──どのくらい前から今のような200万〜400万といった価格帯になってきたのでしょうか?

あくまでフルレストア車の話ですけど、20年前は180万くらい、15年前が200〜220万。10年前で200〜250万、4〜5年前には300万くらいになりました。去年(2019年)あたりから340〜350万になりましたね。

──値段が上がっている理由として、どんなことがあるのでしょうか?

もちろん人気の旧車だからという理由もあるかもしれないけど、最近で言うと、コロナの影響もあると思う。なんでコロナかってというと、給付金が入ったことを機に(Z1・Z2を)欲しがって、高い値段でも買うから仕入れてくれってバイク屋さんに頼む。
それで、頼まれたバイク屋さんはZ1やZ2についてあんまり知らないのに、高額で仕入れて販売しようとする。
これまでZ1、Z2を扱ってきた側からすると、とんでもない相場でやりとりされている……そうしたことが影響しているんじゃないかな。

──300万円超えが珍しくなくなったというのは最近のお話だとしても、大前提としてなかなかの高額車両です。飯島モータースさんでは、どのようなお客さんが多いのでしょう。

40〜60代の方が多いですが、最近は30代の若い人も買いに来られます。自営業の方や社長さんが多いですね。あとは、病院の院長さんとか。イメージとしてわかりやすく言えば、フェラーリを所有しているような感じの方です。
ただ、なかには普通のサラリーマンのお客さんもいますよ。

お客さんとしては珍しいパターンですが、Z1を2台、3台続けて購入する方もいます。買われてから2週間ぐらいして「最高のバイクだね、気に入っちゃったからもう1台欲しいんだけど」なんてことがありましたね。

とはいえ、皆さんに共通しているのは年間1000km〜2000kmぐらいしか走らないこと。とても大事にされているというか。

高いから「Z1&Z2=凄いバイク」と思っている人もいる

──若いお客さんがいるというのは意外でした。

ただ、若いお客さんの中はZ1、Z2についてあんまり知らないで乗りたがっている傾向もあって、そこがちょっと気になる。値段が高いからZ1、Z2っていうのは凄いバイクなんだろう、高級なバイクなんだろうって思っているだけというか……「どうしてもZ1が欲しい!」みたいなこだわりがあってに来るわけじゃないの。

そもそもバイクについて全然知らないというか……チョークの使い方も知らない、エンジンの掛け方も知らない、ガソリンタンクの開け方も知らないっていう人もいる。
で、ガス欠しただけなのに「調子悪い」なんて言ったりする。正直そういう人にはあまり売りたくない、本当にZが好きな人に乗ってほしいという気持ちはあります。

飯島モータース店内にはビンテージレーサーや、RC30、NRなど珍しい車両も入庫されていた。

──Z1やZ2についてあまり知らないのに買いたいという人がいる……というのは不思議な気がします。

やっぱり雑誌などで「人気旧車」として取り上げられる機会が多いからじゃないかな。そうしたお客さんには、なるべくZ1・Z2をよく知っている人や詳しい人とまた見に来てねって言っている。いろいろ納得したうえで、買ってもらいたいから。

あと、うんちくを語る人ほど買わない気がするなぁ(苦笑)。
逆に商談が成立するときは、本当にすぐに決まります。5分ほど見たあとに「これ買います!」と言った人もいましたしね。

ただ、今年(2020年)の5月ごろからパーツの値段が上がって、正直、どれくらいの価格でZ1やZ2を売っていいかわからない相場感になりました。なので、ウチでは6月から1ヵ月以上販売中止にしています。

──ちなみにカワサキがZ1、Z2のシリンダーヘッドの再生産するというのがありましたけど、それによってパーツの値段が下がるというようなことはないのでしょうか?

影響はないです。早く仕入れ値の相場が落ち着いてくれればいいんだけど……。買いたいというお客さんもいるんですけど、ウチでは申し訳ないのですが、待ってもらっているんです。 

最近はイエロー色が人気

──価格だけでなく、人気の車体色も時代とともに動きがあるものなのでしょうか?

10〜20年前は「青玉」が人気でした。やっぱり一番売れるのは「火の玉」やイエローが売れます。オレンジは最近売れない傾向かな。
昔は「火の玉」がとにかく人気だったけど、ここ何年かはイエローの方が売れている。最初からイエローの車両が欲しいっていう決め打ちのお客さんは、ほぼ間違いなくイエローを買われますね。

「火の玉」は定番だが、最近はイエローも人気が高くなっているという。

──これまでの話を聞くと、Z1やZ2は乗るのも難しそうなイメージが……。これは極端な話ですが「大型免許を取ったばかりだけど、どうしてもZが好きで乗りたい!」という人がいたとして、そうした初心者ライダーでも運転できるものなのでしょうか?

乗れちゃいますね。クセがないから、腕に関係なく乗れてしまいます。また、そこがZ1、Z2の魅力だとも思います。

レポート●モーサイ編集部・小泉 写真●モーサイ編集部・小泉/カワサキ

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