車検を受ける必要がなくて高速道路も走行できる150〜250ccクラスのバイクは、その高いコストパフォーマンスで幅広い年代層のライダーから支持を集めている。
このクラスは総じて燃費良好な車種が多いが、ちょっと気になるのが満タン給油1回で走れる「航続距離」はどのモデルが優れているのか、という点。
2019年のランキングではスズキ・ジクサー150がブッチギリのトップであったが、ニューモデルが投入された2020年の最新ランキングはどのようになっているのか? さっそく最新の航続距離トップ10をご紹介しよう。
10位.カワサキ ニンジャ250/KRTエディション
満タン航続距離 366.8km
パラツインを積んだライバルと比較すると、タンク容量は同等の14LだがWMTCモード燃費でやや劣るためこの順位となった。
搭載される水冷並列2気筒DOHCエンジンはホンダCBR250RRに次ぐ37馬力のパワーを発揮し、トルクもライバルたちと同値となる2.3kgm。
それを受け止めるため、剛性の最適化と軽量化を両立するカワサキお得意のトレリスフレームや、前φ310mm/後φ220mm径の前後ペタルディスクブレーキ(フロントはセミフローティングタイプ)、ABSを備えたデュアルピストンキャリパー、5段階のプリロード調整が可能なリヤショックアブソーバーなども採用。
スポーツ性を高めつつ価格を抑えているのが最大の特徴だ。
・WMTCモード燃費 26.2
・タンク容量 14L
・メーカー希望小売価格 65万4500円
9位.ホンダ CBR250RR<ABS>
満タン航続距離 373.8km
昨年から順位を1ランクアップし9位となったのがホンダの軽二輪スーパースポーツ、CBR250RR。
クラストップの38馬力/2.3kgmを発揮する水冷並列2気筒DOHCに変更はないが、タンク容量は同値ながらニンジャ250よりも0.5km/L優れるWMTCモード燃費によって上位にランクインした。
フロントに倒立式サスを採用し、プロリンク式のリヤサスは5段階のプリロード調整が可能。ライド・バイ・ワイヤ(電子制御スロットル)をクラス初採用し、スポーツ、スポーツ+、コンフォートという3種類のライディングモードを備えるなど、走りにこだわった設計が魅力だ。
・WMTCモード燃費 26.7
・タンク容量 14L
・メーカー希望小売価格 80万3000円(赤ストライブ)/82万1700円(赤、つや消し黒、白)、85万4700円(赤ストライブ)
8位.ホンダ レブル250/レブル250 Sエディション
満タン航続距離 375.1km
2019年の軽二輪クラストップセラーモデル。20年1月に一部改良が行われ、新たに灯火類をLED化し、ギヤポジションインジケーターやアシスト&スリッパークラッチなども採用。また、ヘッドライトカウルやフォークブーツを装備し、車体を黒で統一したSエディションも設定している。
34.1km/Lのモード燃費、11Lのタンク容量は改良前のモデルと同じで、26馬力/2.2kgmのスペックにも変更はなし。クルーザーらしくタンクは小ぶりだが、燃費性能の高さによりCBRよりも上位となっている。
トルクフルな水冷単気筒DOHCエンジン、690mmの低いシート高はもちろん継承。小柄な女性でも扱いやすく、人気の高さもうなずける。
レブル250
・WMTCモード燃費 34.1
・タンク容量 11L
・メーカー希望小売価格 59万9500円
レブル250 Sエディション
・WMTCモード燃費 34.1
・タンク容量 11L
・メーカー希望小売価格 63万8000円
7位.ヤマハ YZF-R25(ABS)/ヤマハ MT-25/カワサキ Z250
満タン航続距離 380.8km
ニンジャ250、CBR250RRのライバルであるヤマハの軽二輪スポーツがYZF-R25、そのネイキッドモデルがMT-25だ。
2019年5月にマイナーチェンジしたR25に続き、MT-25も20年2月に単眼LEDヘッドライト+2眼LEDポジションランプを備える新形状のフロントデザインに変更する大幅な改良を実施。倒立式フロントサスや他のMTシリーズを彷彿させるワイドなタンクカバーも採用したが、乗車姿勢は従来型よりもさらにアップライトになるなどR25と明確な差を付けている。
両モデルとも35馬力/2.3kgmのエンジンスペックに差はなく、27.2km/Lの優れたモード燃費、14Lのタンク容量も同じだ。
YZF-R25
・WMTCモード燃費 27.2
・タンク容量 14L
・メーカー希望小売価格 61万500円/65万4500円(ABS付)/67万1000円(モンスターエナジー ヤマハ MotoGPエディション)
MT-25
・WMTCモード燃費 27.2
・タンク容量 14L
・メーカー希望小売価格 62万1500円
Z250は“2kg軽量”でモード燃費向上
満タン航続距離 380.8km
ヤマハの2車とモード燃費、タンク容量ともに同値となるのがカワサキのクオーターネイキッド、Z250。
兄弟車のニンジャ250と同じく、水冷並列2気筒DOHCエンジンをトレリスフレームに搭載。37馬力/2.3kgmのエンジンスペックは同値だが、ニンジャよりも2kg軽いこともあり、モード燃費は1km/L上まわっている。
ABS付きの前後ペタルディスクブレーキや、シフトダウン時のバックトルクを軽減しクラッチ操作力を軽くするアシスト&スリッパークラッチも装備するのもニンジャと同じ。ただし、リヤサスペンションのリンク比やサス特性はネイキッド化に合わせて最適化されている。
Z250
・WMTCモード燃費 27.2
・タンク容量 14L
・メーカー希望小売価格 61万500円
6位.KTM 250デューク
満タン航続距離 414.1km
日本の道にピッタリな、30馬力/2.4kgmの性能を持つ248.8cc水冷単気筒DOHCエンジンを搭載した輸入ネイキッドモデル。
タンク容量は13.4Lと国産ライバルよりもやや小ぶりになるものの、30km/Lオーバーの優れたWMTCモード燃費により航続距離は400kmを超える。なお、本サイトの試乗では一般道で31.6km/L、高速道路でも30.5km/Lの数値を記録している。
390デューク譲りとなるトレリスフレームや、WP製サスペンション、ABS付きのバイブレ製ブレーキキャリパーを採用。前φ300mm/後φ230mmのブレーキディスク径も同一だ。
シート高は830mmと高めだが乾燥重量は149kgと軽いため、軽快かつスポーティな走りを堪能できる。
・WMTCモード燃費 30.9
・タンク容量 13.4L
・メーカー希望小売価格 58万6000円
5位.カワサキ ヴェルシス-X 250 ツアラー
満タン航続距離 421.6km
リニアな低中速トルクを持つ水冷並列2気筒DOHCエンジンを採用した、カワサキの軽二輪アドベンチャーツアラー。
エンジンスペックは33馬力/2.1kgmで、モード燃費も24.8km/Lと同型ユニットを積んだニンジャ250/Z250より低いものの、17Lの大容量燃料タンクにより420kmを超える航続距離を実現している。
この航続距離に加え、アップライトな乗車姿勢と大型ウインドスクリーンが長距離ツアラーとしての資質をアップ。また、標準装備される樹脂製パニアケースやエンジンガードは利便性だけでなく、ツアラーとしての雰囲気を高めている。
・WMTCモード燃費 24.8
・タンク容量 17L
・メーカー希望小売価格 70万4000円(白×灰)、72万500円(灰×薄灰)
4位.スズキ ジクサー250/SF250
満タン航続距離 452.4km
2020年3月に日本上陸を果たしたばかりのニューモデル。
搭載される単気筒OHCエンジンは、新開発の油冷システム、SOCS(スズキオイルクーリングシステム)の採用により軽量コンパクトに仕上げられているのが特徴だ。
最高出力は26馬力、最大トルクは2.2kgmで、WMTCモード燃費は37.7km/Lを達成。これは同じく軽二輪スポーツのGSX250Rよりも2馬力・5.2km/Lアップとなる(トルク値は同じ)。このクラストップの燃費性能により、12Lと少ないタンク容量にもかかわらず450kmを超える航続距離を達成した。
なお、ネイキッドのジクサー250よりもフルカウルのジクサーSF250の方が4kg重いが、燃費性能は同等となっている。
・WMTCモード燃費 37.7
・タンク容量 12L
・メーカー希望小売価格 44万8800円/48万1800円(SF250)
3位.スズキ GSX250R
満タン航続距離 487.5km
製造終了となったGSR250シリーズをベースにフルカウルスポーツに仕上げたモデルで、クローズドコースでのスポーツ性よりも扱いやすさに重きを置いた設計が特徴。
24馬力の最高出力、2.2kgmの最大トルクはともに比較的低い回転数で発生させるため、やや前傾姿勢は強いものの街乗りでも使いやすい。
水冷並列2気筒ということもあり重量はジクサーSF250よりも20kgも重く、WMTCモード燃費も大きく劣る。それでも32.5km/Lという数値は現在でもクラストップレベルにあり、15Lのタンク容量と相まって487.5kmもの航続距離を実現。
スポーティな走りと長い航続距離を両立した、数少ないモデルと言える。
・WMTCモード燃費 32.5
・タンク容量 15L
・メーカー希望小売価格 54万8900円(青×白、赤×黒、黒)53万6800円(青)
2位.スズキ Vストローム250/ABS
満タン航続距離 537.2km
くちばし形状のフロントデザインなど、兄貴分のVストローム1000や650と共通のイメージを持つアドベンチャーモデル。
3位のGSX250Rと同じエンジン&フレームを採用するが、250ccとしては大柄なため重量はABSレスでも188kgと重い。そのためモード燃費は31.6km/Lに留まるものの、17Lの大型燃料タンクにより540kmに迫る航続距離を実現している。
高い防風性能を持つウインドスクリーンやサイドケースアタッチメントを標準装備するなど、軽二輪ながら長距離・長期間の旅にしっかり対応。24馬力/2.2kgmのエンジンスペックはGSX250Rと同値で、豊かな低中速トルクにより街乗りからツーリングまで扱いやすい。
・WMTCモード燃費31.6
・タンク容量 17L
・メーカー希望小売価格 58万800円/61万3800円(ABS付)
1位.スズキ ジクサー150
満タン航続距離 612.0km
250ccと同じ軽二輪モデルではあるが、ジクサー150は154cc空冷単気筒OHCエンジンを搭載。そのためWMTCモード燃費は、250ccクラストップのジクサー250と比較し30%以上のアップとなる51km/Lを実現している。
この燃費性能によって、タンク容量は12Lと少なくても600kmを超える航続距離を達成。
デザインを刷新した現行型は、20年1月にデビュー。エンジンの性能は旧型と同じ14馬力/1.4kgmで、新たに前輪にABSを装備し、新形状のLEDヘッドライトや前後分割シートも採用するなどよりスポーティに仕上げられている。
重量は4kg増の139kgとなったが、街乗りでの扱いやすさは一切変わっていない。
新型車の登場やモデルの生産終了などがあったものの、上位3車に変動がなかった今回のランキング。
排気量が小さいことが大きなアドバンテージになっているとはいえ、ブッチギリの燃費性能を誇るジクサーの航続距離性能を破るモデルが登場するのか? 各社の動向が気になるところだ。
なお下の画像ギャラリーでは、11位から16位までの車両の紹介も行っているので、こちらも併せてご覧いただきたい。
※1 当ランキングは2020年3月31日に発売された『最新バイク図鑑[2020-2021]』からデータを抜粋しています。また、WMTC値が公表されていないメーカーの車両は記載しておりません。ご了承ください。
※2 価格はすべて税込表記です。
レポート●片倉義明 編集●モーサイWEB編集部・日暮
7月3日追記:スズキGSX250Rの燃費の数値がジクサー250の数値となっていましたので、訂正を行いました。